中国人通訳が違和感を感じる日本的ビジネス折衝<続・通訳を使うテクニック 4 >

通訳を仕事としている中国の友人からこんなコメントです。彼はプロの通訳、「日本人のビジネス折衝にとても違和感を感じます。どうして、日本人はあんなに早く交渉をまとめようとするのでしょう?」という彼の話。確かに思い当たることもあります。ここで中国的交渉と日本的交渉の違いについて考えてみたいと思います。

中国と日本と交渉に対して大きな考え方の違いがあるようです。それは、まず交渉に臨む日本人の特徴ですが、日本人はできるだけもめるもめないように、スムースに議論が進むように事を進めます。もめずにすんだ交渉を「よかった」と考えるのです。順調に早くまとまった交渉を「うまくいった交渉」と考えます。つまり、「まとめるための交渉」を意識して交渉に臨むのが日本人の特徴といえるのではないでしょうか。

一方、中国人はもめずに交渉をまとめることより、自分たちの要求を徹底的に主張します。交渉とは「闘い」であり、交渉とは「自分にとって有利な結果を導き出すためのもの」と考えるのです。つまり、「結果を勝ち取るための交渉」をしてくるのが中国人の特徴です。ここに大きな違いがあるように思います。まとめるための交渉ではなはなく、有利な結果を勝ち取るためには繰り返しさまざまな主張や要求を出してくるのが中国人なのです。

「まとめるための交渉」と「結果を勝ち取るための交渉」の違い。これは大きな違いです。具体的な例を挙げて考えてみましょう。たとえば、ある案件でビジネス折衝に臨むとき、その交渉期間を「1週間」と考えます。仮に、交渉開始後3日目でその交渉がまとまったとしましょう。そのとき日本人は、「交渉がうまくまとまった」、「今回の交渉はスムースにいってよかった」と考えるのではないでしょうか。「予定より早く終わってよかった」、「いい交渉ができた」と考えるのです。

一方、中国人はどうでしょうか。同じように、仮に3日目でまとまりそうになったとします。しかし、ここで決着させないのが中国人です。「合意点」に近づきつつあるそのポイントから、さらにもう一歩踏み込んだ要求を出してきます。3日目では決着させずに、4日目、5日目と別の交渉カードを使って、さまざまな要求を突きつけてくるのが中国的交渉の特徴です。自分たちにとってもっとも理想的な結果を勝ち取るために繰り返しさまざまな要求をしてくるのです。

できるだけ早くまとめることがよい交渉なのではなく、最後の最後まで粘り、最終的に自分たちとってより多くの有利な結果を勝ち取ることが中国人にとっての「交渉」なのである。「スムースにいった」、「予定より早く終わった」とは考えません。

しかし、「落としどころ」は必ずあります。交渉期限ぎりぎりで「今回はまとまらないか、交渉決裂か」と考えると、タイムリミットぎりぎりまで粘り、最後は落としどころを提示してくるはずです。これが中国型の交渉です。最後の最後で決着させる。しかし、それまでは自分たちにとって有利な結果を勝ち取るために、徹底的に粘るのが中国型交渉の特徴なのです。「早くまとまってよかった・・・」と考えないのが中国流のビジネス折衝の形なのです。