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アストロズが生え抜き三塁手に提示した再契約は1億5000万ドル以上だが、本人の希望と隔たりあり!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
アレックス・ブレグマン Jun 11, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、FAになったアレックス・ブレグマンは、ヒューストン・アストロズ以外ではプレーしたことがない。2015年のドラフトで全体2位指名を受け、翌年の夏にメジャーデビュー。そこから、三塁を定位置としてきた。

 アストロズはブレグマンを呼び戻そうとしているが、提示した再契約は、ブレグマンの希望とは隔たりがあるらしい。MLB.comのブライアン・マクタガートは、12月5日に「情報によると、今週、アストロズはブレグマンに約1億5600万ドルの6年契約を申し出た」「けれども、ブレグマンが望んでいるのは2億ドル近い契約だと思われる」と報じている。

 ブレグマンは、9シーズンに191本のホームランと265本の二塁打を打ち、打率.272と.出塁率366、OPS.848を記録している。ここ3シーズンのホームランは25本前後だが、2018~19年は31本塁打と41本塁打。2018年の二塁打は、51本を数えた。また、2024年の出塁率は.315ながら、その前の7シーズン(2017~23年)は出塁率.350を下回ったことがなかった。稀代の名手とまではいかないものの、守備も優れ、2024年は初めてゴールドグラブを受賞した。年齢は、来年3月に31歳となる。

 今オフのFA市場に、ブレグマンと肩を並べる三塁手は見当たらない。だが、ブレグマンが希望額を「ディスカウント」しない限り、アストロズで再びプレーすることはないかもしれない。

 アストロズは、2018年の開幕前に、二塁手のホゼ・アルトゥーベと7年1億6350万ドル(2018~24年)の延長契約を交わした。この契約のうち、2018年の年俸600万ドルと2019年の年俸650万ドルは、その前の契約、4年1250万ドル(2014~17年)についていた球団オプションと同額なので、2年分の球団オプション行使+5年1億5100万ドルの延長契約、という見方もできる。

 7年1億6350万ドルと5年1億5100万ドルのどちらにせよ、アストロズの球史においては最高の総額だ。アルトゥーベは、2018年のシーズン年齢(6月30日時点)が28歳、2020年は30歳だった。2025年のブレグマンは31歳だ。

 アルトゥーベとブレグマンは、2010年代の後半に、外野手のジョージ・スプリンガー(現トロント・ブルージェイズ)と遊撃手のカルロス・コレイア(現ミネソタ・ツインズ)とともに、アストロズの「コア・フォー」と称された。

 スプリンガーとコレイアは、2人とも、FAとなったオフにアストロズを去った。スプリンガーはブルージェイズと6年1億5000万ドル(2021~26年)、コレイアはツインズと3年1億530万ドル(2022~24年)の契約を交わした。2022年のオフにこの契約をオプト・アウトした(打ち切った)コレイアは、紆余曲折を経て、6年2億ドル(2023~28年)の契約でツインズに戻った。

 アストロズは、ブレグマンを呼び戻すことができなくても、やむを得ないと考えている可能性もある。ここ3シーズンに、アストロズで計50本以上のホームランを打った選手は4人いる。ヨーダン・アルバレスが103本塁打、カイル・タッカーが82本塁打、ブレグマンが74本塁打、アルトゥーベは65本塁打。ここ3シーズンの出塁率は、高い順に、アルバレスが.401、アルトゥーベが.374、タッカーが.362、ブレグマンは.349だ。

 今年2月、アストロズは、アルトゥーベと5年1億2500万ドル(2025~29年)の延長契約を交わした。アルバレスは、来シーズンが6年1億1500万ドル(2023~28年)の契約3年目だ。一方、タッカーは、このままいくと、来オフにFAとなる。アルバレスとタッカーは、ブレグマンより若い。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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