タイ王国で躍動する「キングカズ」に送られる熱く暖かい声援

歴史的快挙を果たし、声援に応えるカズ photo by Ami Shindo

フットサルワールドカップを観戦しにタイ・バンコクへやってきた。

フットサル日本代表のグループリーグ最終戦となるリビア戦のキックオフは現地時間の午後5時。平日の夕刻ということもあり、大会会場の周りはキックオフの2時間前でも人はまばら。その中でもブルーのシャツを着た日本代表サポーターが多く見かけられた。

会場となったバンコク・フアマーク室内競技場
会場となったバンコク・フアマーク室内競技場

日本とリビアの試合の後には、同会場でタイ代表の試合も予定されているのだが、まだこの時間にはタイのサポーターは少ないように見える。

カズこと三浦知良選手がフットサル日本代表に加わったことで多くのメディアが取り上げ、日本国内でも急にフットサルが話題になっているが、やはり会場にも「KAZU」とプリントされたレプリカユニフォームを着て駆けつけているファンがたくさん見かけられ、改めてカズの影響力の大きさを知ることになった。

かくいう僕も、フットサルというスポーツとはもう出会ってから15年が経つが、こうやって日本代表の試合に足を運ぶことはほとんどない。ましてや海外で観戦する動機となったのはカズの存在は否定できない。

キックオフしても会場の観客入りは約半数程度。しかしながら、その多くは青いユニフォームをまとった日本人サポーターのように見える。それでもその声援のボリュームは決して少なくはなかった。

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そして、会場内の声援が一段と増すのは、やはりカズがコートに登場する瞬間。

試合の展開がどんな状況であれ、カズがコートに登場するタイミングには大きな拍手が会場内をこだまします。

その拍手の鳴り方は、あまりサッカーやフットサルの通常の試合では聞かれないような、何とも言えない「暖かさ」を感じる音色に聞こえる。

フットサルを本職とはしない45歳の“生きるレジェンド”はどうしてもピッチに立つ時間は少なくなる。

しかしながら、観客たちはその瞬間を待っている。

そして、その期待が膨らみ上がり、再びカズがコートに戻ってくると、その「暖かい」声援が送られるのだ。

しかし、カズはフットサルが本職でもないこともあり、小さなミスのように見えるプレーは決して少なくはない。

それでも会場内からブーイングはもとより、ネガティブな声はまったく聞こえない。

むしろ、その瞬間でも「暖かい」拍手と声援が送られていた。

試合が進むにつれ、試合はさらに白熱し、応援の声は日本人サポーター以外からも大きくなってくる。

そして、日本では耳慣れない太鼓のリズムが日本代表ゴール裏から聞こえはじめた。

そう、タイ代表を応援に駆けつけていたタイ人サポーターが日本代表を応援してくれていた。

同じアジア同胞ということからなのか、これは嬉しい限り。
同じアジア同胞ということからなのか、これは嬉しい限り。

一見、日本人ばかりかと思われていた会場内には当然ながら地元タイ人の観客が多くを占めていたので、そのタイ人が日本の応援をはじめたことで、一気に会場内は日本の応援一色となっていた。

日本優勢で進んだゲームの背景にはこんな裏エピソードが存在していたのだった。

ところで、タイという国は、国王が敬愛されていることで良く知られている。政治や政権については国民が対立したり、時には主張がぶつかり合うことでデモや暴動のようなことが起きてしまうが、国民は決して王様のことを悪く言うことはない。

タイ国民の誇るべき象徴がタイ王国の王様なのだ。

そんなタイ王国に、日本のサッカー界の王様「キング・カズ」がフットサル日本代表としてやってきた。

フットサルコートで躍動するカズへ送られる「暖かい」拍手・声援はまるで敬愛される一国の王に向けられるもののように感じられる。

45歳という、サッカー選手としても現役でプレーすることが超人的であるのに、さらにフットサルという、より俊敏性や体力が求められるスポーツの日本代表としてプレーすることで、今また、日本のフットボール界からのリスペクトを一身に集めているのは、やはりキングカズでしかなしえない偉業。

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話は戻って、フットサル日本代表のグループリーグ最終戦、vsリビア。

期待されたカズゴールこそ生まれなかったが、稲葉選手の2ゴールもあり、完全にリビアを圧倒して4-2の勝利。

フットサル日本代表史上初となる、ワールドカップ本大会グループリーグ突破を果たした。

キングダム・オブ・タイランドで開催されているフットサルワールドカップ。

この日本フットボール界の王様「キングカズ」擁するフットサル日本代表、この勢いは止まらない。