4階級を制したクロフォードが次に狙うのはカネロ?!
パウンド・フォー・パウンドKINGとされるテレンス・クロフォードが、イスラエル・マドリモフを、116-112, 115-113, 115-113の判定で下し、WBAスーパーウエルター級タイトル、及びWBO同級暫定タイトルを獲得した。
CompuBox によると、クロフォードは繰り出したパンチ433のうち95発をヒット。マドリモフは同273発中84発を当てた。
挑戦者のクロフォードは非常に慎重な立ち上がりだった。WBAチャンピオンを懐に入らせずに、距離を取った。2回に右フック、同ラウンド終盤にボディショット。3回には左アッパーを顎へヒットさせ、ペースを掴んだ。
両者の技術、そしてスピードの差は大きく、ジャッジの採点以上にスコアが開いたと、筆者は感じた。5回から距離を詰めたクロフォードは、随所にアッパーを見舞い、ステップとポジショニングの良さで、決定打を喰わなかった。
中盤以降もマドリモフはクロフォードを捉えられず、左ストレート、ダブルの右ボディフックを被弾。後半に入ると、パウンド・フォー・パウンドKINGのジャブが光る。
8ラウンド、マドリモフも前進し、ワンツー、左フックを放つが殺されてしまう。9回に、右フックから入ってストレートをフォローしたクロフォードのテクニックは、36歳とは思えないほど躍動感に満ちていた。
終盤に向かうに連れ、両者はショートレンジで打ち合う。そんななかでもクロフォードは、自らのパンチを出すと、次の瞬間に足を使いながらジャブを打ち続けた。その攻撃が、非常に効果的だった。
10回にクロフォードが放った左アッパーが、マドリモフの顎を直撃する。11回も、両者は接近戦で打ち合い、フェイントをかけながら、激しくパンチを交換した。この状態でスピードアップして捌けるのが、パウンド・フォー・パウンドの証であった。
最終12ラウンドも、やはり挑戦者のジャブが良かった。苦し紛れにサウスポーにする王者だったが、流れは変えられない。ただ、マドリモフはクロフォードの連続KO記録を11で止めることができた。
試合後、勝者は語った。
「マドリモフは、手強い競争相手だった。以前に発言したように、彼がタフなことは分かっていた。本当に強くて、耐久力があり、良いショットをたくさん打ってきた。足も速く、リズムを持っていた。良い戦いをしたね」
階級制覇を成し遂げたクロフォードだが、ウエルター級でのファイトよりも注意深さが目立った。それでいながら、サウル・カネロ・アルバレス戦を望み、スーパーミドル級まで上げるという。流石のパウンド・フォー・パウンドでも、無謀と呼べないか?
試合後、クロフォードはカネロ戦に関するトーンを下げ、「今でも興味はあるが、強くは希望しない。俺の言いたいことが分かるだろう? もし、それに見合う金額が保証されるのであれば、我々は戦わなければならないのさ」と述べた。
サウジアラビア総合娯楽局の会長であるトゥルキ・アラルシクは、すでにカネロにオファーを出したと言った。クロフォードvs.カネロ戦は本当に実現するのか?