相手の通訳使うのは論外<通訳を使うテクニック 5>

ビジネス折衝や交渉での通訳選びは慎重に行いたいものです。「通訳は最高の味方であり、最強の戦力である」というのが私自身の持論です。前回に引き続き、現地で通訳を選ぶときに注意すべき3つのポイントを取り上げます。

「現地で通訳を紹介してもらえませんか?」という相談をよく受けます。できる限り経験豊富なブリッジコーディネーターを紹介するようにしています。(※ブリッジコーディネーターについて http://www.asia-net.biz/26.html )

逆に、出張を控えている方に「今回は通訳の手配はもう済んでいるんですか?」と質問すると、「今回は先方に日本語ができるスタッフがいるので大丈夫なんです」という答え。「いつも相手が通訳を手配して待っているので、こちらは準備の必要がないんです」という感覚でビジネスに臨む人が意外と多いのに驚かされます。「通訳は相手任せ」なのです。

しかし、相手が準備する通訳に頼る交渉は絶対にやってはいけないことです。これはなんとしてでも避けるべき「危険行為」です。中には「先方にせっかく日本語ができる人がいるのに、なぜ任せてはいけないのか」とか、「通訳は連れてこなくてもいいと言われていので、いつも助かっている」と考える担当者がいます。これは完全な認識不足。たとえ相手が「通訳の準備は不要」という姿勢であっても、通訳はこちら側できちんと準備して連れて行くべきです。

繰り返しますが、通訳は最高の「味方」であり、最強の「戦力」です。通訳の善し悪しが交渉を左右すると言っても過言ではありません。ビジネス折衝や交渉には「味方」になる通訳を連れて臨みたいところです。相手が準備する通訳に頼っては絶対にいけないのです。

基本的に相手の通訳は相手の立場で発言します。(考えてみれば「あたりまえ」のことです)シビアな折衝であればあるほど、相手の通訳は相手の立場で物事を考え、そして相手の立場で発言します。つまり、相手の通訳は自分たちの「敵」と考えるべきなのです。

中国人ビジネスマンにとって「交渉」とは自分たちの利益を勝ち取るために行うもの。そう考えるのが中国流です。一方、日本人はまとめることを目的とした交渉を行います。調整と協調で妥協点を探し、落としどころを見つけ出そうとします。そもそも交渉に臨む姿勢が日本人と中国人では違うのです。

つまり、中国人にとっては、通訳とは妥協点を探し出すための「調整役」ではなく、勝利を収めるための重要な「戦力」と考えるのです。仮に相手が合弁パートナーであっても専門の通訳を自前で準備すべきです。ミーティングのテーマが友好的な交渉であっても同様です。通訳選びは商談や交渉ごとの成否を左右するほど重要な問題なのです。ぜひ、ここでもう一度通訳選びの大切さに目を向けていただきたいと思います。