知る人ぞ知る唯一無二の個性あるお店

オンリーワンの濃厚とんこつラーメン

この日は、濃厚だけどクドくない一杯を求めて開店直後の訪問。そのチューニングの妙を体験できるのは、ここだけの特徴。広々とした専用駐車場はまだ余裕があり、車を停めて店内へ入ると、先客は家族連れとカップルの2組。レジ横のカウンターの右端に着席しメニューの中から〈かなで食堂〉の創業以来のフラッグシップ「濃厚とんこつラーメン」を単品で選択。

絶品の味付玉子が半玉デフォルトで付いているので、味付玉子のトッピングは回避しつつ、待つことしばし。目の前に配膳された一杯は、トロッとした見た目から濃度の高さがわかるドッシリとした「濃厚とんこつ」。その一方、脂感はかなり抑えられていて口当たりはマイルドなので後味もスッキリ。何度も経験しているけど、スープが喉元をサラリと通過するこの感覚は一般的な「豚骨ラーメン」の概念が崩れるような不思議な一杯。具材も博多の豚骨ラーメンではあまり見かけない（最近はちょっと増えてきた）大判のレアチャーシューや海苔が入っていて、まさに唯一無二の罪悪感のない逸品だ。

合わせる自家製の麺は、コシのしっかりある歯応えの良さが秀逸。濃厚なスープによく絡んで食べ応えも十分。もちろんスープとの相性も抜群で、啜るたびに旨みが押し寄せてくる美味しさがある。

濃厚とんこつをアレンジした人気の二品

濃厚なのにあっさりで脂っぽくない、唯一無二のとんこつのスープ。〈かなで食堂〉には、そのスープを使ってアレンジを加えた2つの人気メニューがレギュラーメニューとして存在する。

一つは「とまとんこつラーメン」。イタリアン風なラーメンで、2011年の創業以来のロングセラーメニューで、トロミがありザラッとした食感の濃厚で旨みたっぷりなベーススープに粗めのトマトペーストを混ぜ合わせることで、2つの旨み成分の相乗効果で旨みがあふれ出す逸品に。さらに素揚げされた茄子とカボチャ、角切りの刻みチャーシューがゴロゴロと入ったバランスの整った一品。特製の味変用の香り豊かなバジルソースを加えるとさらに進化し、美味しさとヘルシーを楽しめる。

もう一つは「担々麺」。濃厚とんこつラーメンよりも「コク」がグッと増した一杯で「コクウマ」と「シビカラ」が奏でるハーモニーを楽しめる。こちらもロングセラーで、常連さんの支持率No.1の人気を誇っているのも頷ける一杯だ。合わせる自家製麺は、どちらも福岡・博多らしい中細のストレート麺。きっちりとコシがあり、小麦の風味も楽しめる。

観光や出張で福岡県に来られてラーメン店を選ぶとなると、一般的には利便性の良い場所の有名な豚骨ラーメン店を選びがちだと思います。そんな中、少し遠出する余裕があるのであれば、ちょっと違った視点の「濃厚とんこつラーメン」を選んでみても良いのかもしれません。こちらの〈ラーメン かなで食堂〉も「福岡・博多のラーメン」選びの候補の一つにされると良いかもしれませんね。

現在カテゴリーの違う3店舗の運営体制

2015年に開業した福岡市博多区東比恵の「中華そばかなで〜鶏だし編〜」は「鶏出汁の中華そば」をメインとした、知る人ぞ知る福岡を代表する非豚骨の名店。ミシュランガイド2019の特別版にも掲載された「かなでグループ」の2号店になる。そして2022年には福岡市東区多の津に3号店となる「煮干系の中華そば」をメインとした「中華そばかなで〜煮干編〜」を開業。どちらのお店もハイレベルなラーメンを提供しているので、近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

ラーメン かなで食堂 春日本店