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米国、ウクライナ軍に攻撃ドローン「フェニックス・ゴースト」121機提供へ「東部で必ず役立つ」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

米国防総省のジョン・カービー報道官は2022年4月21日にウクライナに対して8億ドル(約1000億円)の追加軍事支援を行い、その中で攻撃用の軍事ドローン「フェニックス・ゴースト(Phoenix Ghost)」を121機提供することを発表した。

「フェニックス・ゴースト」の詳細は明らかにしていないが、アメリカ政府はすでにウクライナ軍に対して攻撃用の軍事ドローン「スイッチブレード」を700機提供しているが、カービー報道官によると「スイッチブレードと同じようなものだ」とのこと。そしてカービー報道官は「フェニックス・ゴーストは監視などにも使用することは可能だが、主な目的は攻撃を行うことだ(principle focus is attack)」と強調。さらに「ウクライナ軍が現在、東部地域(ドンバス地方)で必要としている兵器と一致している。必ず役に立つだろう」と語っていた。

バイデン政権は2022年3月に米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」をウクライナ軍に提供していた。「Switchblade300」と「Switchblade600」が上空から標的に突っ込んでいき、戦車などを破壊することができる。同社ではイメージ動画も公開している。

ロシア軍がウクライナに侵攻してから、両国ともに軍事ドローンによる上空からの攻撃が続いている。ロシア軍はロシア製の軍事ドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っており、ウクライナ軍はアメリカが提供した「スイッチブレード」の他、トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」や英国が提供している攻撃ドローンも活用。「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功しており、ウクライナでは「ロシアへの抵抗の象徴」になっているそうだ。軍事ドローンが上空から地上に突っ込んできて攻撃をして破壊力も甚大であることから両国にとって大きな脅威になっている。

そして攻撃ドローンだけでなく監視・偵察用ドローンもウクライナ上空を飛行しておりドローン迎撃システムで機能停止されたり、撃墜されている。そのため攻撃ドローンも監視・偵察ドローンも何台でも必要である。特に攻撃ドローンは敵陣に突っ込んでいき標的を爆破するので、一度利用すると破壊されるため再利用することができない。

これほどまでに監視から攻撃までドローンが紛争に使われているのはウクライナ紛争が初めてであろう。そして両軍にとって監視・偵察の観点からも、攻撃の観点からもドローンがとても重要になっている。欧米のメディアを見ていると「ドローンはきわめて重要な兵器だ(pivotal weapon)」と報じており、「pivotal weapon」という言葉をよく耳にする。

▼「フェニックス・ゴースト」の提供について言及するカービー報道官

▼米国が既にウクライナ軍に提供している軍事ドローン「スイッチブレード」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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