ホームページでセイバーメトリクスの指標も公開。関西学生野球連盟の新たな取り組み
打率、打点に勝ち星と防御率・・・
に加えてOPS、IsoDにWHIPとK/BB・・・
リーグ戦の個人成績を表示した関西学生野球連盟のホームページにコアな野球ファンしか知らないような見慣れぬアルファベットが並んだ。
これらは野球を統計学の観点から分析、評価するセイバーメトリクスの指標で、ホームページに加えることを提案したのは記録担当の学生委員、立命館大学3年の谷口哲君。個人成績のページを更新した際、アメリカの大学で野球をしていた友人から「セイバーの記録も出したりせんの?」と言われたことがきっかけ。元々興味を持っていたという谷口君はこれを機に個人成績ページに手を加え、春季リーグ戦の中盤からOPSやWHIPの成績もホームページで公開した。
セイバーメトリクスが優れている点は主観や運の要素を除いた客観的な評価が出来ることだ。
例えば、完全に打ち取った当たりでも野手の間に落ちて安打になることがある反面、痛烈な打球でも正面に飛んでアウトになることもある。同じような打球を打たれてもその日の天候やグラウンドコンディション、野手の守備力によってもアウトになったり安打になったりする。しかし、奪三振と与四球に関してはそれら外的要因の影響を受けない。この奪三振と与四球から算出する指標がK/BBだ。ホームページ上で優秀と紹介されているのは3.50以上。そのためには7奪三振2四球以上の好成績が求められる。ピンチを何度も招きながら最少失点で粘った9回12安打1失点完投と9回7奪三振2四球1失点完投はこれまでの表記ならどちらも同じく1勝0敗、防御率1.00だが、おそらく次も好投が期待出来るのは後者の方だろう。世界各国、プロアマ問わず、K/BBの優秀な投手は好成績を残すことが多い。
他にも打者成績を見るならば、セイバーメトリクスで最も有名な指標は出塁率+長打率で計算されるOPS。計算が簡単なことに加えて得点との相関関係が打率よりも高く、打者の攻撃力を表す指標として優れている。これによって打率以上の評価を受けるのが関西大学の古川。7節1回戦終了時点での打率.325はリーグ9位。十分に好成績だが、リーグトップとなる二塁打6本を放っておりOPS.911はさらに順位を上げてリーグ4位。四球獲得能力を示すIsoDや長打力を示すIsoPでもリーグトップクラスの数字を残しており、相手バッテリーにとっては単に打率がチームトップだから、ではなく総合的に優れているため最も警戒しなければならない打者だということがわかる。
ホームページでは各指標の説明と共に優秀の目安となる数字も併せて表記されている。それらを見ると少し高めに設定されている印象を受けるが、それは「この数字を目指してほしいという意味も込めて」という谷口君からのメッセージがあるからだ。確かに表記されている数字をクリアした選手の成績はどこに出しても恥ずかしくないはず。セイバーメトリクスはまだ一般的には浸透していない段階だが、選手や監督から「おもしろいね」との声が聞かれるのも事実。打率や防御率以外の指標も公開するという全国的にも珍しい取り組みが選手の成長を後押しする。