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売春「立ちんぼ」道路を黄色に塗装、効果ある?根本的な問題は #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

大阪府警による新たな売春対策が話題となっています。客待ちの「立ちんぼ」スポットとなっているホテル街の道路を目立つ黄色に塗装したり、薄暗い場所に街灯を取りつけたりするというものです。これに対し、ネット上では「根絶は難しく、場所を移すだけだ」とか「ホストクラブの売掛禁止といった改革が必要だ」という意見が示されています。昨今の売春が抱える根本的な問題を含め、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「2、3年前から客待ちをする女性が集まり、売春防止法違反容疑での逮捕者が1年間で30人に上るなど問題になっていた」
出典:KYODO 2024/12/10(火)

「周囲の目を引く派手な『警戒色』にすることで、路上にとどまりづらくなる」「効果が出れば、同じ問題を抱える全国各地の参考になる」
出典:読売新聞オンライン 2024/10/2(水)

「ホストで“売掛”をして、大きなお金が必要になり、路上に立つ子が多くなった」「すぐにその場でお金が貰える“立ちんぼ”をする」
出典:FNNプライムオンライン 2024/12/10(火)

「今は女性が自らの意思で街頭に立っているため組織性がなく、摘発してもすぐに別の女性が現れる〝いたちごっこ〟の状態」
出典:産経新聞 2023/12/4(月)

エキスパートの補足・見解

興味深い取り組みですが、場所を変えるだけだし、いずれまた舞い戻ってくることでしょう。ホストに貢ぐお金を手っ取り早く稼ぐ手段として「立ちんぼ」に至るという根本的な問題が何ら解決されていないからです。ホストクラブの売掛やホストによる立て替え払いの禁止、闇金への仲介規制、行政による様々な支援など、重層的な対策が求められます。

1956年に制定された売春防止法が今の時代に合っていないという問題もあります。当時は貧困のためにやむなく売春を行う女性などを想定しており、その保護が中心でした。「立ちんぼ」だと逮捕されてもせいぜい罰金1万円を払って終わりです。

しかし、現在は貧困や搾取とは関係なく、小遣い稼ぎ的に安易に売春に及ぶケースのほうが多くなっています。売春婦に対する支援策と併せ、買春した者を処罰するなど、買売春そのものを厳罰化すべきではないかといった見解もあります。

一方で、根絶など不可能だという現実を直視し、登録制にした上で性病検査などを義務付けるべきだとか、成人の自由意思の下での売春を思い切って非犯罪化すべきだといった提言もなされているところです。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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