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【全文掲載】元横浜FM、柏のユ・サンチョル監督が膵臓がんステージ4公表。「最後まで指揮。約束を守る」

一時退院後、11月2日の試合で指揮を執るユ監督(写真提供仁川ユナイテッド)

Jリーグ横浜F・マリノスで03年、04年の連覇に貢献。柏レイソルでも活躍したユ・サンチョル(48歳。インチョン・ユナイテッド監督=Kリーグ1部)に関する重大な発表が、昨日あった。

19時ごろにクラブの公式サイトを通じて公開された「本人からの手紙」。そこには10月中旬から心配されてきた病状について、本人からの報告があった。

「膵臓がん ステージ4」

近年ではスティーブ・ジョブズ氏、星野仙一氏らがこの部位のがんに罹ったことでも知られる。

Jリーグを離れた後の活動、そして現所属クラブの近況

02年W杯では自国代表4強入りの原動力ともなったユ監督(122試合出場18ゴール)。06年3月に現役引退した際には「どうしても06年ドイツW杯に出場したい」という強い願いを持っていたが、膝の状態がままならなかった。

引退後は、子どもにサッカーを教えるテレビ番組出演や、監督としての活動を続けた。

ただし、監督としての活動は苦労が伴っている。09年-11年に春川機械工業高の監督としてキャリアをスタート。この時は「指導者としてまずはユースから取り組んでみたい」と意気込んでいた。

Kリーグでの監督キャリアはいずれも下位クラブを率いるものとなっている。

11-12年はKリーグ1部(当時)のテジョン・シティズン監督に就任したが、下位に沈み2年で契約終了。14-17年の蔚山大学監督を経て、18年はチョナム・ドラゴンズ(当時Kリーグ1部)を率いたが、2部降格を喫した。

今年は1部残留を目指すインチョン・ユナイテッドの監督に就任。ここまで6勝12分18敗の10位、降格プレーオフ圏の11位と勝ち点1差、自動降格の最下位(12位)とは3差という状況にある。

残留争いの渦中のチームにあって、監督の体調不良が報じられたのが10月中旬から下旬だった。19日、残留を争う相手ソンナムFC戦(第34節)にアウェーで1-0の勝利を挙げた後、健康状態の悪化のために病院に向かったことが明らかにされた。クラブ側からは黄疸の症状があることが発表となり、この時点で重大な事態であることはある程度予想されていた。インチョンの公式SNS周辺では「監督の続行が可能なのか」といった声が挙がった。クラブ側はメディアに推測性の報道を自制する呼びかけを行った。

そのような状態にもかかわらず、検査入院を終えたユ監督は翌35節の10月27日、スーウォン・サムスン・ブルーウィングス戦でピッチに戻ってきた。結果はホームで1-1と引き分け。その後11月2日の第36節では、最下位のチェジュ・ユナイテッドにアウェーで0-2の敗北。「非常に残念な結果」とのコメントを残した。

10月27日、スーウォンに引き分けたゲームでは笑顔も見せた/写真提供=インチョン・ユナイテッド
10月27日、スーウォンに引き分けたゲームでは笑顔も見せた/写真提供=インチョン・ユナイテッド

そしてAマッチウィークによるリーグ戦中断期間でもある昨日、本人自らクラブを通じての診断結果発表となった。以下、筆者翻訳による全文。

”ユ・サンチョル監督からファンの皆様へのメッセージ”  

愛するインチョンファンの皆様、韓国サッカーを愛してくださるすべてのファンの皆様。アンニョンハシムニカ? インチョン・ユナイテッド監督のユ・サンチョルです。

まずは、常日頃より私共インチョン・ユナイテッドを大切にしてくださり、選手に大きな声援を送ってくださるファンの皆様に心から感謝の言葉をお伝えします。

私がこうやってファンの皆様に挨拶をさせていただく理由は、多くの噂が出ている私の健康状態に対して、本人自ら直接ファンの皆様にお伝えしたいと判断してのことです。

私は去る10月中旬頃、身体に黄疸の症状が出るなど、異常の兆候が発生し、すぐに病院を訪ねて精密検査を受けました。そして検査の結果、膵臓がんの4期という診断を受けることとなりました。これは明らかに私にとって受け入れるのが難しい診断でした。しかし受け入れるしかありません。私のせいで選手とチームに害となる姿を見せたくないのです。

初めてここインチョンの監督として赴任した時、私はインチョンファンの皆様に「かならずKリーグ1(1部)に残留する」と約束したことがあります。そして私はソンナム戦を終え、病院に向かう前に選手たちに「早く治療を終え、グラウウンドに戻ってくる」と約束もしました。

その後、私は1次治療を終え、再びグラウンドに戻った際、選手に「約束は守った」と話しました。病院にいながらも、やはり現場にいるときが一番良かったと感じたように思います。

この先、私は並行して治療を続けなければなりません。私は任された任務をまっとうします。同時に、我々の選手、スタッフとともにグラウンドの中にふさわしい、さらに私自身にとってもポジティブな意味を持つ力をもらおうとしています。そしてファンの皆様と交わした約束を守ろうと考えています。残りの2試合に死活を賭け、ファンの皆様に送っていただいた声援と関心に応えるべく、監督としてベストを尽くすことを再び約束します。

サッカー人としてのプライドにかけ、我々インチョンをKリーグ1に残留させるためにベストを尽くします。またファンの皆様が最後までチームを信じ応援してくださることと同じく、私も最後まで諦めず力になり続けます。“やれる”というポジティブな力で病魔と戦い、勝ちます。

私を心配してくださり、応援してくださるすべてのファンの皆様に心からの感謝の言葉をお伝えし、挨拶を終えます。ファンの皆様が健康と幸運とつねにともにあることを願います。

カムサハムニダ

インチョン・ユナイテッド ユ・サンチョル監督拝

出典:インチョン・ユナイテッド公式サイト

シーズン最後まで指揮を執ると明言したユ監督。残り2節の日程は以下の通りだ。

【第37節】11月24日 14時 ホーム サンム・サンジュ戦

【第39節】11月30日 15時 アウェー キョンナムFC戦

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。フォローお願いします。https://follow.yahoo.co.jp/themes/08ed3ae29cae0d085319/

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