日本人には「考える力」が足りない ~なぜダイバーシティマネジメントが必要なのか~

(写真提供:アキュメン・グローバルフェローズプログラム 藤田周子)

皆さん、「ダイバーシティ」という単語をご存知でしょうか?

昨今、「ダイバーシティマネジメント」なんていう言葉をよく耳にしますが、いったいそのダイバーシティとは何なのか。そして、それが必要な理由がシックリこないと、そもそもそれをマネジメントする気にもならないのではないかと思います。

ということで、最初の問いに戻りますが、この【ダイバーシティ】という単語。辞書的に調べてみると、このように出てきます。

ダイバーシティ = 年代、性別、国籍などの外面的多様性、およびそれらによって異なる内面的多様性(価値観・文化など)

ものすごく簡単に一言で言うとすると、「多様性」という言葉に落ち着けることができます。

決して、お台場にあるショッピングセンターのことを語るつもりはありません(笑)

一昔前、このダイバーシティという単語は、「社会や労働環境における女性の労働力の活用方法」というような意味で使われていました。

また、障がい者の雇用や共生といった文脈でも使われることが多い単語です。

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もちろん上記もすべてダイバーシティでもありますが、

グローバル化が叫ばれる現在では、この「多様性」=「異なる言語や文化背景を持った外国人たちとの多様な労働環境」という意味で使われることが多くなってきています。

では、なぜグローバリゼーション社会の今、このダイバーシティこそが重要な要素なのでしょうか?

自身の経験なども踏まえ、重要性について考えてみましたが、そこでは3つの理由に至りました。

1.  A + B = C

同じような価値観・基準に偏らず、新しい概念や考え方を持った人たちと協業することにより、まったく新しい価値を生み出すことができる可能性が高まります。AとBという人たちが別々に活動をしていれば、それぞれの価値は創出できると思いますが、ともに活動して融合し合うことができれば、それまで成し得なかった価値を生み出すことができるからです。

日本人は案外得意なことかもしれません。昔から加工貿易をしたり、欧米から技術を学んできた日本人ですから。ただし、情報化社会が進み、どんどんこの融合のスピード化が進んできてる現在、若干の取り残され感は否めない印象もあります。

2.  環境が変化しても生き残れる力

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生物多様性の世界と同様に、人間社会においても「環境が変化しても生き残れる力」を身につけておく必要があります。生物が「種」という単位での保存を目指しているとすれば、これを社会に例えるとすると、身近のところでは「企業」だったり「国家」という文脈に置きかえてみるとイメージしやすいかもしれません。

生物の例えで言うところの、気候の変化や、外敵の変化に対応する力をつけることは、我々人間の社会がグローバル化している現在においては、外国(人)との対応力(外国文化・価値観・知識・語学など)などを身につけておくことが必要です。個人としても組織としても同じことが言えると思います。さもなくば、日本企業、ひいては日本という国はこれから立ちゆかなくなってしまうでしょう。

3. 自らで考えることの重要性

僕が海外に出て強く感じたのは、この3つ目です。日本の社会というのは、「自分で考えることを放棄できる社会」だと思っています。世の中のいろんなところに「ガードレール」が敷かれていて、あまり考えなくて走っていても、気がつけばゴールに向かえるように設計されています。

その原点にあるのは、我々日本人は基本的に単一民族であり、貧富の格差が小さい「1億総中流社会」が実現されているからだと考えています。

つまり、多くの人たちにとって、自分と他人はすごく似たバックグラウンドがあり、大きな違いはなく、「私とあなたは一緒なんです」というベースに立っています。なので、客観的他者の集合体である“あなた”と同じ行動を取っていれば安心、という考え方があります。

一方、貧富の格差が大きかったり、「ふつう」という人たちがいなかったり、民族や国籍が入り乱れているような環境、つまり「私とあなたは違うんです」というベースに立っている人たちは、どうやって自分が成功するかを必死に自分流で考えます。“あなた”と同じ行動を取ったとしても、必ずしも自分がうまく行くかはわからないからです。

こうやって個々が考えることを鍛えられた人たちは強い。これからの社会において、いやこれは不偏の真理かもしれませんが、考えることは常に必要なことだと思います。

果たして僕たちは、自分たちで考え抜いているでしょうか?

ダイバーシティやダイバーシティマネジメントが語られる際、この3つ目のポイントについてはあまり触れられてないことが多いですが、僕はこのポイントこそがダイバーシティを取り入れ、活用する時の一番の大きな利点ではないかと思っています。

敢えて僕の好きなサッカーの話をここで出させてもらいますが、その昔、「日本らしいサッカーを追求することで、世界のサッカー強豪国入りを目指した名将、イビチャ・オシム監督が自身の書籍をもって、現代の日本人に警鐘を鳴らしました。

その書籍タイトル『考えよ!』こそが、今日本に欠けていることではないでしょうか。