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イージス・アショア代替艦こと「イージス・システム搭載艦」の新しいイメージ絵が公開

JSF軍事/生き物ライター
令和6年(2024年)版「防衛白書」より「イージス・システム搭載艦」

 7月12日、防衛省から令和6年(2024年)版「防衛白書」が発表されました。その中でイージス・アショア代替艦こと「イージス・システム搭載艦」の新しいイメージ絵が公開されています。(令和6年版防衛白書の278ページに「図表Ⅲ-1-4-5 イージス・システム搭載艦の能力」が掲載)

令和6年(2024年)版「防衛白書」より「イージス・システム搭載艦」
令和6年(2024年)版「防衛白書」より「イージス・システム搭載艦」

イージス・システム搭載艦の能力

 SPY-7レーダー

  • SPY-1の5倍の追尾能力によりロフテッド軌道や同時複数の弾道ミサイルに対処

 CEC

  • 他艦艇などが追尾した対空目標をリモートで射撃・誘導が可能となる共同交戦能力(CEC)を付与

 SM-3ブロックⅡA

  • 高い迎撃能力を誇る弾道ミサイル迎撃用誘導弾を搭載

 SM-6

  • 巡航ミサイルなどに加え極超音速滑空兵器(HGV)に対し、ターミナル段階で対処

 VLS

  • 各種能力強化に伴い128セルに増強(まや型は96セル)
  • HGV対処(滑空段階)のための将来装備品への拡張性を付与

2032年以降搭載を予定する装備品(拡張性)

 12式SSM能力向上型

  • 対水上戦において、相手の脅威圏外から相手艦艇に対処

 トマホーク

  • 島嶼防衛などにおいて、相手の脅威圏外から地上部隊に対処

 高出力レーザーなど

  • ドローンによる飽和攻撃に対処

略語の説明
CEC:Cooperative Engagement Capability、共同交戦能力
VLS:Vertical Launch System、垂直発射システム
HGV:Hypersonic glide vehicle、極超音速滑空体
SSM:Surface-to-surface missile、地対艦/艦対艦/地対地/艦対地ミサイル

「イージス・システム搭載艦」新旧イメージ絵の比較

上:令和6年版防衛白書(2024年7月12日)、下:令和6年度概算要求(2023年8月31日)
上:令和6年版防衛白書(2024年7月12日)、下:令和6年度概算要求(2023年8月31日)

解説イージス・システム搭載艦の新旧イメージ絵から設計変更の比較

HGV対処(滑空段階)のための将来装備品への拡張性を付与

 「イージス・システム搭載艦」の令和6年版防衛白書で気になった記述はVLS(垂直発射システム)の「HGV対処(滑空段階)のための将来装備品への拡張性を付与」という部分です。これは日米共同開発の極超音速兵器迎撃ミサイルである「GPI(滑空段階迎撃誘導弾)」を指すのでしょうか?

 それとも日本独自で開発する予定の巨大な「HGV対処用誘導弾」を搭載できるように専用の大型VLSの空きスペースを確保しておくという意味でしょうか? 

 というのも、日米共同開発のGPIは既存のイージス艦用のMk.41VLSに搭載可能なサイズで開発する予定と見られるので、「将来装備品への拡張性を付与」という説明とGPIは合わないように思えます。それともこの拡張性とはソフトウェアの対応の意味なのでしょうか? しかし設計段階で拡張性を付与しておくという意味だと、VLSそのものの話をしているように思えます。

12式SSM能力向上型(12式地対艦誘導弾能力向上型)の艦発型

 なお「12式SSM能力向上型」とは12式地対艦誘導弾能力向上型のことで、イージス・システム搭載艦には艦発型(艦艇発射型)を2032年以降に後日装備する予定となっています。関連:12式地対艦誘導弾能力向上型の試作ミサイルが初公開(2024年7月12日)

 SSM(Surface-to-surface missile)とは「表面から発射し表面を攻撃するミサイル」の意味で、この表面とは地上や海上を指します。地対艦/艦対艦/地対地/艦対地の全てを含む範囲の広い言葉で、12式SSM能力向上型(艦発型)の場合は艦対艦ミサイルに分類されます。

 2隻建造を予定しているイージス・システム搭載艦は2027年と2028年にそれぞれ竣工予定となっています。完成時点では世界最大のイージス艦となる予定です。

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軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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