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【七夕酷暑】気象予報士が「見たことない」暖気で関東内陸は40度!?雷雨にも広く警戒を:予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
7日9時の予想天気図(気象庁HPより)。気温が上がりやすい「南高北低」の気圧配置

7日は広い範囲で酷暑と雷雨に注意・警戒が必要。日差しが出る時間の長さによっては40度前後まで気温が上がるおそれもある一方で、広い範囲で突然の雨となったり、総降水量が多く大雨となる地域も出てきそうです。

西~東日本は強い日差しと雷雨、北日本は大雨に

7日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
7日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

7日は沖縄~西・東日本で晴れるところが多く、東海~関東では35度以上の猛暑日となるところが多くなりそうです。
予想最高気温は秩父(埼玉)で39度、前橋・甲府・静岡・名古屋で38度など、余裕で体温を超えるような暑さ。特に関東内陸の群馬・埼玉県内では気象庁のスーパーコンピューターの計算で40度前後になるようなデータも出ていて、観測記録を塗り替えるような酷暑になるかもしれません。

7日の予報(気象庁HPを元に作成)。
7日の予報(気象庁HPを元に作成)。

一方で、北海道や東北には上空に寒気を伴った低気圧や前線が近づき、広く雨が降る見通し。なかでも秋田・山形では1日あたり100ミリを超えるような大雨になる予想となっています。

8日にかけての予想降水量(気象庁HPより)。
8日にかけての予想降水量(気象庁HPより)。

さらに、晴れ間が予想されている西~東日本でも雷雨のおそれが。大気の状態が不安定になり、中国地方や四国・近畿で午後は突然の雨や雷に注意が必要です。関東北部でも一部、雷雨の可能性があります。

「見たことない」暖気!?

7日18時の上空1500メートル付近の気温予想(気象庁データを元に作成)。
7日18時の上空1500メートル付近の気温予想(気象庁データを元に作成)。

気象予報士が普段から見ている資料のひとつに、上空1500メートル付近の気温の予想図があります。これは様々な使い方ができる便利なデータで、夏季は特に地上の気温がどのくらいまで上がるポテンシャルを持っているかを判断するときに使われます。
今回、7日に予想されている1500メートル付近の気温予想に27度という数字が表れて、気象予報士の間では「見たことない」とか「1回見たことあるかどうかくらい」などと、かなり話題になりました。
もともと太平洋高気圧とチベット高気圧の勢力が強く、高温になりやすい環境が整っていますが、ここまでの数字とは…というのは筆者を含め複数の気象予報士が感じたところです。

なお、この上空の気温は、晴れた場合はだいたい12~15度(時期による)を足すと地上の気温になりますが、もちろん1日中晴れない場合もありますし、気温を下げるような風が地上で吹くなどして、暖気の持つポテンシャルが存分に発揮されないこともあります(逆に、フェーン現象を引き起こすような風が吹いてポテンシャル以上に高温になることもあります)。
実際の予報には地上の天気や風などの実況の監視が加味されます。

週明けまで猛暑続く・週後半は前線南下

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

今回の一連の猛暑は関東など一部の地域で週明け8日(月)まで続きそうですが、その後は次第に収まっていきそうです。
特に週後半の10日(水)・11日(木)以降は梅雨前線が東北付近から東~西日本付近へと南下し、雨の範囲が広がる見通し。
来週末にかけては雨の情報をしっかり確認する必要がありそうです。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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