主張すべきことはしっかり主張する<続・通訳を使うテクニック 12>

これまでこのコラムでは通訳を使いこなすテクニックについてシリーズで連載してきました。今回はシリーズの最終回になります。

通訳をどううまく使いこなすか、通訳が訳しやすい言葉をどうやって伝えたらいいか、私からの最後の結論は「自分の考えをしっかり主張する」ことではないでしょうか?

つまり、しっかり主張するためには「主張すべき考えをしっかり持つ」ということが重要なのです。中国人は良きにせよ悪しきにせよ自分の考えをはっきり主張します。大きな声で時には眉間に皺を寄せて、まるで喧嘩をしているかのように話をする中国人がいます。もちろん個人差はありますが、一般的に中国人は声が大きく、言うべきことを遠慮なく主張します。時には他人の意見に耳を傾けず、機関銃のように一方的に自分の主張を喋り捲る中国人もいます。「イエス」は「イエス」と言う、「ノー」は「ノー」と明確に主張する、これが「中国流」です。

一方、「主張する」ことよりも相手の立場や気持ちを考えて「譲り合う」ことを尊重するのが日本人の特徴です。日本人は相手の立場や気持ちを考えて互いに譲り合い、どこかに折り合いをつけながら落としどころを探すための議論をします。日本語に「空気を読む」という言葉がありますが、相手の言いたいことや期待している行動を悟ること、相手が言葉を口に出さなくてもお互い察しあってコミュニケーションを取り合うのが日本人の特徴です。

時には、相手にもこちらの考えを悟ってもらうことを期待します。物事をはっきり言うことより雰囲気を感じ取って、言葉にしなくてもお互いに察する心を持つことが重要なのです。日本人同士なら言葉にしなくても理解できる価値観や背景理解の共有部分があり、多少曖昧な言い方をしても話が通じます。

しかし、この点を中国人に期待すべきではありません。通訳を介してコミュニケーションを図る場合、こうしたニュアンスを上手く伝えるには通訳のスキルが状況を大きく左右します。通訳がスキル不足だったり、逆に話し手があいまいな表現をしたり、それでは話し手が考える意図(真意)がうまく中国側に伝わらないのです。

通訳に日本流の「以心伝心」を期待することも危険であり、必要以上の誤解を招かないためにも、「イエス」は「イエス」と言う、「ノー」は「ノー」と明確に伝えるべきです。時には、主張と主張がぶつかり合って激論を戦わせることになったとしても、議論を尽くすことで結果的には結論(妥協点)を見つけ出しやすいのです。

フレーズは短く区切って話す、結論から先に告げる、曖昧な表現は避ける、主語を明確に伝えるなど、このコラムで取り上げた内容をぜひもう一度見直してみてください。そして、もし皆さんのビジネスの現場でお役立ていただける内容があれば幸いです。