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さあ、ドラフト。とっておきを探せ! その4 平山 快[JFE東日本]

楊順行スポーツライター
社会人の都市対抗野球大会は11月22日開幕(写真:アフロ)

「粘って四球を選ぶより、アウトになっても強い打球、大きな当たりで圧を与えるのが四番。また、4打席目までは打てないとしても、勝負どころの終盤で勝負を決めるのも四番だと思います」

 2019年、JFE東日本入りする前から落合成紀監督が「四番で行くぞ」と指名。すると、春先の東京スポニチ大会から本塁打するなど、期待以上の結果を残した。チームが初優勝した都市対抗でも、パナソニックとの準々決勝では、同点の7回に決勝2点二塁打。つごう20打数7安打で、これぞ四番の働きを見せている。ただ……。

「確かに、都市対抗のパナソニック戦はいい仕事をしたとひそかに思っていますが、全体的にはもっとできたな、と。インパクトに欠けるというか、もっと見出しになる活躍をしたかった。同期の峯本(匠)には、(都市対抗・東芝との準決勝で)逆転サヨナラ打がありますし、今川(優馬)の勝負強さもすごい。ここぞという場面で走者を返せないのは、去年物足りなかったところです」

 同チーム・同期のライバルと比較し、平山快は満足はしていない。

大学三冠から新人四番へ

 鳴り物入りのルーキーだった。大阪・枚方ボーイズからは初めて東海大相模高に進むと、3年夏の準決勝では浅間大基(現日本ハム)らのいた横浜高を、自らの決勝二塁打で降すなどして甲子園へ。そこでも、初戦敗退したものの盛岡大附高の松本裕樹(現ソフトバンク)から2安打している。東海大では2年秋からスタメンに定着し、4年秋の三冠王(史上12人目)と最高殊勲選手をはじめ、タイトル多数。一塁手兼三塁手として通算打率.347、12本塁打を記録した。

 ずっと四番に固定された昨シーズン。当初こそ、"お手並み拝見"という視線の重圧があったが、スポニチ大会で手応えを感じて「吹っ切れました」。その結果、公式戦通算では打率・330、打点17、そしてチームトップの6本塁打。1年目としては、合格点以上の数字だろう。

「自分のバッティングは、右に体重を残しつつ、右手で押し込むイメージ。体重を残すから変化球にも対応できるし、低めの変化球を見逃せると考えています」

 というのが本人の自己分析で、それが逆方向でも距離が出る長所につながっている。ただ、「大事な場面で力んでしまうことがある」のが、一番の課題。そのために今季取り組んだのが、フォーム改造だ。それまでは、フルスイングまでの予備動作が多かったのを、足場を決めたらスッとアドレスを決め、投球に集中する。これで、多彩な球種にもタイミングが合うようになったという。 

 印象的な"快"という名は、「豪快・爽快・愉快な人生を歩め、というのが由来」だとか。ドラフトで待つのは、どんな"快"だろうか。

 

ひらやま・かい/JFE東日本/内野手/右投右打/1996年4月28日生まれ/京都府出身/181cm88kg/東海大相模高→東海大

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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