センバツでは、2018年に導入後初めてのタイブレークとなった熱戦。勝った常総学院の島田直也監督は、1987年夏には母校のエースとして準優勝しているが、補欠出場でおそらく準備不足だった同年のセンバツは初戦負け。つまり、春は自身初めての校歌を聞いたわけだ。

 聖カタリナ、柴田、京都国際と3校が初陣だったこの日、出場6チームの甲子園実績では常総学院と敦賀気比が抜けていた。常総は甲子園通算41勝23敗で春夏ともに優勝、準優勝が1回ずつ。気比は27勝15敗で15年のセンバツに優勝。トータルでは常総が上だが、直近の2010年代に限ると、常総の9勝6敗に対して気比が19勝8敗と、勝ち星の通算でも追撃している。いずれも常連校でありながら、両者の対戦は、甲子園では初めてだ。

 常総学院は勝ち進んでいるから今後もふれる機会があるとして、驚くべきは敗れたとはいえ敦賀気比のしぶとさだ。先発の竹松明良が乱調で4点を追う展開。しかも打線は、6回終了時までわずか1安打だ。ただ、公式戦初登板の本田克が好投で追加点を阻んでいる間に、7回は敵失にも乗じて3点、1点加えられた8回も、やはり敵失に恵まれて同点に追いつき、延長へと食らいつくのだ。4点ビハインドを、終盤に追いついた東哲平監督はいう。

「粘り強く、よく同点まで追いついてくれた」

 北信越王者となった秋の戦いぶりもそうだった。新潟明訓との準々決勝は8回2死走者なしまで3点のビハインド。そこから3対3の同点に追いつくと、4対4の延長10回、監督の甥・東鉄心のヒットをきっかけに3点を勝ち越した。関根学園との準決勝も、1点差の9回も一、三塁ながらすでに2死。打者・大島正樹もワンボールツーストライクまで追い込まれる。だがそこから大島が同点打を放ち、やはり延長10回裏にサヨナラ勝ちしているのだ。東監督は2試合続けての延長逆転勝ちに「もっと早よ、打てよ」と苦笑しきりだったが、どこまでも勝負をあきらめない象徴が1年夏から甲子園を経験した大島だ。

そういえば、神宮大会初適用のタイブレークでも……

 その、大島。常総戦の9回1死一、二塁ともってこいの場面で打席が回るも、暴投で走者がそれぞれ進塁した勝負のアヤで、センバツ史上初めての申告敬遠。1死満塁と好機は続いたが、後続が凡退して延長にもつれることになる。

「追いついた7、8回も含めて、あそこで追い越せないのが弱み。まだ力がない」

 と東監督はいう。13回は、前進守備が裏目に出ての不運なヒットなどで一挙4点。勝負は決した。そういえば……敦賀気比は11年の明治神宮大会でも、史上初めて適用されたタイブレークで、鳥取城北に敗れていたっけ……。