ICカードをタッチする改札はどのようにしてデザインされたのか

(写真:アフロ)

JR東、タッチレス改札導入へ アプリを活用、来年にも実証実験(共同通信)』というニュースが11/27(水)に飛び込んできました。

JR東日本がICカードのSuica(スイカ)をかばんやケースから出さず、改札機にタッチもせずに乗客が通過できる「タッチレスゲート」を2~3年後に導入する方向で検討していることが27日、関係者への取材で分かった。スマートフォンの専用アプリを活用する。情報の処理能力や電磁波の人体への影響に関する技術的チェックは終えており、来年にも駅などで導入に向けた実証実験をする。

出典:共同通信

改札でタッチレスになるということは、つまり、ベビーカーを押しているときや、小さな子どもと手をつないでいるときなども、かばんの中を探したり、片手を離したりしないで済むので、助かりそうですね。

そして、大きな荷物を持っている人や、車いすの方、目の不自由な方にとっても便利になると思います。

一方で、ニュースのコメント欄の反響を見ていると、防犯面や二重引き落としなど、様々な課題があることもすでに懸念されています。

今の改札のデザインはどのようにしてできたのか

今の便利なICカードをタッチする改札も、実証実験を経て全国に広まっていったことをご存じでしょうか。

デザイナーの山中俊治氏(東京大学・教授)が、ご自身のブログ『デザインの骨格』にて、Suica(スイカ)の開発に携わった際のことを書かれています。

『あらためてSuicaの話でもしようか その1』

http://lleedd.com/blog/2010/11/25/suica_1/

『あらためてSuicaの話でもしようか その2』

http://lleedd.com/blog/2010/11/25/suica_2/

実証実験をした際には、「5回に1回しかうまくいかない」といった状態だったのだそうですが、以下のように、「デザイン」で解決した事例として有名です。

実験では驚くような光景がたくさん見られました。今では考えられないことですが、カードを縦に当てる人、アンテナの上で激しく振る人、有人の改札機のようにカードを機械に見せて通ろうとする人、ともかく光っている所にかざす人…。

いろいろな形のアンテナを試してみると、解決策は意外にシンプルな所にありました。「手前に少し傾いている光るアンテナ面」、それだけで多くの人がちゃんと当ててくれることがわかったのです。その他「ふれてください」という文字による案内が有効であることや、警告表示がおかれるべき位置などもわかってきました。それらの結果をふまえて作られた改良型による1999年の実験では、読み取り率は劇的に向上し、5割近かったエラー率が、1%以下に下がりました。これによって経営陣のGOがかかり、SUICAは2001年から導入されます。

出典:山中俊治の「デザインの骨格」

書籍『デザインの骨格』でもまとめられているので興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。

また、どうすれば使いやすいデザインができるのかを学びたい方には、書籍『誰のためのデザイン?』がお勧めです。

「使い心地のよさ」や、「自然と○○したくなるデザイン」というのはなんとなくできているのではなく、デザイナーやユーザインタフェースの専門家など、多くの人の知恵や経験が生きています。

そして、何より実証実験に参加してくださる大勢の方々の協力があり、そこから始まる議論があってこそ、良いデザイン、使いやすい技術を作ることができるのです。

高速道路のETCができたときのように、ゲートができるかもしれないですし、ETC用ゲートと一般ゲートのようなすみ分け方式になるかもしれません。

いろいろな課題はつきないと思いますが、「え?!昔って、切符をハサミで切ってもらって乗ってたの?!」と今の子どもたちがびっくりするように、数年後には「カードなんてわざわざ、ピッとかざして乗ってたの?!」という時代になるかもしれませんね。