2018 高校野球10大ニュース その9  熱中症予防もチーム力?

(写真:アフロ)

 これはもう災害級、といわれた2018年の記録的猛暑。高校野球でも、さまざまな熱中症対策が講じられた。夏の地方大会では、試合日程を変更したり、開始時間を前倒し・あと倒ししたり。埼玉県では、2015年の夏から3、6回の終了時に2度グラウンド整備の時間を設けたが、これは熱中症対策を兼ねてのもの。この夏からは、岐阜、和歌山も追随した。福岡では、応援団の学ラン着用禁止を求めるなど、対策はグラウンド上にとどまらない。

 そもそも、第1回全国中等学校優勝野球大会が始まった1915年。気象庁のホームページには、甲子園の位置する西宮市の古いデータがないため神戸市で見てみると、8月の最高気温は35.1度だった。今年の神戸市のそれは、37.0度。最低はそれぞれ18.4度と21.1度、月間平均気温は27.0度と29.2度。約100年間で、最高気温のほかは2度以上上昇している。ね? トランプさん、やっぱり地球は温暖化しているんです。

100年前と2度以上違う

 甲子園ではこの夏の100回大会から、大会本部などの判断により、試合中に給水や休憩の時間を取るようになった。また長い時間フィールドに立っている開会式では、選手たちは大会本部から配られた水をポケットに入れて行進し、式中には給水時間が設けられた(そういえば、開会式で軽い熱中症になり、出場した第1日第2試合はボーッとしていたという元球児の話を聞いたことがある)。あるいは、アルプススタンド用にはミスト散水機が3台用意され、学校関係者がこれを背負って観客席に散水を始めたのもこの夏からだ。

 試合中に足がつる選手が目立つようになったのは90年代以降という印象だが、記録的猛暑とあって、この夏もむろん例外じゃない。大会第2日の第3試合では、北照(南北海道)の岡崎翔太左翼手が守備中に足がつり、治療のため一時ベンチへ。その間、ほかの選手たちも一度ベンチに引き揚げて給水するなど、運営側の対応は柔軟だった。その後も、ある選手の治療中に選手全員がいったんベンチに、というシーンは何度か見かけられた。

 第6日、日大三(西東京)と折尾愛真(北福岡)との第3試合では、「休憩時間」を初適用。12時38分に始まった試合は活発な打撃戦で長時間となり、7回終了時に10分間の中断が設けられたのだ。深刻なアクシデントには至らないとしても、熱中症の発生がこうたび重なると、「涼しいナイターで開催するか、ドーム球場に変更すればいい」と声をあげるのが世間の良識派なる方たちだ。

 ドキッとしたのが、先日の新聞報道。東京五輪が開催される20年の東・西東京大会で、3日間東京ドームを使用する可能性が高いというのだ。20年は、オリンピックのためにメイン会場の神宮球場が使えない。東西東京大会の決勝には毎年、2万人以上の多くの観客が訪れるが、現状では都内に、2万人収容規模の球場がない。そのため、オリンピックでプロ野球が中断中の東京ドーム開催の案が現実的になったという。

 タイブレークを思い出す。導入の検討に入ったころは、「あまりにも無粋。よもや実現はすまい」と思っていたし、現場の監督たちも否定的な声が多かった。それが、17年のセンバツで2試合続けて引き分け再試合が発生すると、にわかに気運が盛り上がり、てきぱきとコトが進んで今年度からの導入となったのだ。もし20年の東西東京大会がドームで行われたら、それをきっかけに「甲子園もドーム化を」などという声が盛り上がったりして。

日常の対策徹底が現実的だ

 ただ良識派がどういおうと、主役である選手たちは青空の下、灼熱の甲子園でのプレーを望むだろう。ナイターにしても、たとえば涼しくなる午後4時以降に開始するとしたら、1日2試合がせいぜい。通常の夏、全48試合を行うのに25日かかるというのは、運営面からして現実的じゃない。101回大会以降の甲子園も、おそらく現行スタイルでの実施とみていい。

 となると各チームには、日ごろの熱中症対策への取り組みが大切になってくる。たとえば、この夏優勝した大阪桐蔭で、だれかが足をつったシーンは見ていない気がする。準優勝の金足農(秋田)は、地方大会から甲子園決勝まで、控えを使わず9人で戦い抜いた。秋田より暑いであろう甲子園でも、熱中症の気配などは9人のうち、だれも見せなかったように思う。聞くところによると、ケガの治療や体調管理のため、地元から医師と理学療法士が帯同していたそうだ。逆に、優勝候補にもあげられていた星稜(石川)は、主力に熱中症が相次いだ2回戦で敗れている。これからは、栄養指導からアップの方法なども含め、日常の熱中症予防対策が強いチームの条件になるかもしれない。