Yahoo!ニュース

デービスがボディ一撃勝利 3階級王者が無敗対決で見せた強さ

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

4月22日(日本時間23日)、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで、WBAライト級レギュラー王者のガーボンタ・デービス(28=アメリカ)と元WBC世界ライト級暫定王者のライアン・ガルシア(24=アメリカ)が戦った。

試合の展開

136ポンド契約12回戦で行われた試合。タイトルマッチではないものの、上半期一番のビッグマッチとして注目を浴びていた。

会場には2万人以上の満員の観客が押し寄せ、チケットは早々にソールドアウト。人気ボクサー同士の対決に、世界中のファンが熱い視線を注いでいた。

試合開始のゴングが鳴ると、ガルシアがジャブで先手を取り、デービスは出方をうかがいながら戦う。

2ラウンドでは、ガルシアがさらにプレッシャーをかける。しかし、左フックを放ったところで、デービスのカウンターパンチによりダウン。

ガルシアがペースを掴みかけたように見えたが、一気にデービスの流れになった。

中盤では、勢いをつけたデービスがボディを攻め、ガルシアは得意の左フックがなかなか出せなくなる。

そして第7ラウンド。近距離での攻防のなか、ガルシアの右パンチに対して、デービスがカウンターの左ボディを決める。

苦しい表情を見せたガルシアは後退し、膝をつきダウン。レフェリーにカウントされるも立ち上がれず、デービスの7R1分44秒KO勝利となった。

勝敗の決め手

蓋を開けてみればデービスの圧勝だった。

デービスは、ほとんどの試合をKOで決めており、パワーはもちろんカウンターなど優れた技術を持っている。

2ラウンドに奪ったダウンは、ガルシアの得意の左フックに対して、絶妙なタイミングでパンチを放っていた。ガルシアも序盤に良い攻撃を見せていたが、デービスのカウンターをもらった直後から徐々に失速していた。

そして最後の決め手となった左ボディは、最小モーションかつ、相手と同時にパンチを放ったため、試合を見ていたプロでも気づけなかった。

カウンターは2種類あり、相手の打ち終わりに当てるカウンターと、相手のパンチと同時に放つカウンターがある。

特に後者は難しいパンチではあるが、そのぶんKOに繋がりやすい。まさにデービスがパンチスキルの高さを見せつけた試合となった。

主役はデービス

試合後のインタビューでデービスは「この試合に勝つことを決めていた。ガルシアはスキルもあるし手強い相手だった。これからは自分がボクシングの顔になる」と語った。

一方、プロ初黒星を喫したガルシアは「タンク(デービス)は強かった。良いパンチが決まってしまって、立ち上がるつもりだったが呼吸ができなかった。舌戦を繰り返したが彼は強かった」とデービスを称えた。

今回の試合でデービスは500万ドル以上、ガルシアは250万ドル以上のファイトマネーを受け取る。

更にPPVの最低補償額が加わるなど、中量級では破格のファイトマネーだ。

本人が最後に語ったように、今後ライト級からスーパーライト級の主役はデービスとなるだろう。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事