中山美穂さん 韓国でも「超有名セリフ」で知られる存在 現地で悲しみの声続く 「私の思い出が…」
12月6日に訃報が報じられた中山美穂さんは、韓国でも女優として知られる存在だった。映画「ラブレター」(日本では1995年に上映)の主人公渡辺博子役で発したセリフからだ。
「お元気ですか?」
ソウル郊外在住の50代デザイナー(男性)が言う。
「韓国でも当時の若い世代では知らない人がいないほどの流行語となりました」
日本での放映から遅れること4年、1999年に韓国で上映が始まった。 この作品の韓国での偉大さは、同国で日本文化解禁となった98年以降、初めてのヒット作となった点だ。観客動員数は100万人とも140万人とも言われる。
当時、韓国政府の方針で公共の場で日本語が流れる映画、アニメ、音楽などが解禁となった。当時多くの映画作品が韓国市場で公開されたが、この作品が最も韓国人の琴線に触れた。
「この映画には、初々しい初恋の物語と、内気な性格のために最後まで伝えられなかった想いが込められています。私も恥ずかしがり屋な性格で、好きな人の前では気持ちを表すことも近づくこともできなかった経験があります。だからこそ、この映画の登場人物に一層共感することができました」
中山さんの訃報が報じられた6日の4日前、2024年12月2日に韓国最大のポータルサイト「NAVER」の同作プレビュー欄に残された韓国語ユーザーによるコメントだ。韓国での上映開始日が1999年11月20日だから、25年経った今でも記憶に残っている、ということになる。
一方、韓国での上映からおよそ2年後の2002年1月17日に韓国大手紙「東亜日報」がこの作品のDVD版の韓国での発売時期にレビューを掲載。中山さんの演技についてこう評している。
「無駄のない清純な演技は、いつ見ても感動を呼び覚ましてくれる」
「お元気ですか?」は”別格”
「岩井俊二監督の純粋な感情を紡ぎ出す演出も人気がありましたが、やはりなんと言ってもあのセリフですよね」(前述の韓国人デザイナー)
「お元気ですか?」は作品と中山美穂さんを韓国でも決定的に印象付けている。
どれほど有名か。これをうかがい知れるエピソードがある。
厳密に言うと中山美穂さんのセリフは「お元気ですか」の後に「私は元気です」と続く。しかし韓国では最初の「お元気ですか?」のみが超有名フレーズになった。
「後に韓国地上波のSBSでも映画が放映されましたが、他のセリフはすべて韓国語に吹き替えられましたが、この『お元気ですか』だけは日本語そのままで放映されたんですよ」(ソウル在住の50代の元新聞記者/女性)
悲しみの声「昨日まで映画音楽を聴いていた」
中山さんの訃報、そして日曜日に所属事務所側が発表した亡くなった理由を韓国大手5紙など主要メディアすべてが報じた。
「お元気ですか? 日本映画『ラブレター』の主人公 中山美穂さん 亡くなる」(聯合ニュースTV)
「『ラブレター』の主人公中山美穂、自宅で亡くなった姿で発見」(東亜日報系「チャンネルA」)
「チャンネルA」のニュース動画のコメント欄には、韓国語ユーザーたちによる悲しみのコメントが残されている。 以下のコメントに別のユーザーたちの共感が集まった。
「冬になると必ず『ラブレター』のドラマ音楽を聴くのに、こんなことが...昨日も聴きながら眠ったのに...ご冥福をお祈りします」
「私の思い出が今、一つずつ星になっていくのね...謹んでご冥福をお祈りします」 「あぁ...『ラブレター』...忘れられないのに...安らかにお眠りください」
「自分の知っている人たちが一人また一人と世を去っていく姿を見ると、人生って本当にむなしく感じることが多いですね...謹んでご冥福をお祈りします」
「『お元気ですか?私は元気です』を流行らせた女優。あの世でも多く愛されますように」
生前、中山美穂さんはこの「ラブレター」の出演について、こんなことを話していたという。
「最初は(音楽の)ステージやスタジオよりも、スクリーンは遠い場所だと感じていた」
そんな思いからトライした映画出演の答えは、確実に韓国の地でも記憶されるものとなっている。