通訳とは十分な事前打ち合わせを<続・通訳を使うテクニック 1 >

これまでビジネスマッチングや技術アライアンスのサポートなどビジネスの現場でこれまで数多くの案件に立ち会ってきました。基本的にビジネスマッチングやアライアンスのサポートをするときには自分は「コーディネーター」に徹して、「通訳」は現地で専門の通訳者に任せるようにしています。通訳者が過不足なくきちんと話し手の言葉を訳して中国側に伝えているかどうかチェックするのも私の役割です。

個別相談に来るケースの中には、通訳者とは現地で企業を訪問する直前に初顔合わせというケースがあります。通訳者との事前打ち合わせがないままビジネスに臨むケースです。「雇うのはプロの通訳なんだから大丈夫だろう」と考えるのかもしれません。通訳者と待ち合わせをして、打ち合わせもなくあたりまえのようにそのまま取り引き先に向うというケースもよくあります。

しかし、いくら優秀なプロの通訳者でも「事前の打ち合わせ」はぜひやるべきでしょう。「プロの通訳だからきっちり仕事をしてあたりまえ」と考えるのも危険ですし、通訳を過信してはいけません。むしろ、「事前の打ち合わせ」をすることによって通訳者の能力を何倍も引き出すことができます。ビジネス折衝や交渉で通訳者を有効に使うためには「事前の打ち合わせ」は必須です。重要な商談は通訳者との打ち合わせなしにビジネス交渉の成功は望めないと言っても過言ではありません。

仮に、重要な商談ではなく、ヒアリングが目的の企業訪問や現地視察の場合でも、事前に通訳との顔合わせはしておきたいところです。日本側の会社概要や訪問目的などを通訳者に伝えておきます。専門性の高い用語や固有名詞、業界用語や表現が難しいフレーズなど、通訳者がきちんと理解ができるかどうかもチェックしておきたいところです。

訪問先では話し手がその場でひとつずつ説明するのではなく、たとえば会社概要や製品紹介は通訳者に説明を任せます。そうすると説明の手順や重要ポイントを確認した上でミーティングに臨むと時間の節約にもなります。通訳も余裕を持って仕事ができるはずです。逆に、優秀な通訳であれば「事前の打ち合わせ」を必ず要求してくるはずです。プロの通訳者であれば、その責任と自覚によって打ち合わせが必須であることを知っているからです。

また、打ち合わせの会話の中で通訳者の語学力のチェックと同時に通訳者の話し方のクセなどもチャックしておくとよいでしょう。私の場合、初めての通訳を使う場合はいつもいくつかの質問を準備しておきます。通訳者の「人柄チェック」のためにはプライベートな質問が有効です。何気ない会話のやりとりの中から通訳の語学力や言葉への反応、応用力や瞬発力を見ます。重要な案件をお願いするときには通訳が持っている折衝力やネットワーク力などもチェックしておきたいところです。