通訳選び3つの注意点、旅行ガイドに通訳を頼んでも大丈夫?<通訳を使うテクニック 4>

ビジネス折衝や交渉での通訳選びは慎重に行いたいものです。「通訳は最高の味方であり、最強の戦力である」というのが私自身の持論。通訳の善し悪しが折衝や交渉を左右すると言ってもよいかと思います。今回のコラムでは現地で通訳を選ぶときに注意すべき3つのポイントを取り上げます。日本企業が陥りやすいポイントです。ぜひ、通訳を選ぶときには参考にしてみてください。

通訳選びでまず注意したいのは旅行社のガイド通訳です。スケジュールアレンジや道案内を兼ねて通訳を旅行社のガイドに頼むケースがあります。この場合、折衝や交渉に関わる専門用語に関して十分な理解があるかどうかをチェックしてから通訳を依頼すべきです。

確かに旅行社のガイドは流暢な日本語を話します。気配りも一流です。しかし、「日本語ができる」ことと、「ビジネス通訳ができる」ことは果たして同じでしょうか? 私はまったく別のものと考えます。ビジネス折衝や交渉の通訳は、通訳業務を専業としている専門の通訳(プロの通訳)に頼むべきです。

誤解を恐れずに言うと、「日本語がうまいから」という理由で旅行社のガイドに通訳をお願いすることはたいへん危険です。旅行社のガイドにも優秀な方がたくさんいます。繰り返しますが、語学力のレベルを疑うつもりはありません。しかし、3つの注意ポイントがあります。第一にビジネス折衝や商談のスキル、第二に専門知識、第三にビジネス通訳としての責任の自覚、これらを備えているかという点。こうしたポイントをしっかり見極めた上で依頼すべきです。

仮に旅行ガイドの延長で「好意」で引き受けてくれたとしても、必要に応じた報酬へ払うべきです。仕事としてきちんと依頼すべきです。これは責任の所在の問題です。費用を支払って仕事として依頼するわけですから、その「責任」も自覚してもらわないとなりません。単に「好意」で引き受けてもらうのではなく、きちんと報酬を支払って、きちんとした通訳者を選ぶべきです。

学生アルバイトやボランティアの場合も同様です。「中国に留学している日本人留学生」、「日本で日本語を学んでいる中国人学生」、「現地に長く住んでいる日本人」など、アルバイト程度の費用やボランティアで通訳を依頼するケースがあります。

しかし、旅行社のガイドと同じように、単に「中国語が話せるから」、「日本語ができるから」といって安易に通訳を依頼するのは危険です。「好意」で引き受けてくれる通訳や「ボランティア」の通訳は避けるべきです。「費用が節約できる」という安易な発想は捨てましょう。

通訳は単に言葉を置き換えるだけではく、大切なのは通訳としての「折衝能力」、「主張する力」です。学生であれば当然ビジネス経験はないはずですから(仮にあったとしても多くはないはず)、通訳としての経験やその分野での専門知識に関して多くを期待することはできません。「折衝能力」や「主張する力」は事前のチェックがなかなか難しいポイントです。しかし、費用面から安易な選択で通訳を依頼するのではなく、通訳は通訳のプロにきちんと依頼することをお勧めします。もしも、旅行社通訳でも学生でもボランティアでも通訳を依頼する場合は、依頼内容やその目的を考えて通訳者のレベルを事前に確認し(繰り返しになりますが)「報酬」もきちんと払うべきです。それによって責任が明確になるからです。

次回も通訳選びで注意すべき点の3つ目にポイントとして触れたいと思います。通訳選びで絶対にやってはいけないことを取り上げます。