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格が違いすぎる!――千賀滉大が2軍戦で6回12K無失点

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンク千賀滉大投手(写真は5月のウエスタン戦)

島袋2回0封、3者連続K! 鷹2軍は11連勝

9月4日(金)、ウエスタン・リーグの福岡ソフトバンクホークス対阪神タイガースがヤフオクドームで行われた。ヤフオクドームでの「親子試合」は今季最後だが、今月21日(月・祝)に2軍戦ヤフオクドーム単独開催(中日ドラゴンズ戦)が予定されている。

阪神     000000000 0

ソフトバンク 11100200× 5

<バッテリー>

【T】●秋山(3勝5敗)、榎田、筒井、守屋――小宮山

【H】◯千賀(9勝2敗)、島袋、大場――鶴岡

<本塁打>【H】猪本12号

【戦評】

首位を走るソフトバンクが9月最初の試合を勝利した。これで11連勝。

序盤から主導権を握った。初回に塚田の右前タイムリーで先制。2回は牧原、3回には松中がタイムリーを放ちリードを広げた。6回には猪本が12号2ランを右翼席へ運んでダメ押しした。

先発の千賀は6回を投げて12三振を奪う快投。三塁を踏ませず0を並べた。その後島袋が2回、大場が1回を抑えて完封リレーを完成させた。

阪神は先発秋山が序盤に毎回失点し、3回までに72球を費やす苦しい投球。打線も8番・小宮山以外の先発全員が三振を喫するなど良いところがなかった。

両チームのスタメン。プレーボールは10:10だった
両チームのスタメン。プレーボールは10:10だった

毎回12K千賀、三振は「狙ってやろうと思った」

異次元の奪三振ショーだ。先発した千賀滉大が6回まで投げた。18個のアウトのうち毎回の12奪三振。6回以外は2個以上のマルチ奪三振を記録する快投を演じた。

久しぶりの先発だった。8月18日、1軍でオリックス打線を7回無失点に封じて先発プロ1勝目を挙げて以来。嬉しい白星だったが「内容は最悪。ストレートでストライクが取れなかった」と反省の弁が先に出る。課題は投球フォームだったが、この日は「軸できちんと回れた」とマウンド上で手応えがあった。

1軍初勝利より内容は「はるかに」上

立ち上がりからバランス重視の脱力投法を見せた。直球は145キロ前後。それでも打者に押し勝ち、持ち味のフォークも冴えた。「良いフォームで投げられたので全く疲れていなかった」と5回から力を入れると球速もアップ。6回にはこの日最速の151キロを2度計測した。

「(1軍の)オリックス戦よりもはるかに良かった。調子も良く腕も振れたので、追い込んだ場面では三振を狙ってやろうと思って投げました」

また、「ウエスタンの成績でナオさん(東浜巨)に抜かれていたから(笑)」と冗談も飛ばし、帰りの車に乗り込んだ。

近い将来に先発の柱となるため、今季は2軍で先発のイロハを体に染み込ませる大事な1年。「コレかなというのは出来たと思います」。この日のヤフオクドームでのマウンドが、未来のエースをまた一歩成長させたようだ。

猪本「びっくり」右方向へ特大12号

猪本健太郎が驚愕の一発を放った。6回、1アウト一塁で対するは阪神左腕の榎田。3ボール1ストライクからの外角球を流し打つと、打った瞬間からものすごい勢いで右方向へ伸びていった。打球は「ホームランテラス」を越えてライトスタンドに飛び込んだ。「我ながらびっくりしました」と猪本。「シュート系のボールだったので、引っ張ったらいけないと思い右方向へ打ちました。最悪外野フライならゲッツーはないと思って(笑)」と話すが、ヤフオクドームで流し打って外野スタンドへ運ぶとは…。やはり只者ではないことを証明してみせた。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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