2018 高校野球10大ニュース その1 大阪桐蔭、史上初の2度目の春夏連覇 春編

史上3校目の春連覇を遂げ、グラブを掲げる大阪桐蔭・根尾昂(写真:岡沢克郎/アフロ)

 最後の打者を一塁ゴロに打ち取り、大阪桐蔭・根尾昂がベースカバーに入る。優勝のウイニングボールを、左手のグラブで高く掲げる。週刊ベースボールと報知高校野球、大会後に発行される2誌が同じシーンを表紙にしたほど、印象的な幕切れだった。第90回選抜高校野球大会。決勝の相手は智弁和歌山で、昨年、履正社との頂上決戦に続く2年連続の近畿対決となったが、智弁・高嶋仁監督は、昨年の公式戦で3連敗した大阪桐蔭へのリベンジに闘志を燃やしていた。

「組み合わせが決まったとき、決勝まで当たらないとわかったので、(大阪桐蔭・西谷浩一監督に)"やるまで、負けへんからな"というたんですよ。力的には向こうが上でも、高校野球はなにが起こるかわかりません」

2年間で4度目の対戦が動いたのは

 淡々と進んでいた試合は、終盤に動いた。2対2と同点の7回裏、桐蔭は小泉航平の四球からバントそして、宮崎仁斗がエンドランの打球をしぶとくレフトに落として勝ち越し。8回には無死二塁から、四番の藤原恭大が左中間へ痛烈な二塁打して1点を追加すると、根尾も三遊間を破って俊足・藤原が生還し、3点をリードした。

 桐蔭9回表の守りは、2死一塁から根来塁の打球を一塁手の井阪太一が処理して、ベースカバーの根尾にトス。その根尾は、マウンドから走り込んだ勢いのままグラフを高く掲げ、これが雑誌の表紙を飾ったわけだ。昨年の優勝決定時もマウンドにいた根尾は、史上初めての2年連続優勝投手となり、つまり大阪桐蔭が史上3校目のセンバツ連覇を達成したことになる。

「昨日(の準決勝・三重戦の5回から救援し、8回を9三振無失点)より球の勢いはなかったんですが、昨日のいい投球からつなげられました。後ろには柿木(蓮)もいるので、初回から飛ばした」

 という投手としての根尾は、大会3試合26回を投げて自責2、奪三振26。投球回数では背番号1の柿木を上回った。智弁和歌山戦の最速は146キロ。また「速いまっスラ、カットボールですかね?」(智弁和歌山・神先恵都中堅手)という変化球も効果的に交え、4試合で34点という強力な智弁打線を6安打に封じた。

 根尾は打っても、5試合でつごう18打数9安打で8打点。それと、あのフィールディングにはほれぼれした。三重との準決勝、投手・根尾は「あえてさせた」(根尾)バントに一瞬逆をつかれながら、絶妙な体の切り返しで処理して二塁へ矢のような送球で併殺を完成。決勝でも見事なバント処理を見せている。中学時代、世界大会に出場したアルペンスキー・スラロームになぞらえ、根尾はこう語ったことがある。

「スキーって一見、足腰でバランスを取っているように見えますけど、上半身なんです。野球でも、全身のスムーズな動きにとって、上半身のバランスや柔軟な動きが、すごく大切だと思います」

ミレニアム軍団にはスキがなかった

 むろん、根尾だけじゃない。2000年度生まれにちなみ、ミレニアム軍団といわれた打線は中川卓也、藤原、山田健太らがいずれも打率3割5分超。投手陣でも、エース柿木は15回を2失点と安定していた。準決勝は三重に2点を先行され、大会で初めてリードされる展開になったが、9回に追いつくと延長12回、藤原の左中間二塁打でサヨナラ勝ち。5試合で本塁打は1本だけながら、46得点というのは打線がつながったからで、守っても7失点、失策3と、攻守につけいるスキがなかった。

 これで大阪桐蔭に4連敗となった高嶋監督は試合前、こう語っていたものだ。

「いまの桐蔭は、私が智弁学園(奈良)の監督になったころのPL学園(大阪)のような存在です。どのチームも、打倒PLでやってきていたのが、いまは打倒桐蔭になっている」

 たとえば1987年のPLは、野村弘樹(元横浜など)、橋本清(元巨人など)ら3人の強力な投手がいて、立浪和義(元中日)、片岡篤史(元日本ハムなど)らの打線で春夏連覇を達成した。いまの大阪桐蔭も、豊富な投手陣とプロ注目打者をそろえ、確かに当時のPLのような存在といえる。そして、史上そのPLしかない春夏連覇と春の連覇という、ふたつの連覇を達成したわけだ。さらに……100回を迎える夏の選手権は、平成最後の大会。その締めくくりに大阪桐蔭は、PLさえ成し遂げていない、2度目の春夏連覇という史上初の偉業に挑むことになる。