■相手が強くうなずいてくれる質問

たった一つの質問で、相手が「気持ちいい」「嬉しい」と感動してくれる場合もあれば、たった一つの質問で、「あなたは何もわかってない」と罵られるケースもある。

質問ひとつで、相手と関係を築けたり、壊したりすることもある。山登りと一緒。山登りはステキな体験をもたらしてくれるが、いっぽうで準備を怠ると危険な目にあう趣味だ。

今回は、相手との距離をグッと縮める質問の作り方を紹介する。4つの切り口でみていこう。

まずは、難易度の低い切り口で考える。

【難易度①】は、相手が意識していて、周りも知っていること、気付いていること。そのことについて質問する。そうすると、

「そうそう。そうなんだよね」

と、相手は強くうなずいてくれる。「よくわかってるね」という印象を与えることだろう。相手の性格や特技、趣味、家族、過去の経験や実績、経歴などを題材にすればいい。

「奥さまは、ミナペルホネンのファンなのでしょうか? 先日お見受けした際、素敵なカバンをお持ちでしたから、そう思ったのですが」

「お子さんが、今年から京都の大学に行かれたんですよね? 寂しくありませんか?」

「部長って本当にストイックですよね。大学時代にラグビー部のキャプテンやってたときから、ずっと変わってないんですか?」

このように質問すれば、

「そうそう。そうなんだよね」

と、相手は大きくうなずいて、話しはじめるだろう。しっかり相槌して傾聴すれば、さらに話を広げてくれるかもしれない。

ちなみに、この「周り」というのが大事だ。周りの人が知っていることを意識して事前に情報を仕入れておくのだ。

身近な人ではなく、一般的に知られていること。あまりにも常識的なことを尋ねると「そんなことイチイチ聞かないで」と思われたり、最悪なケースでは「バカみたいなこと聞くな」と思われる。

たとえばお客様との商談が始まる前に、

「今日のお客様って、どんなビジネスやっているんですか?」

と上司に質問したら、

「おいおい、お客様のビジネスぐらい理解しておけよ。工作機械の商社じゃないか。この地域ではナンバー1のシェアだぞ」

と言い返されるだろう。

「いや、一応確認させていただこうと思いまして」

と言い訳しても、相手は呆れるはずだ。

「イチイチ聞くなよ。他のお客様にも、そんな風に接しているのか」

他の同僚からも、

「お客様のビジネスを知らずに商談くるって、どういう神経してんだ」

「ちゃんと調べておけよ。常識だろ」

と注意されるはず。

また、毎年夏にイベントを開催している企画部の部長に、

「今年の夏もイベント開催するんですか?」

と質問したら「そんなバカみたいな質問するの、やめてください。やりますよ。ホームページのトップに大きく掲載されていたでしょう」と怒られる。

「当社に何か営業したいんだったら、ホームページぐらいチェックしてから来てくださいよ」

と苦言を呈され、関係構築は遠のくだろう。

実のところ、こういう人は多い。ふだんから疑問に感じたことをそのまま口にする人だ。”質問を作る”という発想がない。普段着のまま山登りをはじめてしまう人だから、下調べをしない。

ちょっと調べればわかること。少し考えればわかることを質問するのは絶対にやめよう。相手の時間を奪うことになるからだ。特に時間を大切にする人には気をつけたい。一気に信頼を失う。

■相手に驚きを与える質問

次に【難易度②】である。相手が意識していることだが、周りのほとんど人が知らないこと、気付いていないこと。そのことについて質問する。そうすると、

「そうなんだよ! どうしてわかったんだ?」

もしくは、

「そうそう! よく気付いたね。はじめて言われたよ」

と言われる。

次の会話を読んでみよう。ある営業担当者が部長に、ある質問をする。すると、どうなるか?