高校野球記録室/令和の横綱候補はどこ? チーム・監督編
大会前まで、甲子園通算勝ち星133で全国トップにいた中京大中京。第6日、専大松戸との1回戦に勝利してセンバツ勝利数を56とし、トップの東邦に並ぶと、ベスト4まで進んでさらに2勝を上積み、こちらでも1位になった。ベスト4ではほかに天理がセンバツ通算30勝(10位)に到達し、8強の仙台育英は春夏通算50勝でベスト20入りした。優勝した東海大相模のセンバツ28勝は天理に次ぐ11位だが、出場11回(うち1回は未開催の昨年)で優勝3、準優勝2の勝率.778は驚異的だ。もっとも、20勝以上では箕島(24勝6敗)の.800などがこれを上回っている。相模は、センバツ3回、選手権2回の優勝回数で同じ神奈川のライバル・横浜に並び、大会前までは横浜と同数(23)だったセンバツ勝利数では、5の差をつけた。
このところ急激に勝ち星を伸ばしている大阪桐蔭は、センバツでは初めての初戦負けで、センバツ連勝が10で止まっている。ちなみにセンバツの連勝記録は、桐蔭の前にセンバツ連覇を果たしたPL学園の14(1981〜82、84年)。センバツ勝利数の上位を挙げると……(引き分けは除く)
勝 敗 優 準 率
1 中京大中京 58 27 4 4 .682
2 東 邦 56 25 5 2 .691
3 県 岐 阜 商 48 26 3 3 .649
P L 学 園 48 17 3 1 .738
5 龍谷大平安 42 40 1 0 .512
6 広 陵 38 21 3 3 .644
7 高 松 商 37 25 2 3 .597
8 大体大浪商 32 17 2 3 .653
報 徳 学 園 32 19 2 0 .627
10 天 理 30 23 1 0 .566
11 東海大相模 28 8 3 2 .778
西谷は5年間で22勝、門馬は10年以降で23勝
監督に目を移すと、15〜19年の5年間で22勝(3敗)ととんでもないペースで勝利を積み重ねてきた大阪桐蔭・西谷浩一監督が、自身17回目の甲子園で初めて初戦負けを喫した。大会前まで55勝9敗で、勝率は.859。アンタッチャブルだった中村順司氏(元PL学園)の.853をしのいでいたが、なにしろ5勝1敗以上のペースだから0勝1敗では大きくダウンし、勝率は.846と中村氏を下回った。ここから中村氏を上回るためには、次の甲子園で5勝しての優勝が必要な計算だ。
中村氏、西谷には及ばないが、優勝した東海大相模の門馬敬治監督も甲子園通算30勝7敗で勝率は.811。30勝以上は17人しかおらず、しかも8割超えはこの3人のみだ。しかも門馬監督はセンバツにめっぼう強く、出場は実質7回で20勝4敗。前回優勝した11年から3回の出場で13勝1敗、10年夏から23勝4敗というのは、同年代の西谷監督にも劣らないべらぼうな数字だ。門馬監督の30勝到達以外は、明徳義塾が初戦負けなどで、勝利数ランキング上位監督に目立った変動はない。以下は監督の甲子園通算勝利数ランキング(※は現役。引き分けは除く)。
勝 敗 優 準 率
1 高嶋 仁 智弁和歌山など 68 35 3 3 .660
2 中村順司 PL学園 58 10 6 2 .853
3※西谷浩一 大阪桐蔭 55 10 7 0 .846
4 渡辺元智 横浜 51 22 5 1 .699
※前田三夫 帝京 51 23 3 2 .689
※馬淵史郎 明徳義塾 51 33 1 0 .607
7 木内幸男 常総学院など 40 19 3 2 .678
8※阪口慶三 東邦など 38 31 1 3 .551
10 蔦 文也 池田 37 11 3 2 .771
※小倉全由 日大三など 37 21 3 2 .661
………………………………………………
15※門馬敬治 東海大相模 30 7 4 1 .811
先述のように、ここ数年は西谷・門馬両監督の躍進ぶりが目覚ましい。ただこれは私見だが、両監督ともいわゆる"キャラ"が立っているかどうかというと、ちょっと……尾藤公(箕島)や蔦、木内のような強烈な名物監督が出てくると、高校野球はもっとおもしろくなるのだが。