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リブゴルフ選手の戦う場を広げるため?PIFとDPワールドツアーが個別交渉と米メディアが報道 #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

リブゴルフを支援しているサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」が、欧州拠点のDPワールドツアーと直接交渉を行なっていることが、米ブルームバーグによって報じられ、米ゴルフ界をざわつかせている。

米スポーツイラストレイテッドによる続報によると、交渉の内容の中心は、ジョン・ラームをはじめとするリブゴルフ選手がDPワールドツアーに出場できるような体制を作り出すこと、そしてリブゴルフ選手のDPワールドツアーのメンバーシップを復活させること。

さらには、リブゴルフとDPワールドツアーとのスケジュール調整やPIFによるDPワールドツアーへの経済的サポートといった内容も含まれているという。

2021年にリブゴルフが創設されて以来、DPワールドツアーはPGAツアーと戦略的提携を結び、歩調を合わせて進んできている。

その戦略的提携が結ばれたことで、PGAツアーとDPワールドツアーの共催大会が開催されるようになり、PGAツアーからDPワールドツアーへの経済的サポートも行われている。

2023年6月にPGAツアーのジェイ・モナハン会長とPIFのヤセル・ルマイヤン会長が電撃的に「統合」を発表すると、DPワールドツアーも「統合」に向けての交渉に参加している。しかし、その交渉は、すでに18か月以上、進展は見られず、いまなお結論には至っていない。

その一方で、PGAツアーは米コンソーシアムの「SSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)」とパートナーシップを結び、PGAツアー・エンタープライズを創設するという個別の動きを見せている。

そんな中、DPワールドツアーも「個別の動き」を見せても不思議ではなく、逆に言えば、PGAツアーとの交渉が膠着状態となっている今、PIFが視線を欧州に向け、DPワールドツアーに積極的にアプローチをかけても、おかしくはない。

米スポーツイラストレイテッドがDPワールドツアーにコメントを求めたところ、声明による返答が得られたものの、「質問に直接答える内容ではなかった」とのこと。

「DPワールドツアーは男子のグローバルなゴルフの全体像を見据えながら、PGAツアー、PGAツアー・エンタープライズ、SSG、PIFとの討議を続けていく」

個別に形成されるピースをつなぎ合わせたとき、その完成図が均整の取れたものになるのかどうか。昨今のゴルフ界の動きには、不安が募るばかりだ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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