”慰安婦判決” 翌朝の韓国各紙の社説は? 多くは”日本”にベクトル向かわず

19年に別の関連裁判を行った憲法裁判所の様子(写真はイメージ。今回はソウル地裁)(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

21日に日韓両国で報じられた「慰安婦訴訟、日本政府への賠償請求を韓国地裁が却下」のニュース。

翌22日の韓国メディアは朝刊の社説で何を報じたのか。「聯合ニュース」が見出しを報じる16媒体のうち、22日付けの朝刊でこのニュースを報じたのは7媒体だった(各紙ともに複数の社説を掲載している)。

■判決内容自体に対して否定的な内容

京郷新聞 

「反人権犯罪の国家責任免罪判決、退行的である」

ハンギョレ 

「日本の『慰安婦』賠償責任 不正な没歴史的判決」

■肯定的な内容

朝鮮日報

「反日であれば、国際法無視の判決も良いというやり方であってはならない」

■裁判所が二審で判決を覆したことに対する批判

ソウル新聞

「3ヶ月前の慰安婦判決を覆し、二審訴訟却下した裁判所」

世界日報

「3ヶ月で反転した慰安婦判決、解法の準備に万全期したい」

毎日経済

「日本政府の賠償責任について、3ヶ月の間に『極と極』行き交ったキム・ミョンス司法」

韓国日報

「食い違う慰安婦判決、外交努力で解決すべき」

五大紙のうち、保守系の中央日報、東亜日報は社説ではこの話題を扱わなかった

(JTBCは「判事を変えろ」という原告側の主張を伝えた)

唯一の「肯定」媒体は「裁判は別の問題」

革新系の「ハンギョレ」「京郷新聞」と、保守系の「朝鮮日報」。保革で真っ二つに分かれる論調となった。

そういったなかで、唯一肯定的に報じた「朝鮮日報」の論調が、はっきりと意見を言い切っている点からも目を引いた。こう記している。

「韓国で日本の慰安婦犯罪を否定する人はいない。国民全てが怒り、被害者の救済に同意する。判事たちも人である以上、違いはないだろう。ところが、裁判は別の問題だ。最初から最後まで法的論理に従わなければならない。この裁判は日本の有罪無罪ではなく、『韓国の裁判所が日本政府を判断することができるのか』という『国家免除』を適用するかどうかが重要だった」

同記事は、他国の戦争犯罪の判決でも国家免除が適用された事例が多いことを挙げ、こう続けた。

「韓国の裁判所は、一審では国民感情に、二審では世界の法廷の普遍論理に従った」

「今回の裁判所は、2015年の日韓慰安婦の合意について司法的な意味があり、今でも有効であると判決したものだ。これが常識的かつ合理的な判断である」

同媒体は韓国内の左派市民団体から目の敵にされている媒体でもある。2019年夏の「NO JAPAN」デモでも最終目的地に同紙の本社が選ばれ、「解体しろ」とシュプレヒコールが飛んだ。慰安婦支援運動も左派が積極的に取り組んでいるものだ。

多くは「国内の判決問題」として報じる

一方で、最も多かった視点が「なぜ3ヶ月前と正反対の判決なのか(一審は原告側の勝訴)」という点だ。経済紙最大手の「毎日経済」もこの視点から論じた。中道の「韓国日報」は判決を批判しながら「裁判所以外で解決を」と論じた。

これが革新系2媒体の批判と何が違うのか。「ベクトルが日本に向かっているかいないか」という点だ。あくまで国内の司法のありようとして、3ヶ月前と真逆の判決が下された点に意義を唱えている。

ニュースに対する関心度は高い。とはいえ「反日感情だけで熱くなる」というわけでもない。韓国での報道ぶりはそういったところだ。