「何が問題かわかりません」

と、某福田達夫総務会長センセイのように"しらばっくれる"ということはなくなってきたか。

統一教会と自民党の関係性。

日本の各メディアでこの実態を指摘するニュースが相次いで報じられている。自民党から90人近い議員が関係、とする記事もあれば4日のTBS「報道1930」は「新たに31人の議員に関わり」と紹介した。

4日、同番組に出演した紀藤正樹弁護士はこうコメントとした。

「統一教会関係者は、いわば選挙応援のプロ。選挙関連の法を知り、寝ずに動く実働部隊の存在は(自民党にとって)本当に助かるはず」

激しい。猛烈。

確かにこれは、韓国側の資料からもうかがい知れる。

他でもない、教団の韓国語での公式資料に莫大な数の「自民党」への言及がある。そのうち「強烈な忠誠心」を思わせる内容が多々あるのだ。公式資料だ。一次資料にこれが記されている。それもどこか誇らしげに。関連団体が多く、そのなかには右派の政治団体も多い教団の立場からすると「自民党との関係はポジティブなもの」と感じさせる。

これらのルーツは確かに、1960年代に始まっている。前回に続き、「統一教会と自民党」について韓国側の証言の紹介を。

<参考 当時のできごと年表>

  • 1954年 韓国で統一教会創立
  • 1957-1960年 日本で岸信介総理在任
  • 1958年7月 統一教会チェ・ボンチュン宣教師 日本密港
  • 1959年10月 東京に統一教会創立
  • 1964年 日本政府が統一教会宗教法人登録認定
  • 1965年 日韓国交正常化
  • 1968年1月 韓国国際勝共連合創設
  • 1968年4月 日本国際勝共連合創設(初代会長久保木修己氏)、以後当時全盛期だった日本共産党との戦いを展開

1985年当時の文鮮明氏
1985年当時の文鮮明氏写真:Fujifotos/アフロ

「始めて半年で自民党の基地をすべて使えるようになった」

教団側によると、統一教会文鮮明初代総統と自民党との最初のコンタクトは、1967年にあった。

この年、文鮮明氏は2ヶ月間に渡り日本を巡回。直接演説をしたり、工場など"現場"を回るなどして反共運動「勝共連合」の動きの基礎を築いていった。この時から勝共連合の活動を通じて日本の保守陣営、そして民団と協力関係を結ぼうとしたのだ。

1968年に日本で反共運動を始めたころの様子は「文鮮明先生みことば選集109」に収録されている。

そこには、教団側の根本的な日本への関心のきっかけ、そしてさらには自民党と関わっていった様子が記されている。

(文鮮明氏が)日本の仲間(信者)に「反共運動をしなさい」とおっしゃったので、全員の瞳が丸くなりました。韓国が日本の圧制下(統治下)にあったとき、先生は日本で勉強したため、日本に関心があります。この関係から先生が日本の仲間(信者)たちに反共教育をさせ、その運動をするように言いました。先生がやれ、というのにやらないのか? 答えは「反共運動をやらないと全員が死ぬ、ということになっています。やるかやらないか、といえばやります」と言うようになっています。で、反共運動をしてみると本当に(やらなければ共産党に負けて死ぬという)実感が湧くということです。

1980年11月1日、韓国の京畿道利川にあるスンゴン研修院で文鮮明氏が語った言葉から。

当然のことでもあるが、日本への関心のきっかけは「日本への留学」とある。文氏は日本統治下の朝鮮半島北部で生まれた後、19歳の頃に早稲田大学系列の工業高校に留学。そのまま同校を卒業している。

いっぽう「反共」への発端は、その後に本人が共産主義に直接触たことにあったという点は想像に難くない。1946年6月、ソウルから平壌に渡り、本格的な宗教活動を始めた。朝鮮戦争時には違法な宗教活動を行っているとして、北朝鮮当局側から逮捕され、拷問を受けた経験もある。

それゆえ、日本に2ヶ月滞在した1967年時点から「日本」そして「反共」に関する思い入れは並々ならぬものがあった。

教団関連公式書籍の「真の御父母様の生涯路程(韓国語版)」にはこんな下りがある。

「67年当時の日本には13万~17万人の共産党員がおり、協力者は280万~350万人。これらが、日本に暮らす北朝鮮の人たち、つまり朝鮮総連関係者と関わりがないわけがない。韓国、日本、ひいてはアジアに広がっている共産主義大陣営に違いがないと判断した」

いずれにせよ「自民党右派と組む=共産党に勝つ」という取り組みは熾烈だった。いっぽうの自民党右派には当時実働部隊ががいなかったため「言いなりになって真面目に働いてくれる統一教会信者は、そのニーズに当てはまった」(統一教会の問題に取り組んできた山口広弁護士。2017年韓国のキリスト教系メディア「CBS」の取材時に)。

教団側の証言によると「自民党を魅了するまでにあまり時間はかからなかった」。前出の「文鮮明先生みことば選集109」にはこんな言葉が続いている。

結果、(勝共運動を日本で)始めて半年で自民党の宣伝基地をすべて利用できるようになりました。それゆえ、自民党は「反共運動を本来は私たちがしなければならないのに」と言いながら、統一教会に協力しているのです。

日本での勝共連合の活動の様子(公式サイトより)

あまりに熾烈な「やり口」…1970年代の埼玉県では「反統一教会集会」も

いかに当時の統一教会の「活動ぶり」が熾烈だったのか。これを掘り下げる証言は教団の公式資料内にも本当に多い。

そのうち、日本の信者について描かれているものがいくつかある。

日本で反共運動をする家族(仲間)の平均年齢は23歳程度でした。彼らにいちど火をつけたらもはや、歩くことさえもどかしくなり、突っ走っていくでしょう。キリスト教がいま、名実共に世界を包囲したといいますが、親共産勢力によって洗脳されて軽々しく殺されていくという局面です。しかし、統一教会が新しい理念を持ち出して街頭で共産党と理念闘争を繰り広げるので、最初は共産党の輩も集まってくるのですが、やがて一人一人ずつ退いてしまい、結局はみんな後退して静かになるのです。

「文鮮明先生みことば選集 022巻」

私たちの勝共連合のメンバーには、高齢者や子供たちはいません。ですから、20歳から50歳までの約600万人を対象にしています。(中略)日本の与党は自民党です。彼らが数年をかけて努力し、精鋭の党員を募集してきましたが、その間の成果では最大150万人を超えられなかったのです。

雑誌「統一世界」 1984年1月号

若く、多くの人数を集められたことが直接的・間接的に自民党にもメリットとして働いた。その活動の熾烈さは、日韓双方の証言が一致する点だ。自民党が直接関わる話ではないものの、1978年に埼玉県富士見市で勝共連合に対抗する運動も起きている。

自民党には「お金をたくさん使うべき」

もちろん、「過激な運動」や「選挙協力」だけが自民党との接点だったわけではない。双方が開催するセミナー、勉強会などへの参加を通じて両者は関係を深めていった面がある。以下、文鮮明氏が1980年11月1日の韓国の教団関連の研修院で信者に語った言葉だ。

さて、このため日本の… 日本の中心に影響を及ぼすために、日本の自民党幹部をすでにまとめています。教育するんです。毎週土曜日にセミナーを開いています。(聴講者に向けて)意味がわかりますか? 教育するには何を教えると思いますか? 太平洋を中心とした今後の世界の政治的方向や軍事的方向など、タイトルを毎週変えていきながら教育を行います。いくら首相に政治顧問がいても、その人数は一人か二人。名高い人が20人集まってもなかなか政策の方向性や内容、内容を決められないというのに。そうして自民党に徐々に方向転換するように仕向けるのです。だからお金をたくさん使うべきです。

「文鮮明先生みことば選集109巻」

自民党との関連性をもって韓国の信者への信頼感を高めようとしているのだ。「私は日本でもこんなにすごいんだよ」と。

いっぽう、確かに教団が日本との共同のセミナーを開催した記録がある。韓国最大手の経済紙「毎日経済」は1985年11月5日に「第10回韓日本安全保障セミナー 国際勝共連合が主催」という記事を掲載した。韓国で行われ、参加者は約300名でうちおよそ半分が日本から。3日間の日程で、メイン会場会場はロッテホテル(五つ星)、板門店見学も含まれるというものだ。

こういった関係構築の末、自民党議員が教団側にある話をしてきたという。上に紹介した「土曜日のセミナー」の文末の「だからお金をたくさん使うべきです」の直後の文脈から。

こうして5年、6年、7年…10年といった歳月が流れているのです。だいたい5年が過ぎた頃から自民党の議員、秘書のトップだとか、首相の顧問役の人たちが会議終了後にですね…日本語で言えば「サバサバしていた」というんでしょうか…「材料、材料、材料をちょっとください」と言うんですよ。その材料を受け取ろうと思ったらですね、「ここから正気を取り戻せよ、おまえたち」と言って教育してきました。

「文鮮明先生みことば選集109」

仮に「材料」がお金だとしても、正しく渡っているものであればなんら問題があるものではないが。

いずれにせよ、教団側の証言では「60年代から自民党と密接につながってきた」という点と、そこには「激しいやり口があった」ことが記されている。そしてこれは、自民党方面にもお伝えしたいことだが「教団側の自民党への影響力を韓国内で強く吹聴している」のだ。

しっかりその関係性を調査し、明らかにしたほうがよっぽど得にも見えるのだが。

※韓国メディアの多くでは2013年の教団名称変更後も「教義に変更がない」として「統一教」として報じられています。これに倣い、本稿でも現在は正式名称を「世界平和統一家庭連合」という組織を「統一教会」として報じています。

参考記事(すべて筆者による): 安倍氏事件の新キーワード「統一教会」 韓国でも過去に「自民党との縁」「信者の金銭トラブル」報道

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