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韓国でも漫画「ベルセルク」作家への追悼相次ぐ 「日本漫画の底力を教えてくれた作品」

韓国版「ベルセルク」の書影。韓国での版元「デウォンサイコミックス」サイトより

「フェイスブックのタイムラインが追悼メッセージで埋まってるんだけど」

20日午後、韓国の友人(元新聞記者/50代)からスマホにメッセージが入った。20日に白泉社が伝えた漫画家三浦建太郎氏急逝の報についてだ。

代表作「ベルセルク」は白泉社「ヤングアニマル」に1989年から連載中。中世ヨーロッパを思わせる「剣と魔法の世界」での、巨大な剣を携えた剣士「ガッツ」の復讐の旅を描いたダーク・ファンタジーだ。

韓国では90年代後半に正式に単行本が発売され、大人気を博した。

「韓国で90年代に中・高・大学に通った世代なら多くが知っている作品です。それまで韓国では海賊版が多かった日本の漫画ですが、1989年に鳥山明の『ドラゴンボール』が初めて正式に発売に。90年代に流行った『ベルセルク』は『ドラゴンボール』『スラムダンク』ほど”一般大衆受け”する方ではありませんが、少し暗い世界観に多くがハマった。こういったタッチでも面白いものが作れるんだ、と日本漫画の底力を知った作品と言えます」(前出の50代の元新聞記者)

じつのところ韓国での「ベルセルク」も90年代前半に残忍なシーンを多く削除した単行本海賊版が横行。90年代後半になって正式契約が結ばれ韓国でも発売された。その際にもやはり、残忍なシーンはセリフ部分を大きくして隠すなどの処置があったという。

韓国でも日本と同じく40巻までが発売されている。19巻以降は日本での発売の2~3ヶ月後には発売となっている。

訃報を受け、韓国最大のポータルサイト「NAVER」に20日15時時点で約20本の記事が掲載されている。氏の業績を讃えつつ、訃報を伝えた。

該当ページのキャプチャ
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ダークファンタジー漫画である「ベルセルク」が代表作で、1989年から最近まで連載してきた。単行本が40巻まで出版され、連載は30年間続けたが、最終的に完結しない遺作となった。彼は2010年代に入って健康上の理由のため数回休載をしていた。

出典:釜山日報

大手全国紙「東亜日報」もまた、その業績を讃えた。

三浦建太郎氏は、1985年に漫画「再び」でデビューした。2002年第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞するなど実力を認められた。

三浦建太郎氏の代表作は、1989年に連載を開始したファンタジー漫画「ベルセルク」だ。彼の死去により、30年以上のファンたちに愛され続けた「ベルセルク」は完結されないまま残ることとなった。

出典:東亜日報

エンタメ専門媒体の「ゲームトーク」はより詳細な評価を伝え、追悼の意を表した。

三浦建太郎作家は1989年から連載した漫画「ベルセルク」で世界的な人気を集めた。単行本は約4000万部が売れ、韓国でも正式に発売された。作品が進むほどにすばらしく発展していった作画と、ファンタジー作品としては珍しい暗い世界観、激しいアクション、緻密なディテールが大好評だった。

出典:ゲームトーク

20日の午後12時20分に記事を掲載し、早い段階で訃報を伝えた「ヘラルドPOP」には300近い「悲しい」の反応が寄せられている。

謹んで三浦建太郎氏のご冥福をお祈りします。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。フォローお願いします。https://follow.yahoo.co.jp/themes/08ed3ae29cae0d085319/

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