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大阪・堺市長選中盤情勢 現職・竹山氏と維新・永藤氏が接戦=JX通信社世論調査

米重克洋JX通信社 代表取締役
堺市の史跡「旧堺燈台」。今回の選挙では観光需要の取り込みも争点の1つになっている(ペイレスイメージズ/アフロ)

継続的な調査で、情勢の変化がはっきりしてきた。

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報道系ベンチャーのJX通信社では、今月24日投開票の堺市長選について、選挙戦中盤にあたる16・17日の両日に電話による情勢調査を実施した。8月上旬からの調査結果3回分と合わせて情勢の変化を分析した結果、現職の竹山修身氏(自民・民進など推薦)と新人で前府議の永藤英機氏(大阪維新の会公認)が接戦となっていることが分かった。

8月下旬(告示前)から9月中旬(中盤情勢)までの3回の調査による情勢変化
8月下旬(告示前)から9月中旬(中盤情勢)までの3回の調査による情勢変化

現職の竹山氏は無党派の4割弱、自民党支持層の5割、共産党支持層の8割弱を固めたほか、推薦を受けている民進党の支持層の6割弱、自主投票を決めている公明党の支持層の4割台半ばからも支持を受けている。

一方の永藤氏は、日本維新の会支持層の9割、自民党支持層の3割強、無党派の2割から支持を集めている。また、公明党支持層からも2割台半ばからの支持を受けている。

8月下旬の調査時点からの情勢変化としては、現職が巻き返し、自民党支持層と無党派層の態度未定者を有利に取り込んだことで、攻守が入れ替わっての接戦となっている。

8月上旬から4回の調査ごとの態度未定者の推移
8月上旬から4回の調査ごとの態度未定者の推移

特徴的なのは、前回の告示前の情勢記事で指摘した「争点別」での支持動向で、永藤氏が竹山氏への批判票を十分集めきれてない傾向が、この3週間の間によりはっきりしたものとなっている点だ。

「現職の8年間の市政に対する市民の評価は相対的に低い水準」だと指摘したが、その分多いはずの批判票を永藤氏がまだ集めきれていない傾向が見てとれる

出典:前回情勢分析記事「大阪・堺市長選告示前情勢 維新・永藤氏と現職の竹山氏が接戦=JX通信社世論調査」より

都構想に次いで「住民サービス」に焦点?

上図の通り、8月上旬から9月半ばまでの間に、態度未定者は約11ポイント減っている。これら態度未定者がどのように態度を決定していったのかという点を、特に減少幅の大きい8月下旬から9月中盤までの間で分析したものが下図だ。この図は、有権者が投票にあたって「最も重視する」とした争点別に、それぞれの候補者の支持動向の変化を示したものだ。矢印はそれぞれの候補者の8月下旬から9月半ばまでの間の支持率推移を示している。

8月下旬から9月半ばまでの間の変化:有権者が投票にあたり最も重視するとした争点別
8月下旬から9月半ばまでの間の変化:有権者が投票にあたり最も重視するとした争点別

上位の争点項目4点をそれぞれ見てみると、現職の竹山氏が「医療や福祉」「教育や子育て」といった分野で支持を伸ばしていることが分かる。一方の永藤氏は「大阪都構想」を最も重視するとした有権者から大きな支持を受けて先行を維持しているものの、竹山氏も「大阪都構想」に反対する有権者から支持を集め、上積みしている。

また、永藤氏は「教育や子育て」の分野でも支持を伸ばしているものの、対する竹山氏も同程度の伸びを見せており、横一線となっている。「景気や雇用」の点では両者とも大きな変化がない。

これらの傾向から「大阪都構想」以外の争点では主として住民サービスがフォーカスされてきていること、また、その中でも現職の竹山氏による「実績」のアピールや子どもの保育料・医療費に関わる公約の打ち出しなどが一定の効果を上げているものと考えられる。

実際、告示後に竹山氏の陣営では永藤氏のキャッチコピー「停滞か、成長か」を逆手に取り、財政や住民サービスなどの点での「成長」をアピールするビラを大量に配布するなど「反都構想」一本足でない訴求にシフトしてきている。また、これまで第3子から無償だった保育料を第2子からに拡大する公約を強く打ち出すなど、永藤氏側の批判を意識したとみられる訴求が目立つ。こうした戦況から「景気や雇用」以外の争点で永藤氏が今ひとつ伸びを欠いている状況を残り1週間で転換できるかがひとつの注目点となりそうだ。

こうした争点別の情勢変化は、主に無党派層や自民支持層での態度決定にも反映している。前回、告示前の情勢記事で「政策以前に『主要な既成政党全てが反維新の一点で現職支持に回る』という政党の構図だけで、ある程度選挙の枠組みが決まってきている」ことを指摘した。永藤氏の支持動向の変化の少なさからは、その構図からも抜け出せていない状況がみてとれる。一方で、維新・公明以外の全ての主要政党から推薦や支援を受ける竹山氏が現職としての「実績」のアピールで巻き返した状況だ。

両候補はなおごく小差での接戦となっている。期日前投票の動向から投票率は前回よりやや下落するとみられるが、無党派でややリードしている現職にとってそれが有利とも言い切れない状況だ。更には、早ければ今月28日開会の臨時国会冒頭で衆議院が解散される見通しとなったこともあり、現職に相乗りする各党が対峙することで支援の枠組みへの微妙な影響も考えられる。選挙情勢はなお流動的だ。

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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