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誰にでもできる脂肪肝の簡単な落とし方

黒澤恵(Kei Kurosawa)医学情報レポーター

肝臓だけの病気ではない脂肪肝

こんにちは。

「脂肪肝」、気になっていませんか?

長らく(大)酒飲みの病気だと思われてきました脂肪肝ですが、最近ではアルコールをさほど飲まないのに肝臓に脂肪が貯まるNAFLD」(ナッフルディー。「非アルコール性脂肪性肝疾患」)やMAFLD(マッフルディー。「代謝異常関連・脂肪性肝疾患」)と呼ばれる脂肪肝に注目が集まっています。

そしてNAFLDやMAFLDは「肝臓だけの病気」ではありません。

などはこれまでご紹介した通りです。

1日30分の早足で脂肪肝は落ちる

そんな厄介な肝臓の脂肪ですが、平日に1日30分、早足で歩くだけで3割も落とせることが医学的に明らかになりました。「米国消化器病雑誌」という米国消化器病学会発行の学術誌に、1月30日付で掲載された論文 [米国国立医学図書館リンク] をご紹介します。著者はミルトンSハーシェイ医療センター(米国)のJonathan G. Stine氏たちです。

Stine氏たちが解析したのは、運動が上述NAFLDに与える影響を調べた「ランダム化試験」と呼ばれる臨床試験です。これまでに報告された論文を探したところ14のランダム化試験が見つかりました。これらのデータを併合して解析します。試験参加者の数を合わせると551人でしたから、大まかに言えば約550人でNAFLDに対する運動の作用を調べたことになります。

ランダム化試験:参加者を各比較群にくじ引きで割り振り。その結果、どちらかの群が有利になるような人為性を排除できるので医学研究としては信頼性が高いとされる。

その結果、1週間に「150分以上の早足歩行」相当の身体活動で、肝臓の脂肪が30%以上減ることが分かりました。 簡単に言えば1週間に150150分以上、早足で歩くだけで良いわけです。

「150分!無理!」と思われるかもしれません。でも月曜日から金曜日に均等割すれば1日30分。さらに必ずしも30分続けて歩く必要もありません。日々の生活でちょっと工夫すれば実現可能数字です。

体重が減らなくとも肝臓の脂肪は減る

この研究でもう一つ注目したいのが、それだけ体を動かせば「体重は減らなくても、肝臓の脂肪は減った」という点です。「あれほど一生懸命歩いたのに体重は減らなかった」とがっかりする必要はありません。見えないところで肝臓の脂肪はしっかり減少しています。

さあこれで、NAFLDやMAFLDなどの脂肪肝を遠ざけ、認知症や心筋梗塞、脳卒中の脅威も減らせます。明日からぜひ、試してしてみてください。

ではまた!

【注意】本記事は最新の医学論文についての紹介あり、研究結果の内容はあくまでも「論文筆者」によるものです。また論文の解釈は論者により異なる可能性もあります。あくまでもご自身の見解形成の参考としてお読みください。

医学情報レポーター

医療従事者向け書籍の編集者、医師向け新聞の記者を経てフリーランスに。15年以上にわたり新聞社系媒体や医師向け専門誌、医療業界誌、会員向け情報誌などに寄稿。近年では医師向け書籍も共著で執筆。国会図書館収録記事数は3桁(含筆名)。日本医学ジャーナリスト協会会員(。

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