この11月にも、宮脇咲良の韓国での所属先の正式発表はなかった。

「株式会社ソースミュージック入りが韓国でも有力視されています。新所属先の母体である『HYBE』は、傘下の別レーベル所属のBTSがロサンゼルスで行っているライブで非常に忙しい。なにせ2年ぶりのオフラインでの開催ですから。宮脇咲良の去就についてはそれが一段落ついて、12月3日以降に動きがあるのでは。韓国内ではそういった見方もあります」(「スポーツ京郷」の芸能担当ハ・ギョンホン記者)

新天地と噂される「ソースミュージック」とはどういうところなのか。発表を待つ、この時に紹介を。

BTSとの関係は?

日本でも「BTSの妹分になる」という報道はずいぶん多く出たのではないか。確かにそれは合っている。ただし「直属の後輩」となるかというと、少しニュアンスが違ってきそうだ。

宮脇咲良の「ソースミュージック」はもともと09年に別会社として設立され、2019年7月29日に現在の「HYBE」の傘下となった。「HYBE」とは、BTSを生んだ芸能事務所「Big Hit」が21年3月に社名変更したものだ。現在は「ソースミュージック」株式のうち、80%を「HYBE」が所有している。

HYBE JAPANより組織説明のプレスリリース(2021年3月19日)

レーベル領域のなかに「ソース」が。上記プレスリリース内のキャプチャ画面より筆者が一部編集
レーベル領域のなかに「ソース」が。上記プレスリリース内のキャプチャ画面より筆者が一部編集

この「HYBE」はなかなかの「大所帯」だ。レーベル部門だけでも6社があり、所属するアーティストの数はグループ・個人合わせてじつに14~15にも及ぶ。HYBE全体のうち、BTSと宮脇咲良(彼女が所属予定とされるガールズグループ)は、「兄妹」というより「親戚」に近いか。

「子会社化していったレーベルのうち、韓国内に拠点を置くものはソウル市内の一等地、ヨンサンの巨大社屋に一緒に入っています。ただし、買収した子会社については”それまでのカラーを重要視する”というスタンスのため、BTSと咲良は『一社のなかにいる先輩後輩』という感じにはならないのでは、と想像します。BTSにはすでに100人近いスタッフがついていますが、このマンパワーが咲良が加わる予定の新グループに割かれる、ということでもありません」(韓国一般紙エンタメ担当記者)

また、別の韓国スポーツ紙芸能記者はこう言う。

「系列会社のグループ同士、たまに顔を合わせ同じステージに出るという程度ではないでしょうか。K-POPグループ同士が”すごく親しくなる”というのは、練習生時代からの思い出が共有されている場合がほとんどです。BTSだと、同じレーベルのTOMORROW X TOGETHERですね。宮脇咲良の新所属先、ソースミュージックに過去に在籍したグループもBTSとの交流は伝わってきませんでしたし」(「スポーツ京郷」芸能担当ハ・ギョンホン記者)

とはいえ今年3月に公開した新社屋は「働く人が自由に集まる場所になる」(上記プレスリリース)としている。具体的には「簡単に(フロア)壁を動かし用途に合わせて事務空間を変形できる構造」やライブラリー、フィットネス、空中庭園などが設置されており、「新たな価値を作り出せるように柔軟な空間」を目指している。

スタッフ同士の情報交換などは盛んに行われる環境にはありそうだ。実際に2020年2月3日にソースミュージックから発売された別のガールズグループのアルバムでは「BTSとの共通点」もファンによって発見されている。「アルバムタイトルに漢字一文字が入る」、「蝶がデザインで採用される」などだ。また実質上のグループトップで元作曲家の「パン・シヒョク氏が作詞に参与」などが見受けられた。

カリスマ社長が育てた「GFRIEND」での手法

宮脇咲良は、その「HYBE」系列の子会社レーベル「ソースミュージック」への所属が決まれば、同社のトップであるソ・ソンジン氏(1976年生まれ)と仕事をすることになる。

ソ氏が自身のキャリアで実績を残してきたのは「プロデュースとマネジメント」の領域だ。

01年にSMentertainmentに入社後、男性グループ「SHINHWA」のマネジメントを担当。その後、JYPを経て独立し2009年にソースミュージックを設立した。社名の「ソース」は英語では「SOURCE MUSIC」表記だが、ソ・ソンジン氏の「ソ(So)」を引用した「So's」の意味を重複させているように見える。

会社設立初期は経営難に陥るほどに苦しんだが、2015年からこれが一転した。

”GFRIENDを売れっ子にした”のだ。

2015年1月にデビューした6人組グループ。韓国語では「ヨジャチング」という。Girl Friendの意味だ。筆者自身、2015年の韓国の音楽番組取材時に、デビュー直後のこのグループを目にした。「え? 衣裳がトレーナー姿なの?」「グループ名が”彼女”? 珍しい名前」などと思ったりもしたが、瞬く間に2016年1月の「Rough」が韓国内の音楽番組で15冠・国内大手音楽ダウンロードサイト年間2位を達成するグループへと変貌していった。

  • 2016年、卒業シーズンに合わせて発表された「Rough」。好きな人との距離が縮まらない少女のもどかしさを歌う。韓国語題は「時を駆けて」

そこには「思い切ったコンセプト選定」があった。

セクシー系のグループが流行っていた時期に”青春路線””純情さ”で突っ走った。「運動服姿」や「制服」の衣裳にも意味があり、プロデューサーたるソ自身が「90年代に流行ったスタイルが再び流行るのでは?」と予測したものとされる。

また初期の「学校3部作」とされる「Glass Bead」「Me gustas tu」「Rough」は、入学、夏休み、卒業といった学校のシーズンに合わせて発表。これもヒットにつながった。

のみならず、この3部作では「ミュージックビデオはオールロケ」「歌詞が韓国語中心(英語を多発せず)」といった特徴も見せた。また小ネタ的に「韓国の公式ファンサイトに毎週月曜日の午前10時、グループの1週間のスケジュールをアップする」というマメさでも知られてきた。

これらの取り組みを、デビュー当時は5人の会社が成し遂げたことが話題となった。グループは「中小規模事務所の星」だった。小さかったからこそ、「決断」が必要だったのだ。

その後、ソースエンターテインメントは2019年7月19日にBTSを生んだ「Big Hit Entertainment」の傘下となった。「Big~」社は2021年3月31日に組織改編。「株式会社HYBE」となり、傘下の複数の子会社をレーベル化した。

このうち「ソースミュージック」は上記ガールズグループを育成し、セールスを上げる実績を買われて傘下となった。「ソース」の2020年10月水準の従業員数は30名。サイトには「アーティストとスタッフのお互いの尊重」を謳っている。

宮脇咲良が韓国で活動する新グループは、どんなコンセプトを披露するだろうか。