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同じ施設内で複数人の感染、「事業所」が医療施設と並び最多に JX通信社調べ

米重克洋JX通信社 代表取締役
行政は密閉・密集・密接の「3密」を避けるよう呼びかけている(写真:つのだよしお/アフロ)

報道ベンチャーのJX通信社では、新型コロナウイルスの感染事例が報告された施設の情報について、国や自治体、企業などの発表をもとに集約している。こうした施設のうち、複数人の感染事例が判明した施設228ヶ所を調べたところ、オフィスや工場などを含む「事業所」の数が、病院などの「医療施設」と並び最多となっていることが分かった。

オフィスや工場での感染リスクが浮き彫りに

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JX通信社では、新型コロナウイルスの感染事例が報告されている施設の情報を集約してマップにまとめ、今月2日よりアプリ「NewsDigest」内に限定して公開している。身近な感染事例や消毒の有無などの情報を地図上で確認できるようにすることで、ユーザーが感染者との接触のリスクを自ら確認できるようにするとともに、外出自粛や行動抑制を呼びかけているほか、無関係な店舗への風評被害・デマなどを防ぐ狙いがある。

このマップで集約した情報を分析したところ、20日午後4時時点で新型コロナウイルス感染事例が判明した施設が、全国で少なくとも1269ヶ所に上ることが分かった。また、このうち228ヶ所では、同じ施設内で複数人の感染事例が報告されていることも判明した。

複数人の感染事例が報告された施設の内訳を見ると、病院などの「医療施設」と、オフィス・工場などを含む「事業所」がともに72ヶ所で最多となった。次いで、障害者支援施設や老人ホームなどの「福祉施設」が27ヶ所、市役所や警察署などの「公共施設」が19ヶ所、飲食店やクラブなどの「店舗」が17ヶ所などとなった。

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これまで、クラスターを含む感染拡大の場として、ライブハウスや病院、福祉施設や「夜の街」での事例が注目されているが、今回、オフィスや工場などの「事業所」が複数人の感染事例が報告された施設として最多となったことで、企業のテレワークの拡大や、やむを得ず出勤する場合の感染対策の徹底の必要性が浮き彫りになった格好だ。

なお、本データはあくまで自治体や企業などから公表された情報に依拠しているため、未公表の店舗などの情報は含まれていない。このため、いわゆる「夜の街」クラスターでの感染拡大の実態は不透明だ。

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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