格差社会の絵本読み聞かせ【日本とアメリカの読み聞かせ事情】あなたはどっち派?

今日はいつもの絵本の話に入る前に、少し経済のお話をしましょう。でも、決して難しい話ではありませんからご安心を。
インフレの影響が、家計にもヒシヒシと感じられるこの頃です。
生活必需品、特に食料品の値上げがあちこちで始まっており、「このまま給料が上がらなかったらどうしよう」と不安に感じておられる方も少なくないと思います。
一方で、ブランド品や高級時計などの売上は、すこぶる堅調のようです。
一部のスイス有名時計のお店は来店予約制になっており、その予約がなかなか取れないと嘆く声さえ、ネットでは聞こえてきます。
最低限の生活品購入にも不安を感じる人が多い一方で、ぜいたく品を求めて列をなす人も少なくないという格差社会を、わたしたちは生きています。
日本の政策
現政権は『分厚い中間層の復活』という政策を掲げています。
極めてざっくり言うならば『金持ちからたくさん税金をとって、平等な社会をつくりましょう』というものです。
しかしこの掛け声で、本当にみんなが幸せになるのでしょうか?
1991年のソ連崩壊が示すように、所得や労働を等しく分け与える社会主義的政策は、いずれ行き詰まるということは歴史が示しています。
とはいえ、わたしがここで何を言ってみても国の政策を変えことはできないでしょう。
でも、わたしたちにも何かできることはないでしょうか。
釣りのたとえ
中国春秋時代の思想家、老子は「授人以魚 不如授人以漁(魚を人に授けるのは、漁を人に授けるに及ばない)」という言葉を残しています。
飢えている人に魚を与えても、その時お腹を満たすだけですが、漁や釣りの方法を教えれば、その後も満腹になれるという意味です。
読み聞かせの効果
日本では読み聞かせの効果として、感情や想像力が豊かになる、親子の愛情やコミニュケーションに良い影響を与えるなど、どちらかといえば情緒的な面が強調されてきました。
それに対して米国の親たちは、おおむね絵本を教育的なツールとしてとらえているようです。
多くの米国の親が、絵本を思考力や読解力の向上、感想を述べることで自分の意見を伝える力を伸ばすなど、ことばを教える教材として考えているという調査結果があります。
動画内で日米の読み聞かせの相違点にも触れています。
格差社会の読み聞かせ
日本では絵本を情緒を育むものと考え、米国では教材と考えているのは、日本よりも米国のほうが、社会の格差がより大きいのが理由ではないでしょうか。
格差社会に生まれた子どもたちが幸せな人生を送るために、何よりも必要なのは教育であると親が考えるのは当然のように思えます。
そこで、比較的安価で手に入りやすい教材として、絵本が選ばれているのではないかと思われます。
このように考えると、情緒を育むものとして考えられてきた日本の読み聞かせは、格差社会に直面するわたしたちにとって、転換点を迎えているのではないでしょうか。
値上げの嵐それでも絵本を
「今は生活必需品の値上げで、子どもに絵本を買うどころではない」そんな声も聞こえてきそうな今日この頃です。
しかし、老子が言ったように「魚を与えても、その時満腹するだけ。しかし釣りの方法を教えれば、その後も満腹できる」というのも真実です。
格差社会に生まれた子どもたちが、これからずっと幸せに暮らすために、わたしたち親ができることの一つとして、絵本の読み聞かせを考えてみてはいかがでしょうか。
絵本を教育にといっても、単にことばを覚える教材として使うということではありません。絵本のジャンルは非常に多岐に渡ります。
読み聞かせを通して、自分以外の人の気持ち、物事の善悪、自然・環境・戦争などの大きな社会の問題に触れることもできます。
そして読み聞かせの時間に、単に親から絵本を読んでもらうだけでなく、子どもたちがそれぞれに自分の意見を持ち、それを人に伝える練習ができたらいいなと思うのです。
参考文献
保育士くらぶ
絵本の読み聞かせにはどんな効果がある?【効果・何歳から・コツ・大切さ】(外部リンク
Forbes JAPAN
アメリカの親が10歳まで読み聞かせを続けるわけ(外部リンク)
PRESIDENT Online
ハーバードで学んだ真実「日本人の読み聞かせでは子どもの思考力は育たない」(外部リンク)