関連報道の見出しに「不買運動」の言葉が「使われた」62.5%:「使われなかった」37.5%――。

5日に韓国で報じられた「ユニクロ明洞(中央)店閉店」の報。ソウルの繁華街にある超大型店舗が、来年の1月31日を最後に9年間の営業を終える。これに関する、ちょっとした緊急調査を行った結果だ。

何が知りたかったのかというと、このニュースに関して韓国内での「してやったり」感がどれほどのものか、という点だ。だとしたら由々しき話だが、注視する必要がある。

実態としてはコロナ禍の影響とのダブルパンチのようだ。明洞の他の店舗も次々と閉店しているという状況での出来事だった。閉店の正確な原因分析は他の記事に譲るが、韓国側がこれをどう捉えて、見出しでどう報じるかを調べた。

5日から6日にかけて韓国最大のポータルサイトNAVER上で土日の間に64本の関連記事が掲載された。

これを1本ずつチェックした。結果について、4割近くが「使われなかった」というのは意外に高い割合だと感じた。2019年夏から韓国内の左派市民団体が主導してきた「韓日経済戦争」の”成果”としてよりはっきりと主張するのではないか。韓国側からの第一報を聞いた時、そう感じたからだ。

黄色ライン部分の通り64本の記事を調べた。NAVERよりキャプチャ、筆者が編集
黄色ライン部分の通り64本の記事を調べた。NAVERよりキャプチャ、筆者が編集

ユニクロの韓国内での影響力の大きさ

この店舗はある意味、韓国の左派市民団体が2019年夏から主導してキャンペーンを続けてきた「NO JAPAN」運動の象徴のひとつでもあった。そのなかの項目「日本製品不買運動」との関わり合いからだ。

筆者撮影
筆者撮影

今回NAVERに掲載された記事には、こういった見出しもあった。

「ユニクロ、大韓民国の心臓部から退く」

(インターネット媒体の「ミニS」)

なにせ、ソウルの原宿にも比せられる明洞のメインストリートの入り口、一番目立つ場所に位置してきたのだ。ソウル地下鉄4号線明洞駅から地上に出ると、必ず目にするほどの超一等地。そこにユニクロとしては世界2番めの広さの店舗がある(原宿にも竹下通り入り口近くの超一等地にSAMSUNGのビルがあるが)。

  • 盛況時の様子を報じる「JTBC」

筆者自身、ユニクロの韓国でのインパクトの大きさを感じたのは、去年11月のことだった。現地メディアとともに「日本サッカーのニュースを韓国語で説明する」という動画コンテンツの企画に取り組んだ。動画の最後のテロップに構成も編集も出演もすべて自分だ、という点を記し「ただし衣装はユニクロ」と記した。不買運動への風刺だった。反応も知りたかった。

すると30代男性の担当者から「すべては楽しいが、これだけはやめてくれ」と反応があった。すでに数本アップされた動画だけでも、視聴者から「なんで韓国の場で日本の話をするのか」と反発がある。自分たちとしてはこのコンテンツを守りたいから、やめておこうと。ユニクロ、という言葉の影響力の大きさゆえだった。

徴用工判決問題と「NO JAPAN」不買運動

これがなぜ今、注視すべきニュースなのかというと、日韓関係の最大のネック「徴用工判決問題」と結びつきうるからだ。

2019年夏、韓国で起きた「NO JAPAN」運動の話に少し戻ろう。これは昨年8月2日に日本で閣議決定されたいわゆる「ホワイト国除外」(韓国側では「輸出規制」と一般的に報じられる)により起きたものだ。韓国メディアの多くは完全なる「徴用工判決問題への報復」と捉えた。

当時、現地で取材するとこういった場面に出くわした。

「BOYCOTT JAPAN 行きません 買いません」

筆者撮影
筆者撮影

という横断幕。

またスピーチでは「韓日経済戦争」という言葉すら聞いた。「(日本統治下の時代に)独立戦争は仕掛けられなかったが、今、経済戦争は戦える」。「文在寅大統領は2度と負けない」

つまりは、このユニクロの超大型店の撤退をもって(この他、8の店舗もすでに閉店を決めたという)「戦いに勝った」と捉えうるのではないか。大変由々しき話題だが、その相手側の事情はしっかり探るべきものだ。

ちなみに日本ではあまり大きく報じられなかったが、「東亜日報」は10月10日に大邱地裁からのニュースとして「日本製鉄の韓国資産の現金化手続きは、12月9日から可能になる」と報じた。日韓両国で「東京五輪前後まで保留」とも報じられるが、いちおうの期限前の現地の雰囲気、でもある

東亜日報の該当記事キャプチャ
東亜日報の該当記事キャプチャ

見出し内容の詳細は…最大手の経済紙は「コロナ・NO JAPAN」の順で見出し 

およそ「6:4」の割合をどう見るべきか。前述の通り筆者は「思ったより使われなかった」と感じた。

見出しに「不買運動」を使わなかった主要メディアは「聯合ニュース」「中央日報」「イルガン(日刊)スポーツ」などがある。

より細かくパターン分けをすると、「不買運動とコロナを並列」が最も多かった。国内最大の経済紙「毎日経済」はこう見出しを打っている。

「コロナ・NO JAPAN」に売り上げ半減

NO JAPANを頭に出さず見出しを打った。この点をシンプルに強く打ち出せば、アクセス数は増える。そうも考えうるが、その手には出なかった。

断定的に「不買運動」のみで見出しを打つメディアは以下の2媒体だった。

「忠清レビュー」

「日本不買運動」直撃弾 ユニクロ明洞中央店「閉店します」

「アジア経済」

NO JAPAN 1年6ヵ月めにしてユニクロ明洞中央店閉店

直接的に「不買のみ」ではなかったが、保守系で第2の経済紙「韓国経済」はこう報じている。

「韓国経済」

不買運動にコロナまで…一日20億ウォン稼いでいた”ユニクロ明洞店”結局閉店

いっぽう、以下の4媒体は経済的な面のみを切り取って見出しを打ち、NAVERに掲載されている。

「ソウルファイナンス」

明洞を去るSPA…H&Mに続きユニクロも1月31日に閉店

「ウィキツリー」

結局…ユニクロ明洞店、急に残念なニュース

「ホワイトペーパー」

ユニクロ明洞中央店閉店の理由は? 流通業界の収益激減のなか、衝撃

「韓国政経新聞」

ユニクロ明洞店も結局閉店…運営会社の収益”ピタッと止まる”

ちなみに韓国では「反日」と「NO JAPAN」は少し分けて考えられている。後者は「反安倍政権」のニュアンスが強く、2019年夏の現地取材時にも「日本はYES、安倍はNO」というシュプレヒコールも聞かれた。今回のニュースで見出しに「反日」と打つ媒体はなかった。

記事コメント欄を覗く。「日本は韓国不買運動をしない」の冷静な声も

徴用工判決問題と結びついた「不買運動」には、冷静――。こういった反応が見えてくる。最後にNAVER上での記事に対する読者のコメント欄を覗いてみよう。

64本の記事のうち、「NAVER」が最も上位に掲載したのがソウル経済の「限定版の人気にも、不買に勝てず…姿を消すユニクロ」だった。

NAVERのコメント欄は近年、書き込みのためのID登録を厳密にするなど強い荒らし対策を行っている。また全般的に「もともと左派が強かったが、右派が巻き返しを図っている」という前提でご覧いただければ。

一番上位に出ている記事の、反応数が上位のコメントは次の通りだった。

そんなに安くもないし、服がいいものでもないし。同じ価格にクオリティなら国産のSPAのほうがいいだろ? 必ずしも不買運動でなくとも。

(いいね1706 よくない324)

コロナのせいで、実店舗に収益が出ないから閉じたんだろ? 不買運動はなんでもないwwww オンラインモールはソールドアウトwwww プレステ5も在庫なくて買えないんだって? 

(いいね1006 よくない197)

ゴミ記者ども、笑わせるな…わずかちょっと前まで限定版で明洞のユニクロはごった返していると日本のユニクロの写真をアップして国民を愚弄して、憎まれ口を叩かれたのに、ホントに閉店だなんて… 韓国のゴミ記者どもはなぜこうなのか?

(いいね522 よくない31)

任天堂スイッチとプレステは、在庫がなくて買えないのに、日本車とユニクロは無条件で不買wwwww むしろ不買運動だなんて言うなよwwww

(いいね399 よくない58)

これからは韓国の(ファストファッション)SPAの価格がこそこそと上がっていくね…wwwww

(いいね249 よくない26)

中国の不買運動はやらないの? コロナの時恥辱的な外交をしてきたのに言い返すこともできなかったけど

(いいね121 よくない3)

日本は韓国製品不買運動をしない…もともと使わないから

(いいね43 よくない3)

該当コメント欄のある記事はこちらから

(了)