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日本でセクハラ永久除名の韓国スキー選手。キム・ヨナでもトラブった素行の悪さとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
モーグル韓国代表のチェ・ジェウ(写真:松尾/アフロスポーツ)

女子団体パシュートの“土下座”と並べて報道

モーグル男子韓国代表のチェ・ジェウとキム・ジホンが、日本でセクハラ騒動を起こし、韓国スキー協会から「永久除名」処分を下された。

平昌五輪の直後に起きたこの事件は、韓国でも波紋を広げており、現地では関連報道が絶えない。「イ・スンフン、イ・サンファ、クァク・ユンギ。そしてキム・ボルムとチェ・ジェウ。平昌スターの分かれた運命」(『UPDOWNNEWS』)など、スピードスケート女子団体パシュートで起こった“いじめ騒動”と並べて報じるメディアもある。

(参考記事:「団体パシュートは捨てた試合」「差別を感じる」韓国“いじめ騒動”渦中の選手が暴露した内幕

事件の顛末はこうだ。

韓国メディアの報道によれば、3月3~4日に秋田県の田沢湖で行われたモーグルW杯に出場したチェ・ジェウとキム・ジホンは、主催者側が記念品として贈った地酒(500ml)を二人で4本飲み、隣の部屋に宿泊していた女子韓国代表選手たちを「一緒に飲もう」と誘った。

女子選手たちが誘いを断ると、無理やり抱き寄せたり、体を触ったりしたという。女子選手たちの腕に歯型が残っていたことから、腕に噛みついたとの推測も出ている。

暴行を受けた女子選手たちの悲鳴を聞いてコーチが駆けつけ、その場は収まったが、被害に遭った女子選手たちは帰国後、警察に通報。韓国スキー協会は3月14日、チェ・ジェウとキム・ジホンに、もっとも重い処分である「永久除名」を言い渡したと発表した。

韓国スキー協会の関係者によると、チェ・ジェウとキム・ジホン、被害を受けた女性選手たちの4人は、平昌五輪を目指して6年近く同じ釜の飯を食べてきた家族のような関係だったという。

それだけに、被害を受けた女子選手たちは精神的に大きなショックを受けており、専門家にカウンセリングまで受けているという。

過去には「キム・ヨナを馬鹿にした」と炎上

今回の事件が大きな波紋を呼んでいることには、騒動を起こした二人の経歴も関係しているだろう。

チェ・ジェウとキム・ジホンは韓国スキーの看板選手と称され、平昌五輪でも期待を集めた選手だ。メダルには届かなかったが、韓国期待の有望選手であったことは間違いない。

特にチェ・ジェウは、これまでも何かとその言動が注目を集めてきた選手である。

例えば、チェ・ジェウは自身のSNSに少女時代の元メンバーであるスヨンとの2ショット写真を公開して話題になったこともあったし、人気ボーイズグループSUPER JUNIORのドンヘがチェ・ジェウとの2ショット写真を掲載し、二人の関係に関心が集まったこともあった。

また、4年前のソチ五輪では、キム・ヨナと撮った写真を自身のSNSに公開した直後に、韓国新体操の“妖精”ソン・ヨンジェと一緒に撮影した動画を公開。「朝から爆発的な反応を呼んだ(キム・ヨナとの)写真があるが、私はこっちの方がいい」とコメントしたことで、「キム・ヨナを馬鹿にしている」と猛批判を受けたこともある。

平昌五輪を機に、韓国ではキム・ヨナの存在感がこれまで以上に増しただけに、当時の炎上騒動を蒸し返すメディアも少なくなかった。

(参考記事:女王キム・ヨナは約16億円を荒稼ぎ!? 平昌オリンピック特需で沸くスターとアイドルたち

それでも平昌五輪を前に、「酒もやめて、車も売り、友達との付き合いも断った」と五輪にかける思いを語って関心を呼び、平昌五輪期間中にもアメリカのトランプ大統領の長女であり大統領補佐官であるイヴァンカ・トランプ氏との2ショットを公開して、メディアに取り上げられていた。

有望選手として国民の期待を集め、日頃からその言動も目立っていただけに、今回のセクハラ騒動にもより一層注目が集まっているわけだ。

#MeToo運動が盛り上がる中で…

まして、韓国では現在、#MeToo運動が盛り上がっている。

1月29日に現職検事だったソ・ジヒョン氏がJTBCの看板報道番組『ニュースルーム』でセクハラの経験を暴露したことを皮切りに、政界や文学界、芸能界でも告発が相次いでいるのだ。

最近も、韓国映画界の“鬼才”キム・ギドク監督に性的暴行疑惑が浮上し、大騒ぎになっている。

(参考記事:暴行だけではなかった!? “韓国映画界の巨匠”キム・ギドク監督にエグすぎる性的暴行疑惑

それだけに、今回セクハラ騒動を起こしたチェ・ジェウとキム・ジホンが厳しい批判にさらされることは免れないだろう。

平昌五輪を成功裏に終え、パラリンピックが盛り上がっている真っ最中に起きたセクハラ騒動。

平昌五輪直前には、韓国スキー協会が日本ではあり得ないであろう選考過程の“不祥事隠蔽”をしていたことが発覚して問題も起こったが、今回の騒動も、韓国スキー界に少なくない影響を及ぼすことになるに違いない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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