東京五輪 韓国の報道ぶり「3大批判」のなか準備にまい進 「選手にワクチン優先接種を」

新国立競技場@千駄ヶ谷(写真:ロイター/アフロ)

4月14日に大会開幕前100日を迎えた東京オリンピック。

欧米での「大会を見る視点」の報道ぶりは日々伝えられているが、アジアの韓国では何が報じられているのか。

大会に向けた韓国の視点がよく分かる現象があった。100日前のタイミングでポータルサイト上にテレビ・新聞2媒体の似通った見出しが並んだのだ。

「オリンピックD-100...コロナ、放射能、旭日旗との闘い」(地上波「MBC」)

「コロナ、放射能、旭日旗…それでも太極戦士(韓国選手)は駆ける」(国民日報)

批判も渦巻くなか…コロナの話題は違う趣旨が

この3点が挙がった背景には、14日に選手らとともに会見を行った大韓体育会(協会)のイ・ギフン会長の発言があった。「いくつかの悪条件を克服しなければならない」とし、新型コロナ、放射能、旭日旗のことを口にしたのだ。

後者2つの話については別の機会に記したい。もはやこれだけで別個で一本記すべきもの。話がスポーツのジャンルからも大いに外れてしまう。ちなみに旭日旗については、先日「東スポ」などが取り上げた「ジャスティン・ビーバーの衣装が旭日旗に見える」の話題について「JTBC」が「日本側が韓国の言いがかり」と批判した。過去のオリンピックでの日本のユニフォームの映像を蒸し返し、丹念に話題を掘り下げている。また放射能については、3月25日のサッカー日韓戦の際に筆者のSNSに「選手が日本に行くにあたり、コロナだけではなく、こちらも心配」というコメントが入った。

いっぽう、新型コロナについては、他の2つとは少し違う視点からも切り取ることができる。

この話題については、「選手の大会への準備状況」とも重ねて論じられる部分もあるのだ。

14日の会見では大韓体育協会会長とともに登壇した選手からこんな発言が飛び出した。

「全国民がワクチンを打った後に、選手たちも接種します」

「打たないよりも打ったほうがよいと考えます。(国民の皆様には先に)早く打っていただきたい」

(体操のヤン・ハクソン、フェンシングのク・ボンギルら同席した選手たち)

また、イ・ギフン会長は代表選手の優先接種について「政府側と交渉中」であるとも続けた。

メディアも選手の”コロナ特別支援”を訴える

これについて、「スポーツ京郷」は「東京に行くオリンピック代表選手たちのための3つの提案」という記事で国民に対する理解と支援を呼びかけた。

「何より(オリンピック代表選手たちに)迅速にワクチン摂取が行われなければならない。選手の年齢層、連続接種周期を考えると、ファイザー社製がよいだろう。接種時期は可能な限り早いほうがいい。代表選手の優先接種は国民的な合意が必要だ。代表選手は我々国民のなかの誰かの子どもであり、配偶者であり、親だ。彼ら、彼女らは『職業人』として自分の人生を賭けたオリンピックに国家代表として臨む。それも新型コロナの感染状況が厳しい日本でだ。代表選手の優先接種を国民が了解し、政府も迅速な動きを見せるよう期待する」

共同体意識に訴えるところがいかにも韓国。儒教的という話でもあるのだが、この記事ではコロナ対策について別の提案もあった。

まだ五輪出場確定となっていない選手について「6月末までに海外に行って最終予選を戦わなれればならない」と状況を説明。「帰国後の隔離については免除などの考慮がなされるべきでは」とも提言したのだ。

大韓体育協会はこの日、選手団の制服を披露した上で「金メダル7個、国別総合成績10位達成目標」との目標までも掲げた。

周辺国が着々と進める準備

何が言いたいかというと、「日本以外の国の五輪準備状況」についてだ。

こと韓国に関しては、相当に日本のことをチクリとやりながら進めている。そこを切り取った方が“面白い”のかもしれないが、今回言いたいのはちょっと別の話だ。

開催国ではない、選手を送り出す立場たる国では大会についての踏み込んだ準備が論じられている。選手団の制服、目標メダル数の発表、コロナ対策の調整という具合に。

日本でも当然のごとく同様の準備が進んでいるのだろうが、これよりも「大会を本当にやるのか」という点に大きな注目が集まっている印象だ。「中止論」が払しょくできない。自分たちはそのことで頭がいっぱいだが、話はそこに留まらない。五輪には当然のごとく東京を目指している外国の選手たちがいるのだ。

なんにせよノーリスクなどない。「五輪開催はコロナに打ち勝った証」などと吹聴せず、開催した場合ははっきりと日本国内に感染が広まるリスクがあることを認め、大会後の秋の「感染状況予測パターン」と「その対策」から、開催余地を議論できれば良かったのだが。このウィルスは未知だからこそ複数パターンを示して。ホスト国たる日本国内での論点は「大会後の予測」が一番大きな比重を占めるのではないか。大会100日前までこれがはっきりと示されないなか、今後これがあるだろうか。