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受動喫煙防止条例案に賛成75.8%、小池知事支持率は50.7%に回復=JX通信社 東京都内世論調査

米重克洋JX通信社 代表取締役
都独自の受動喫煙防止条例案には賛成が圧倒的多数、喫煙者も4割近くが賛成(写真:ロイター/アフロ)

国政から「撤退」し、豊洲新市場の開場や受動喫煙防止といった都政の課題に集中する構えを見せる小池百合子東京都知事。2016年夏の都知事選以降、東京都内での世論調査を継続的に行ってきた報道ベンチャーのJX通信社では、今月19・20日の両日、4ヶ月ぶりとなる都内全域での世論調査を実施した。調査の概要は末尾記載のとおりだ。

「名古屋型」に近づく小池都政 知事支持率は回復も都民ファーストは低空飛行

支持率は50%台を回復したものの「弱い支持」に支えられる(5月19・20日調査)
支持率は50%台を回復したものの「弱い支持」に支えられる(5月19・20日調査)

先週末時点で小池百合子知事を「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」と答えた人の合計は50.7%となった。前回、1月に実施した調査では45.8%だった支持率が4.9ポイント回復したことになる。他方、「全く支持しない」「どちらかと言えば支持しない」と答えた人の合計は39.9%で、1月時点の不支持率(45.5%)から約5.6ポイント減った。昨年10月の衆院選直前には、小池知事の支持率は34.0%まで下落していたが、その後知事が国政から「撤退」し、都政への注目もやや薄れるなかで「どちらかと言えば支持する」とした消極的な支持層を中心に支持率回復の傾向が続いている。

一方で、都政における知事与党「都民ファーストの会」への支持回復の兆しは見えない。

「都政において支持する政党・会派」を聞いた質問では、都民ファーストの会の支持率は6.9%に留まり、無党派を除いて最多の自民党(15.7%)、共産党(8.2%)、立憲民主党(7.7%)に次ぐ4位に留まった。先月に実施された練馬区議補選でも、改選5議席に対して都民ファーストの会の候補2人が立候補していずれも落選する事態となっており、低空飛行ぶりが改めて確認された格好だ。

また、都政において支持する政党・会派はないとした無党派層は53.8%に達し、1月調査時点の49.8%から4ポイント増加した。都政において、支持や期待を集める有力な政治勢力が不在になっている現状が窺える。

都政における支持政党・会派(5月19・20日 JX通信社調査)
都政における支持政党・会派(5月19・20日 JX通信社調査)

このように、首長への支持と首長与党への支持が連動しない傾向には前例がある。例えば、名古屋市政では、河村たかし市長の与党である減税日本が失速し浮上しない一方で、河村氏自身は幅広い支持を集めて再選されてきた。この「名古屋型」の構図に東京都政も近づいている可能性がある。強者不在の都議会の構図は、2020年に見込まれる次の都知事選挙での各党の候補擁立や知事の再選戦略の行方にも影響しそうだ。

受動喫煙防止条例案には75.8%が「賛成」、喫煙者も4割近くが「賛成」

今回の調査では、小池知事が推進する東京都独自の「受動喫煙防止条例案」についても聞いた。

都の受動喫煙防止条例案への賛否(5月19・20日調査)
都の受動喫煙防止条例案への賛否(5月19・20日調査)

同条例案は、従業員を雇う飲食店を原則、屋内では全面禁煙とするものであり、都が近く議会への提出を目指している。成立すれば都内の飲食店の8割以上が規制の対象となるとされる。この条例案について「大いに賛成する」または「どちらかと言えば賛成する」とした有権者は合わせて75.8%に上り、「どちらかと言えば反対する」「大いに反対する」とした有権者の合計(19.6%)を大きく上回った。

調査では喫煙習慣の有無についても聞いた。その結果、タバコを「よく吸っている」または「時々吸っている」と答えた人は計15.5%に留まる一方、「全く吸わない」と答えた人は79.6%に上っている。また、タバコを「よく吸っている」「時々吸っている」と答えた人の中でも4割近くがこの条例案に賛成するとした。

条例案に対しては一部の特別区長や飲食業界などから懸念の声が挙がっているものの、条例案自体は都民の圧倒的多数に加え、喫煙者からも一定程度支持されていることが浮き彫りとなった。

調査概要

調査方式:RDD(乱数番号自動生成)方式/調査対象:東京都内の18歳以上の有権者

日程:5月19日・20日(土・日)/有効回答1014

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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