韓国内では1ヶ月半に渡り”有力説”が飛び交い続けている「宮脇咲良のHYBE系事務所入り」。BTS所属事務所の傘下「ソースミュージック」と専属契約するのか、という話だ。

本人の韓国での注目度は高止まりの状態で、30日にはインスタグラムでスヌーピーのぬいぐるみを抱える姿が「ラブリー」と報じられたりもしている。

いっぽうで8月17日頃、27日頃、そして9月23日と幾度か契約報道の”ヤマ”があるものの、「韓国での新事務所入り公式発表」の報はない。では現地報道で何が言われているのかというと、あるキーワードで切り取れる。

今回、HYBE側が連発している、ある単語のことだ。

「確認不可」(ファギンプルガ)

「事実確認不可」(サシルファギンプルガ)

記者からの取材に対する、事務所広報担当者の返事だ。今回の件を報じる韓国メディアではこれの「連発」状態となっている。

9月23日には「Newsen」が再び「契約完了説」を報じたが、HYBE側が「確認不可」と公式返答。これを各媒体が報じた。

「HYBE 宮脇咲良-キム・ミンジュ契約内容『事実確認不可』」(「スポーツ朝鮮」9月23日)

「HYBE側『宮脇咲良と専属契約? 確認不可』」(「マイデイリー」同日)

8月17日、27日にも韓国メディア側から正式契約済みの説が提起されたが、事務所側はやはり「確認不可」との回答だった。韓国最大のポータルサイトで「サクラ 確認不可」と検索すると、多くの記事が出てくる。

本人と会社側が納得できるかたちで発表することを待てばいい。別に急かすことはない。とはいえそわそわもする。ならばせめて韓国語での「確認不可」を知る機会に。彼女の進路決定を”待つ時間”で知っておくべき「K-POP用語」でもある。

NAVERで「サクラ 確認不可」と検索した画面のキャプチャ
NAVERで「サクラ 確認不可」と検索した画面のキャプチャ

「よく使われる言葉」。別の芸能事務所が使用した事例も

この「確認不可」、韓国メディアを引用したり、翻訳する日本メディアでは少し表現を変え「確認できない」という表現で登場したりすることもあるようだ。

宮脇咲良、8月中に韓国へ出国?契約報道にHYBEがコメント

HYBE側、宮脇咲良と専属契約?「確認できない」

日本語のニュアンスで考えると、「確認できない」「確認不可」なのなら「そんな事実はない」と理解できないだろうか。「調べたがそんなことはなかった」と。

そもそも誰が誰に確認しているのか。記者は事務所の広報担当に確認しようとしているのに「確認不可」というのは答えになっているのか。ノーコメントなのか、NOなのか。どんなニュアンスなのか。

筆者自身もこの単語の解釈・紹介に頭を悩ませてきた。

「(事実)確認不可という言葉は、韓国の芸能界ではよく使われる言葉ですね」(「スポーツ京郷」芸能部ハ・ギョンホン記者)

最近ではYGのジェニー(BLACKPINK)とG-DRAGON(BIGBANG)の熱愛説でも事務所側が「事実確認不可」と発表した。

芸能界以外でも、最近はサッカーKリーグのFCソウルで「所属の複数選手がビットコインで損益を出した」いう噂について監督が「事実確認不可」と答えた。

そのまま日本語で「(事実)確認不可」と書いても、ちょっと分かりにくいのではないか。日本と韓国、同じ漢字文化圏だけに使用法や解釈の違いが逆に難しい。これもまた、両言語を比べた時の楽しい点でもあるのだが。

結論=「事務所内で確認不可」という意味

結論を先に言ってしまうと、韓国メディアに出てくる「確認不可」とは辞書的な意味でいうと「記者からの問い合わせに対して、広報担当者が『会社の事情を知る人に確認してさしあげることができない』」という意味だ。

筆者作成
筆者作成

メディアはウラ取りしようと、あれこれとネタを取ってくる。今回の宮脇咲良の件なら「韓国に入国した」「その際、スーツケースの量がかなり多かった。すぐに帰国はしないのでは?」「警備員がBTSと同じだったのでは?」などと。

こういった記者からの問い合わせについて、事務所の広報担当は「事情を知る関係者(通常は上層部)に『確認してさしあげられません』と答えるのだ。

ややこしいのが日本語では「裏取り」のこともまた、「事実確認」という漢字を使うことだ。週刊誌などで都合の悪い記事を書かれた人物が「なんで事実確認しないのですか? スマホを鳴らしてくれればいいだけなのに」と抗議することがある。実際にスキャンダルを報じる大手メディアでは、本人たちに取材内容を「当て」て、その返答を記すべきとされている。

韓国の芸能ニュースなどでは、直接の当事者ではない、広報担当者などの代理が返答する場合に「(事実)確認不可」という言葉が使われる。しいて日本語に訳すなら「お答えできません」「回答を控えさせていただきます」「担当者が不在のため回答ができません」といったところか。

韓国でも「辞書通りに解釈されない」言葉

とはいえ、この「確認不可」という言葉、韓国内(K-POP界隈)でも様々な解釈が分かれるじつに”味わい深い”言葉でもあるのだ。ソウル郊外で出版社を運営する、20年来のK-POPファン(40代男性)は言う。

「文字通りに言うなら『(広報担当者が)確認してあげることができない、お伝えすることができない』という意味ですね。事実上の『ノーコメント』なのですが、国内のK-POPファンなら事務所ごとの”確認不可”の意味を知っているものです。HYBEは以前の社名時代から、公式発表の前には必ず”確認不可”を使ってきた。こう言っているときは、ファンの予想通りになることが多いのです」

ということはBTS関連の報道もそう解釈できる可能性が高いということか。また、こういった意見もあった。

「事務所の公式的な立場が定まっていないのに、(広報)担当者がむやみやたらに話ができない。上の人たちだけが知っていて、担当者が知らないのに「いいえ」と答えて、仮に本当だったら担当者は嘘つきになる。だから『確認不可』が一番無難な選択」(日本在住でK-POP関連業に従事する韓国人男性/40代)

ソウル在住の50代男性(K-POPの日本関連プロモーション活動を手掛けたことあり)は、よりズバっと言い切った。

「そう答えている時点で、もう既成事実。事務所側はNOならNOと言い、しつこかったり、ネガティブな内容ならメディアを訴えたりするものだと思います。記者も言われるままに『確認不可』とばかり何度も書くべきではない。確実な証拠が取れるまで食い込んでこそ、スクープが取れるはずなんだけど」

専門家たる「スポーツ京郷」芸能部のハ・ギョンホン記者は今回の関連報道での”独自の解釈”があるとする。

「今回の(宮脇咲良の件での)解釈は『まだサインをしていない状況』とするのがよいでしょうね。ほぼ合意ができているのに発表できない理由としては、咲良の契約関係で整理すべき点が残っているとも見ることができます。こういった事情から、早くに発表してしまったらHYBEと咲良双方に不利益なことがある状況であると見ています。それゆえNOではない、”ノーコメント”あるいは”Not Yet”という意味でしょう」

漢字の言葉を英語に置き換えて理解せねばならない。やはり奥深し「確認不可」。最後に筆者のほうで定義をまとめてみた。

【確認不可】韓:ファギンプルガ。

K-POP事務所広報担当者が使う「ノーコメント」。記者が重要なネタについて、取材結果(ファクト)を示して裏取りしようとしてきた際、「会社の上層部に確認してさしあげることができません」という意味。つまりは「広報レベルで知らないから『いいえ』といって実は本当だったり、その逆だったりもヤバい」「社内上層部に確認を取って、ああだこうだ言われるのは大変だから、記者様のためにその作業は出来ません」「上からそう言えと言われている」ということ。

YESともNOとも言っていない。だがコアなファンたちは、「会社ごとの『確認不可』の意味」をよく知っており「NOと言わないのならYES」と捉えることもある。

「事実確認不可」(サシルファギンプルガ)とも。

ショーケース、ティザー、カムバックなど英語由来が多いK-POP用語リストに、ぜひ漢字語たる「確認不可」も。