■ついに「フィフトラ」時代の到来か?

「フィフトラ」とは何か? アラフィフ(50歳前後)を対象としたリストラのことである。2022年は、この「フィフトラ」が拡大する模様だ。

昨年、2021年に希望退職を募った上場企業は84社で、対象は1万5000人を超えた。

日本たばこ産業は、46歳以上が対象で3000人規模(パートタイマー等含む)。ホンダは55歳以上で2000人。LIXILは40歳以上で1000人……。年齢は非開示だが、パナソニックも1000人規模の希望退職を募った。この傾向は2022年さらに加速するとみられる。

リストラは俗に人的整理と言われるが、昨今は「黒字リストラ」「新種リストラ」といって、リストラにも新しいスタイルが登場している。業績は悪くないが、世代交代を促す意味で行われるリストラだ。

とくに大企業には、このような先行型のスタイルが増えており、対象はまさに50代前後。アラフィフがターゲットだ。

■なぜ「フィフトラ」が増えているのか?

ウィズコロナの時代となり、働き方は大きく変わった。テレワークが普及し、オフィス出勤が常識の世界観は崩れた。

しかし2年が過ぎ、新しい働き方に適応できている企業と、そうでない企業との差がハッキリと出始めた。企業だけではない。人でもそうだ。

年齢が高く、ベテラン人材になればなるほど、テレワークを敬遠し、若い一般社員のほうが歓迎しているという実態が各種調査で明らかになった。

「テレワークの環境が整備されていない会社はもちろんのこと、制度があっても上司からの圧力でオフィス勤務を強要される会社には勧められません」

転職エージェントのキャリアアドバイザーが言う。

「大事なことは、この会社で新しいことにチャレンジできるかどうかということ。テレワークさえ有名無実化する組織に、明るい未来があるとは思えません」

経営トップが大号令をかけても、ミドル層が二の足を踏む。技術の面はもちろん、変われないベテラン人材は、意識の面でも現場の足を引っ張る存在だ。

しかし、と私は思う。私も52歳でアラフィフだ。同世代の企業人を見ていて思う。外部環境の変化になかなか適応できないのは、すべて本人たちの責任だろうか、と。

これまで会社に貢献しようと、目の前のことに対して一所懸命に汗をかいてきた。他事に目もくれず、一心不乱にやってきた不器用なアラフィフたち。そんな彼ら彼女らが、時代の急な流れに対応できないのも仕方がないではないか、と私は思う。

■転職も起業もかなり難しい

2022年は大企業を中心に「フィフトラ」が進むだろう。そして遅れて中小企業でも、世代交代のためのリストラが大胆にはじまるのではないか。

長年勤めてきた会社を辞めて、アラフィフたちはどうするのか。人生100年時代だ。年金生活など夢のまた夢。まだ20年以上は働く必要がある。

若いころから個人で働いていた経験があるならともかく、技術面でも意識面でも衰えたアラフィフが、簡単に起業などはできない。私の同級生で、自動車関連会社を希望退職し、フリーランスになると言った者がいる。私は全力で引き留めた。

そう決心して個人事業主になり、ビンボー&タボーになった同世代の人たちを数えきれないほど見ているからだ。彼ら彼女らは、口をそろえてこう言う。

「給料が下がっても、会社を辞めなければよかった」

と。

50歳を過ぎての転職活動は大変だ。よほど特殊な技能を身につけていない限り、知的労働者の道は閉ざされる。

救済は企業がすべきだ。いきなり「フィフトラ」するのではなく、セカンドキャリア支援を積極的に進めるのだ。

リスキリング(学び直し)はもちろんのこと、粘り強い啓蒙活動が不可欠。そうでないと、過去の成功体験に依存する思考からは逃れられない。

■アラフィフに必要な「グレート・リセット」

「もう一度ゼロからやり直そう」

開き直ることができたアラフィフは、リスキリングによって現場へ戻ることも可能だろう。

「去るも地獄 残るも地獄」という言葉があるが、謙虚になって若者たちと技能習得に勤めれば、まだまだ現場に戻ることができるアラフィフもいる。「残るも地獄」はなくなる。

極端に人材不足の時代だ。付加価値向上に寄与するのであれば、企業にとってもありがたいこと。急速な新陳代謝は企業を疲弊させるのだ。アラフィフたちの役割はまだまだある。

同世代だからこそ、もっと活躍できる場を企業は用意してほしい。そしてアラフィフたちは、そのために意識そのものをグレート・リセットさせる勇気を持つことだ。