Yahoo!ニュース

突然降ってくるひょう 身を守るには?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

24日午後、東京都三鷹市や調布市で大量のひょうが降り、まるで雪のように積もりました。

現地からの映像や報告を見るかぎり、氷の粒は直径1~2センチほどのものが多く、積雪ならぬ積ひょうは、深い所で数十センチはあるようでした。ちなみに、直径が5ミリ未満の氷の粒は、あられと分類されます。

大量のひょうの原因は?

ひょうは積乱雲の中でできます。氷の粒が落ちるのを、強い上昇気流が押し戻すことを繰り返す中で、小さな氷の粒や水滴が凍ってくっつくなどして大きく成長します。今回、積乱雲の中では、一段と強い上昇気流が起こり、ひょうが大きくなって落下するまで、時間を稼いでいた可能性があります。

ひょうは、地上に落下するまでに融ければ、雨になります。もし、24日が35℃近い暑さだったら、ボタボタと大粒の雨が降っていたでしょう。

ひょうが降った頃は26℃前後。これでも融けやすい気温ですが、ひょうがもともと大きかったこと、また、積乱雲から地上に吹き下りる強い下降気流によって、融けきる間もなく勢いよく地上に落ちてきたため、大量の降ひょうになったと思われます。

過去には、かぼちゃ大のひょうも

これだけのひょうが降るのは珍しいですが、ただ、過去に例がないわけではありません。

1917年(大正6年)6月には埼玉県北部で、かぼちゃ大のひょうが降ったという記録が残っています。

また、近年では、2000年5月に茨城県と千葉県で、みかん大のひょうが降り、深く積もりました。乗用車がひょうに半分くらい埋まっている様子や、中にはソフトボールに近い大きさのひょうもあるなど、現地からの画像に驚いたのを覚えています。

ひょうから身を守るには?

ひょうの降る範囲はかなり狭く、予測は、激しい雨や雷より一段と難しくなります。

現実的には、雷が近づいた時点で「ひょうが降るかも」と意識し、落雷や突風に備えるのと合わせて、早めに屋内へ避難することが対策となります。

ただし、屋内も安全とは限りません。2000年5月の茨城・千葉の大ひょう害では、犠牲者こそ出なかったものの、割れた窓ガラスで、けが人が多く出ました。いざ、ひょうが激しく降ってきた場合は、窓から離れた屋内で、身を守る必要があります。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

増田雅昭の最近の記事