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高校野球記録室/都道府県編 なんと6校に1校が決勝に進む県は?

楊順行スポーツライター
2011年のセンバツで優勝した東海大相模。10年ぶりに優勝を飾った(写真:岡沢克郎/アフロ)

 大会第1号ホームランが飛び出したのが13試合目と、金属バットが導入された1975年以来もっとも遅かったように、投高打低の大会だった第93回選抜高校野球。明豊では米田友が春夏通算2500本目を、幸修也が大会14本目の先頭打者弾を記録したが、ホームランの総数は2003年以来の一ケタとなる9本。これは前回開催された2年前より10本減り、全チームの打率は1分8厘ダウンの.239と、6大会ぶりの2割3分台だった。

 となると、接戦が多くなる。常総学院と敦賀気比の一戦が大会史上初めてのタイブレークとなったほかに、延長決着は7試合。これは99年、14年と並ぶ最多で、サヨナラが6、1点差試合は13(2年前は7)あった。さらに常総学院と敦賀気比戦では、センバツ史上初の申告敬遠が記録されている。おもしろいところでは、センバツ最多の3校が出場した東海大系列で、よりによって相模と甲府が初戦で対決した。甲府の村中秀人監督は相模のOBであり、前監督。甲子園で母校と、しかも前任校と対戦するのは、おそらく初めてのケースだった。

 結局その試合は相模がサヨナラ勝ちし、決勝もサヨナラ勝ちして締めくくったが、これで神奈川県勢はセンバツの優勝回数を7として兵庫の6を抜き、愛知と大阪の11に続く単独3位となった。春夏通算でも14と、やはり13回で並んでいた兵庫を抜いて単独3位。25回で1位の大阪、19回で2位の愛知とはまだ差があるが、春夏通算勝利数の208は、今大会で210に達して6位の広島に肉薄している。

44年前も天理と智弁が8強の奈良

 また奈良県勢は、天理と智弁学園がそろってベスト8に進出。奈良2校のベスト8は77年以来44年ぶりで、そのときも天理と智弁の両校だった。天理は準々決勝も勝って4強に進出。やはりこの大会で60勝に達した福岡に次ぎ、奈良県勢は15番目にセンバツ60勝に到達した。さらに節目としては、鳥取城北の大会初勝利で鳥取がセンバツ20勝。20勝未満は、ほかに11県となった。

 センバツ勝利数の都道府県ランキングベストテンを挙げてみると……(引き分けは除く)

       勝  敗  優  準  率

1  大 阪 203 137 11 10 .597

2  愛 知 174 111 11  8 .611

3  兵 庫 172 148  6  4 .538

4  東 京 127 121  5  9 .512

5  和歌山 104 106  5   5 .495

6  広 島  91  73  5   6 .555

7  高 知  90  62  3   5 .592

8  京 都  82  89   2  2 .480

9  神奈川  81   53  7  4 .604

10 徳 島  73   50   5  3 .593

 となる。こうしてみると神奈川は、のべ60校の出場で7回優勝しているのだから、優勝確率の高さはべらぼうだ。もっといえば、準優勝を合わせれば11回、つまり6校に1回以上は決勝まで進む計算になる。明豊が決勝に進んだ大分は、県勢としては67年に優勝した津久見以来54年ぶり2回目。敗れはしたが4勝を加え、34位から32位に浮上した。春夏通算でも83勝で、順位をひとつ上げている。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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