ZOZO前澤社長に1日密着してわかった、意外な素顔と経営哲学

打ち合わせ中の前澤社長

「今、国内でもっとも注目されている経営者」と言っても過言ではないでしょう。

有名女優との熱愛を公言し、約123億円の絵画を落札し、約60億円のプライベートジェットで世界中を飛び回り、株の配当だけで年間35億円もある収入を「あるだけ使う」と豪語するその人。日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイの創業者、前澤友作氏です。

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めちゃめちゃ笑顔ですがご本人です。

ZOZOTOWN擁するスタートトゥデイの時価総額は1兆円を超え、豪雨被害にいち早く支援を表明し、最近も自身のTwitterで「プロ野球球団を持ちたい」と発言してちょっとした騒動になりました。本当に話題には事欠かない人です。

そんな人に、ダメ元の軽い気持ちで取材を申し込んだ所、1人のフリーライターでしかない筆者の申し込みを快諾してくれたのであります。早朝の自宅から夜の自宅まで、つまりは丸1日の密着取材という、明らかに面倒臭そうな企画なのに!

ちなみに、その密着取材の内容はwithnewsで同時に公開されているので、ぜひそちらもご覧ください。

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密着取材中の筆者:ヨッピー(左)と前澤社長(右)

ZOZO前澤社長の1日に密着「恋愛は?」「年収35億円、使い道は?」 withnews

https://withnews.jp/article/f0180724002qq000000000000000W09d10701qq000017476A

レポート形式の密着記事はそちらをご覧頂くとして、今日この場で書きたいのは丸1日密着した上で気付いた「前澤友作とは何か」という根源的なものや、「経営とは何か」という問いかけについてであります。いやほんと、くっついている間に脳味噌がグルグルかき回される感じがあってすごく面白かった。

【スタートは実家の6畳の部屋から】

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創業当時の写真。前澤社長は左上。

そもそも、前澤社長はメジャーデビューまで果たした元バンドマンの経営者という異色の経歴を持ちます。名門、早稲田実業学校在学中にバンドにハマり、授業をサボりがちになるもなんとか高校を卒業。卒業後は進学せずにアメリカに渡り、半年間の音楽留学を経てそのまま音楽の道へ進む。バンド活動のかたわら、アメリカで仕入れてきた好きなアーティストのCDやレコードをライブハウスで販売したところ、飛ぶように売れた。これがビジネスの原体験になります。

前澤社長

「僕、『お金は使った分だけ自分が成長する。自分が成長するから使ったお金以上のお金が稼げるようになる。だから、お金は使えば使うだけ増える』ってずっと言ってるんですけど、それはこの時の経験があるからなんですね。当時の僕は海外のバンドのCDやレコードを集めるのにハマっていて、滅茶苦茶な買い方をしてたんですよ。生活費を切り詰めて、「あれも欲しい。これも欲しい」って片っ端から。

そうすると当然バンドにはめちゃくちゃ詳しくなるし、目利きも出来るようになる。そのうち自分が買ってきたCDやレコードを「お金出してでも欲しい」って言う人が出てきて、「これはビジネスになるんじゃないか」って。それで最初はA4用紙にタイトルを書いただけのものをコピーして配るんですね。注文が来たら、実家の6畳の部屋で梱包して発送してっていうすごく単純なビジネス。そのうち全国から注文が来るようになって、当時の彼女や友達に手伝って貰いながらやっている内にどんどん売り上げが伸びるんです。これってやっぱり、CDやレコードにすごくお金を使っていたからですよね。中途半端に買ってたらそこまで成長しなかったと思います」

【こだわりの強さがビジネスに生きる】

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前澤社長に密着していて気付いたのは、とにかく「こだわりが強い」という事です。

「ロールスロイスを買いに行く」ということでディーラーについて行くと、「塗装はこうして欲しい。パネルはこうして欲しい。シートはこの素材で、このロゴを入れて……」と、とにかく注文が多い。対応する担当者も大変そうだ。そもそも、「自分が買おうと思ってた車と、似たような仕様の車を買った人がいた」という事で、「人と同じものは嫌だ!」と駄々をこねて仕様変更をかけに来たくらいなので、モノに対するこだわりの強さが見受けられます。

この、「こだわりの強さ」についてはビジネスにも表れていて、実家の6畳の部屋からスタートした通販ビジネスを初めてオンライン化する時、システムを専門業者に依頼してみたところ、どうしても納得のいくものが出来ない。「それなら自分でやるしかない」と秋葉原で買った専門書を片手に自分でプログラムを書き、遂には自前でシステムを作り上げてしまったのです。

ZOZOTOWNの特徴である一貫した物流システムもそう。「ZOZOBASE」と呼ばれる物流部門は、商品の入荷、撮影、採寸、梱包、出荷、在庫管理など、出荷からユーザー宅までの配送以外、物流に関わる全てを自社で行っていて、ZOZOTOWNに出品するアパレルブランド側からすれば、とりあえずこの「ZOZOBASE」に商品を送ってしまえば、あとは勝手に「ZOZOBASE」に常駐しているモデルが商品を着用してカメラマンが撮影。出来上がった画像をZOZOTOWNに掲載して、注文があれば梱包、出荷までやってくれる。非常に使い勝手が良い。ZOZOTOWNに大手アパレルブランドが続々と参加しているのはこの物流部門の強さに依るところが大きい。これだって前澤社長の「こだわりの強さ」の表れと言えるでしょう。

前澤社長

「僕がアート作品を好きなのもそこなんですよ。『一流の職人が、徹底的にこだわって作った、そこにしかないもの』みたいなものが大好きで。それを突き詰めたものがアート作品なのかな、って。3億円の車を買った、とかプライベートジェットが60億円だとか、どうしても金額面ばかり注目されてしまいますが、僕としては『欲しいもの』にあんまり金額は関係なくて、その『徹底的にこだわった』っていう過程が大事なんです。例えば3億円の車なんて、本当にものすごく細かい所にも徹底的にこだわっていて、見れば見るほど感心するんですよ。『あー、これはすごいなぁ』『こんなところまでこだわって作ってるんだなぁ』って。そういう感動がビジネスに生きるんですね。僕が今履いてるのはプライべートブランド「ZOZO」のジーパンで、これもやっぱり徹底的にこだわって作ったんで、ものすごく気に入って履いてます。値段は3,800円ですし、やっぱり金額はあんまり関係ないですね」

【競争を避ける経営】

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一方で、前澤社長は「競争が嫌い」という事を公言しています。社員の基本給やボーナスを一律にしたのもその一環で、都心の一等地ではなく、千葉の幕張に本拠地を構えたのも「競争を避けた結果」だそうです。

前澤社長

「僕は本当に競争が嫌いなんですよ。小学校の頃から徒競走の順番とかテストの点数とか、ああいうので順位をつけられるのが本当に嫌で。『なんで競争しなきゃいけないんだろう』ってずーっと疑問に思ってたんです。かけっこが早いから偉い、とか、勉強が出来るから偉い、って変じゃないですか。みんなそれぞれ違って、それぞれにいい所があるのに、一定の基準で優劣をつけるのっておかしいと思うんです。だから僕は『競争しない』ってずっとそれでやってきたんです。変に優劣をつけずに、みんな一緒でいいじゃん、って」

ZOZOTOWN躍進の秘訣も「競争しなかったことによるもの」と社長は言います。他と同じことをするとどうしても競争が生まれる。だから、ZOZOは他がやらないような事をやる。他がやらないから競争が生まれず、市場を独占出来る。

前澤社長

「『競争しない』って、つまりは固定概念をひっくり返すことでもあるんですよ。世の中が『こういうもんだ』っていう固定概念を持ってるようなものこそ大きなチャンスなんです。例えば『服は服屋さんで試着して買うものだ』っていう固定概念があるじゃないですか。着てみないとサイズが合うかどうかわからない、って。でも、お客さんが本当に欲しいのは試着室じゃなくてフィットする服なんです。じゃあ試着しなくても、体にフィットする服を選べるような仕組みを作ればいい。それで生まれたのがZOZOSUITです。正直、1作目は開発に失敗して40億円の損失を出しましたけど、でもそれくらい正直言って『どうってことない金額』です。こんな事言うと怒られそうだけど(笑)。でも挑戦を続ける以上、失敗はしょうがない」

【みんな楽しく、みんな仲良く】

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前澤社長は「誰でも楽しく働いて、活躍出来る会社を作る」ことを究極的な目標にしています。頭のいい人もそうでない人も、文系も理系も、体力がある人も無い人も、みんながそれぞれ得意な仕事を見つけて、楽しく働けるような会社にしたいそうです。

前澤社長

「僕、本当はお金なんていらないんじゃないかって思ってるんですよ。太古の昔は狩りが得意な人は狩りをして、釣りが得意な人は釣りをして、器を作るのが上手い人は器を作って、それで助け合いながら、みんな平等に生活してきたわけじゃないですか。僕、本当はそういうのが理想的な社会なんじゃないかなって思うんです。みんなが得意な、好きな事をしてそれでも上手くまわっている、っていうような世界。僕は少なくとも自分の会社の中だけでもそういう世界を作りたいんです。だから、どんな人でもウチに来たら『俺はこの仕事だ!』って活躍出来るように、いろんな仕事を会社内に増やしたいんですよ。そのために一生懸命頑張ってる感じですね。だって、やりたくない仕事をするより、やりたい仕事をする方が絶対に楽しいじゃないですか」

前澤社長と一緒にいると、「みんながそれぞれ、楽しく生きて欲しい」というような、強い意志を感じます。現在、スタートトゥデイでは6時間労働を提唱していて、朝9時に出勤し、お昼ごはんを食べずに6時間働き、15時には退社する、というようなワークスタイルを提唱しているらしい。

前澤社長

「その、8時間労働だって固定概念のひとつですよね。『1日8時間働く』って誰が決めたのかなって。それを6時間にする事で、みんな無駄な仕事をどんどんカットするんですよ。今まで当たり前だと思ってやってた事が、実は不必要な仕事だった、なんてことはたくさんあります。実際、労働時間を減らしても生産性はあがりましたからね。そうやって無駄な仕事を減らして、空いた時間で映画を見に行ったりスポーツしたり家族と過ごしたり。その方が幸せな人生だと思いません?」

【前澤社長が抱える矛盾】

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そんな前澤社長に丸1日密着していて、途中から社長が「とある矛盾」を抱えてる事に気付きました。

「みんなと同じものは嫌だ」と言いながら、「みんなと一緒がいい」と言うし、

「お金なんていらない」と言いながら自分はお金を使いまくっているのです。

「国籍にとらわれたくない。自由で居たい」なんて言いながらも、自分の地元を盛り上げるために花火大会のスポンサーになったりスタジアムの命名権を買ったり、思いっきり肩入れしたりもしています。

筆者

ね?めっちゃ矛盾してますよね?

前澤社長

あーーー、言われてみればそうですね!

筆者

でね、僕は考えたんですよ。この矛盾する考え方を、どう説明したら良いのかな、って。どういう言葉で表すのが正解なのかなって。それでずっと考えてたんですけど、結論が出ました。

前澤社長

おお、なんでしょうか

筆者

社長、つまり貴方は『ワガママ』です!

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爆笑する前澤社長

そう。前澤社長は究極のワガママなのです。「こだわりの強さ」もワガママの表れと言えるし、「競争したくない」というのもそう。でも、そんな前澤社長だからこそ様々な固定概念、常識と戦って来れたのかもしれない。逆に言えばワガママではなく、社会や世の中に迎合してしまうタイプの経営者なら、1代でここまで会社を大きく出来なかった可能性は高い。ソフトバンクの孫正義さんだって、残っている逸話の数々のうち「ワガママ」の一言に集約出来るものもかなりあるな、って思うくらいです。

結局、何かにつけて「空気を読む」ことを求められる今の日本社会の、どんより漂う閉塞感を打ち壊してくれるのは、前澤社長のように社会に迎合するだけではなく、自分の理想を追い求められるような芯の強さを持った人なんじゃなかろうか。

これからも、理想の社会を創り上げるために、どんどんワガママを貫いていってほしいな、と思う限りであります。

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今日はありがとうございました!

朝から晩まで同行した、レポート形式の記事はwithnewsで公開中です。

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ストラディバリウスを手にとって喜ぶ前澤社長

ZOZO前澤社長の1日に密着「恋愛は?」「年収35億円、使い道は?」withnews

https://withnews.jp/article/f0180724002qq000000000000000W09d10701qq000017476A

【企画・執筆】

ヨッピー

https://twitter.com/yoppymodel

【撮影】

Andy Sawa Sho

https://www.instagram.com/oignonsho/