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台風が週末の東日本へ

饒村曜気象予報士
週末の日本付近の風(7月26日9時の予想)

各地で梅雨明け

 令和元年の梅雨明けは、沖縄で平年より6日遅い6月29日、奄美で平年より14日遅い7月13日でした。

 その後、曇りや雨の梅雨空が続いていましたが、日本列島から梅雨前線が消えました。

 そして、暖かくて湿った空気が入ったために大気の状態が不安定となり、局地的に激しい雨の所があったため、九州北部、九州南部、四国、近畿、北陸地方が梅雨明けとなったのは、不安定性の雨が止んだ7月24日でした(表)。

表 令和元年の梅雨明け
表 令和元年の梅雨明け

 今のところ、各地で平年より梅雨明けが遅く、特に九州南部と奄美で遅かったというのが、令和元年梅雨明けです。

 山陰地方が雲が多かったために7月24日の梅雨明けを見送った中国や、南海上からの暖かく湿った空気の流入すると思われる関東と東海も、まもなく梅雨明けと思われます。

 なお、梅雨前線が再び出現する可能性がある東北の梅雨明けは、もう少し先のようです。

【追記(7月25日16時)】

 気象庁は、7月25日昼前に中国地方の梅雨明けを発表しましたが、東海・関東地方は7月25日夕方になっても梅雨明けの発表はありませんでした。

例年は「梅雨明け10日」

 昔から「梅雨明け10日」という言葉があります。

 梅雨明け後の10日間は、晴天が続いて行楽日和になるという意味ですが、今年は、あてはまらなそうです。

 というのは、日本の南海上には熱帯低気圧(熱低)があって、今後24時間以内に台風にまで発達して北上してくる可能性があるからです(図1、タイトル画像参照)。

図1 予想天気図(7月26日9時の予想天気図)
図1 予想天気図(7月26日9時の予想天気図)

 資料は少し古くなりますが、以前に、昭和26年(1951年)から昭和52年(1977年)の資料を用いて、台風について調べたことがあります。

 7月の台風の統計では、日本の南海上の台風は、本州にかなり接近するまで北上を続け、かなり接近してから、向きを東に変えるものが多くなっています(図2)。

図2 7月の台風の平均経路(数値は空間平均した存在数)
図2 7月の台風の平均経路(数値は空間平均した存在数)

 今回、台風が発生すれば、台風6号となり、名前がナーリー(意味は百合の花で韓国が命名)となります。

 気象庁では、台風が発生する前でも、台風になりそうな熱帯低気圧(熱帯低気圧a)に対しては、24時間予報を発表しています(図3)。

図3 熱帯低気圧aに関する進路予報(7月25日3時)
図3 熱帯低気圧aに関する進路予報(7月25日3時)

 (台風情報は、気象庁の発表する最新のものをお使いください。)

台風で変わる天気予報

 台風が出現すると、週間天気予報が大きく変わることがあります。

 新しい全国の週間天気予報では、東京では26~28日、名古屋では26~27日に傘マークがありますが、少し前までの週間天気予報では、この期間、いずれも、お日さまマークでした(図4)。

図4 気象庁が発表した週間天気予報(7月25日5時)
図4 気象庁が発表した週間天気予報(7月25日5時)

 台風の進路によっては、また変わるかもしれませんので、最新の気象情報の入手に努めてください。

 特に今週末は、夏休みに入って最初の週末であり、しかも梅雨が明けたということから、多くの人が海や山へでかけると思います。

 台風の風や雨によって、思わぬ事故に遭遇する可能性がありますので、楽しくて安全なレジャーのためには、まず情報入手です。

 そして、引き返す(出直す)勇気です。

 危険を冒さなくても、海や山はいつでも待っています。

タイトル画像、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3、表の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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