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「何度も予想しては外れる」北朝鮮の7回目の核実験の時期

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
北朝鮮の豊渓里にある核実験場(筆者作成)

 韓国大統領室の申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長は今朝、韓国の「聯合ニュースTV」に出演し、北朝鮮の核実験の可能性について「米大統領選挙(11月7日)の時期も含めて可能性は十分にある」と発言していた。

 申室長はいつものように「北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)が決心さえすればいつでも核実験をできる状態を維持している」と述べた上で「いつやるかは戦略的有利不利を計算して決定するだろうし、その時期については米大統領選前後も含まれる」と答えていた。

 正直、この程度の予想ならば、安保室長でなくても、一般の北朝鮮問題専門家やジャーナリストならば誰でも言えることだ。問題は2年前から韓国は何度も分析、予想、予告しては外していることである。

 韓国は北朝鮮が米朝ハノイ会談(2019年2月)決裂により「核兵器とICBM実験発射中断など我々が取っていた非核化措置をもはや継続する理由がなくなった」(2019年12月)として核開発の再開を宣言してから7回目の核実験を警戒している。韓国だけでなく、米国もしかりである。

 特に偵察衛星の写真を基に米研究機関や北朝鮮分析サイト「38ノース」などによって2018年に爆破された核実験場の修復が確認された2022年には早くも4月2日には李鐘燮(リ・チョンソプ)国防部長官(当時)が「今月中旬にも北朝鮮が豊渓里の核実験場で未使用の第3坑道を使って核実験を再開すると判断している」と発言していた。「4月説」の根拠は15日に金日成(キム・イルソン)主席生誕110周年、4月25日に人民革命軍創建90周年を迎えるからである。

 また、核起爆装置の作動試験の終了が確認されるや5月6日付の韓国有力紙「東亜日報」は北朝鮮が「バイデン大統領の訪韓(5月20日)直前に小型核弾頭の実験を行う可能性が高まった」と単独スクープとして報じていた。

 さらに、この年の9月28日には韓国情報機関「国情院」が非公開で開かれた国会の情報委員会の場で「中国共産党大会(10月25日)の終了後、米国の中間選挙日(11月8日)までの間に行う可能性がある」と分析し、共産党大会が過ぎると、10月26日には「米中間選挙日の11月8日までに行われる可能性がある」との見解を明らかにしていた。

 申源湜室長も国防長官だった今年1月10日に「聯合ニュース」でのインタビューで「韓国総選挙(4月)や米大統領選など韓米の政治日程を考慮し、影響力行使に向けた最適な時期を考えているだろう」と予測していた。

 予想や予測が外れれば、安保を預かる軍としてのあるいは情報機関としての権威や信頼性が問われかねないだけに控えたほうがよいと思われるのだが、北朝鮮を牽制するためにも、また国際社会に北朝鮮の脅威を強調するためにもその都度、発信する必要性があるかもしれない。

 北朝鮮は2017年9月3日を最後に7年にわたって核実験を実施していない。韓国の予想は今度こそ、当たるのではと思われるのだが、核ボタンを押すか、押さないかは核ボタンを握っている当事者の金総書記以外は誰にもわからない。

 それは、大気中の放射性物質を採取する特殊偵察機「WC135」や電子偵察機「RC135」(「コブラボール」)を飛ばしている米国も同じで、北朝鮮以外のどの国も言い当てることができないのが実情である。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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