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新潟県知事選 中盤は花角氏と池田氏がなお接戦=JX通信社 独自情勢調査

米重克洋JX通信社 代表取締役
新潟県知事選の結果は、安倍首相の自民党総裁3選の行方にも影響しそうだ(写真:アフロ)

今月10日に投開票される新潟県知事選。報道ベンチャーのJX通信社では、告示前の先月19・20日から毎週末、新潟県内の18歳以上の有権者を対象とした電話調査を実施し情勢を探っている(前回の序盤情勢記事)。選挙戦中盤の情勢は、どのように変化したのか。調査の概要は末尾記載のとおりだ。

中盤情勢は花角氏と池田氏がなお接戦

JX通信社が6月2・3日(土・日)に実施した情勢調査を分析した結果、新潟県知事選の中盤情勢は、自民・公明両党が支持する元副知事の花角英世氏と、事実上の野党統一候補である前県議の池田千賀子氏がなお接戦となっているとみられる。前五泉市議の安中聡氏への支持は広がっていない。

前回、1週間前の調査時点では約3割弱だった態度未定者は、今週末の時点で約2割まで減っている。なお、この間に減った態度未定者の取り込みの勢いでは花角氏がやや上回っている。

政党支持層別に見ると、花角氏は自民党支持層の8割弱と公明党支持層の約7割を固めた。前回よりも自民党支持層の取り込みがやや進んでいる。また、野党支持層でも立憲民主・共産両党の支持層のそれぞれ1割強に食い込んだほか、無党派の2割強からも支持を得ている。

対する池田氏は立憲民主・共産両党の支持層のそれぞれ約8割を固めたほか、無党派層からも花角氏を上回る3割台半ばの支持を得ている。

「原発」争点では池田氏優位も、他の争点では花角氏が上回る

前回に引き続き「投票の際に最も重視する政策課題」を聞いたところ「原子力発電所の再稼働」を最も重視するとした有権者が35.5%に上った。前回(36.2%)と大きく変わらず、引き続き最大の争点となっている。2番目に多かったのは「景気や雇用」(19.5%)、次いでごく僅かな差で「医療や福祉」(18.7%)となっている。

こうした争点別に支持動向を見たところ、原発再稼働を最も重視するとした有権者の中では約6割が池田氏を支持しており、約2割に留まった花角氏を圧倒している。

一方で、原発以外の争点では概ね花角氏が池田氏を上回る支持を集める。例えば、2位となった「景気や雇用」で花角氏は6割台半ばの支持を得る一方、池田氏への支持は1割強に留まっている。このように「原発再稼働」の争点では池田氏、それ以外の争点では花角氏が優位に立つ構図は前回調査時点から変わっていない。

原発問題「一点突破」で当選を目指す池田氏に対して、原発への争点集中を避けつつ独自の経済政策などの提起で支持拡大を目指す花角氏という戦術的な違いが、情勢にも反映されている可能性がある。

選挙戦は残り1週間となり、まもなく終盤に入る。与野党一騎打ちの激戦となっている今回の新潟県知事選の結果は、来年の参院選を戦う「顔」を選ぶという意味で、秋の自民党総裁選にも影響を与えそうだ。

調査概要

調査方式:RDD(乱数番号自動生成)方式

調査対象:新潟県内の18歳以上の有権者

日程1:5月19日・20日(土・日)/有効回答1025

日程2:5月26日・27日(土・日)/有効回答821

日程3:6月2日・3日(土・日)/有効回答1003

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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