すっきりとした粒あんに手が止まらない…!ひと口最中「加賀鳶」は落雁の老舗が作る隠れた名品
師走の訪れと共に増えてくるのが火事。乾燥した環境というのはもとより、台所仕事が増えたりあれやこれやとしていると、用心に用心を重ねても起こってしまうことも。
それは江戸時代も変わらず。江戸城や街中で起こった歴史に名を刻む大火は冬に発生したものも多く、その際に活躍したのが火消組と呼ばれる人たちです。まるで大きなイカのように、棒につけたひらひらと白い短冊のようなものを振り回し火の粉を祓ったり、華麗な梯子さばきを披露する場面を何かしらでご覧になったこともあるのでは?
加賀百万石の文化を築き上げた石川県金沢市。その祖とされる前田利家の前田藩の火消組は「加賀鳶」と呼ばれ、その功績から幕府より認められたエリート集団だったのだとか。
今回は、創業1849年、全国的にもその名を馳せている落雁でも著名な「落雁 諸江屋」さんの最中「加賀鳶」をご紹介。
歴史好きとしては見逃せないものがあるのですよ、家紋入りの和菓子というものは。また、お菓子に纏わる背景やその土地の歴史もあんこと共に閉じ込められているというのならば尚更。
まるで小さな鼓、いえいえ、纏そのもののような最中。小柄な割になかなか強かな香ばしさを放つ最中種の両面には、それぞれ異なる模様が。どれが出てくるかわからないのもまたわくわくするところであります。
その風貌だけではなく、個人的に惹かれたのが粒餡の味わいと風味!第一印象は、なんて「すっきりとしたあんこ」なの!というところ。すーっと舌に馴染んでいく甘さ、そして口に広がる小豆らしい風味。その風味が最中種の香ばしさに引けを取らず、見事なハーモニーを奏でてくれるのです!最中ですからある程度の糖度も必要としますし、水分も飛ばさなければならないのですが、それにしてもなんという絶妙な味加減。
勿論抹茶をはじめほうじ茶などとも相性が良いは承知の上ですが、飲み物で口で口の中をさらりと流す前に、もうひとつ口にしたいと思わず手が伸びてしまうのです。いやぁ、通年商品でよかった…。
ちなみに。加賀鳶に入団するためには体力などの身体能力だけではなく、体格や顔立ちに至るまで厳しいチェックがありそれをクリアしなければ入団できなかったのだとか。
今でいうオーディション系のリアリティ番組があってもおかしくないような…ヒーローへの道は、一筋縄ではいかなかったのですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<落雁 諸江屋・本店>
公式サイト(外部リンク)
石川県金沢市1-3-59
076-245-2854
9時〜18時
定休日 木曜