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WEB会議中にイライラする上司からの「ダメ出し」ランキング10

横山信弘経営コラムニスト
なぜダメ出しをされたのか、イライラする……(写真:アフロ)

WEB会議中にダメ出しすると「さらし者」に

「ダメ出し」とは、上司やお客様などが、誰かから何らかの主張・提案をされ、このままの状態では通過できない、承認できない、とするときに使う表現だ。もともとは演劇やテレビなどの業界用語だったようだが、ビジネスの現場でも多用されるようになった。

頑張っただけでは認めず、あるべき姿になるまで「ダメ出し」を繰り返すことで、部下の成長が促されることもある。ただ、愛のない「ダメ出し」はモチベーション低下に繋がる。成長意欲を減退させることも忘れてはならない。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。「そんなダメ出しをしたら、部下のやる気はなくなるだろう」と思えるダメ出しを、数えきれないほど目にしてきた。今回はダメ上司が部下にする「ダメ出し」をランキング形式で紹介する。

リアルな会議ならともかく、WEB会議だと顔がディスプレイ上にハッキリ映し出されるので、「ダメ出し」された部下はさらし者だ。新型コロナウイルスの影響で、テレワークする社員が増えている。こちらのテレワーク・ハラスメント(テレハラ)の記事に書いたとおり、「テレハラ」と言われかねないので、世の中のマネジャーは十分に注意すべきだ。

今回のランキングは、理不尽レベル、不誠実レベルの高い順番に並べたつもりだ。参考にしてもらいたい。(ランキングはすべて著者の独断と偏見)

1位は「見たことも聞いたこともない」

それでは1位から発表しよう。1位は「見たことも聞いたこともない」。

「そんなやり方でうまくいったなんて話、聞いたこともない」

「その方法を取り入れて成功した会社なんて、見たこともない」

非常によく耳にする表現だ。

思わず「あなたが見たことがないから……。だから、どうしたんですか?」と尋ねたくなる「ダメ出し」だ。組織を変えるうえで何らかのアイデアが提示され、瞬間的に体が拒否反応を示した。そして、それをそのまま言葉として出しただけだろう。つまり頭の中で咀嚼されていないため、このような発言が出てくるのだ。

ダメな理由は、客観的なデータに基づくファクト(事実)でなければならない。にもかかわらずダメ出しの論拠が、上司の狭い世界観における「見たこともない、聞いたこともない」なのだから、理不尽極まりないと言える。ダントツの1位だ。

2位は「決め手に欠ける」

私が個人的に、最もイライラする「ダメ出し」表現がこちら。「決め手に欠ける」だ。

こういう言葉を使っている人は、無邪気に常用している気がする。相手の提案をさんざん修正させておいてから発する場合も多く、理不尽レベルは非常に高い。そもそも「決め手」とは何なのか? 合格基準は何なのか? 提案・主張している側としては強い気持ちがあるのに、核心に迫る内容を言わず、

「なんか決め手に欠けるんだよな」

と、のんびりした感じで言われると、部下は強いイライラ感を覚えるだろう。

3位は「時期尚早だ」

いわゆる「決定回避の法則」「現状維持の法則」に則ったダメ出し。「今はその時期ではない」「まだやるには早い」という、意味不明な論拠でダメ出しされるため、部下は誰でも

「それなら、いつになったらOKを出してくれるんですか?」

と質問したくなる。だいたい「時期尚早」などという表現を使う人は、習慣になっている。反論されると、

「だいたいねェ、君の提案には中身がないんだよ」

「そもそも、それに費やすコストがどこにあると言うんだ」

などと他の論拠を持ち出して打ち返してくるケースも多く、「時期尚早」というのは、単なるダメ出しの口癖と捉えていい。ひどい場合は開き直って、

「いつになったらいいかって? いつになってもダメなものはダメだ」

こんなダメ出しを言う上司もいる。

4位は「これでうまくいく証拠がどこにあるんだ?」

「ダメなものはダメ」。とにかく「ダメありき」の言い方。これも理不尽な表現だ。100%うまくいく方法などこの世に存在しないのに、「うまくいく証拠を出せ」という表現に愛は感じられない。「100%うまくいくのかね」「万が一うまくいかなかったらどうする?」という言い方も同じ。ほとんど脅迫に近い表現だ。

部下のチャレンジ精神を奪っていく。

ダメ出しをするためには、そのための論拠が必要です。にもかかわらず、その論拠が見つからないのだろう。

「変えたくないものは変えたくない」「とにかく現状のままがいい」という心理――現状維持バイアスがかかっていると、後付けで「意味の偽造」を繰り返す。

5位は「すればいいってもんじゃない」

「ただしくコスト削減をするために数値目標を決めるべきと思います」

「数値目標? 数値目標を決めればいいってもんじゃないだろう?」

「新規のお客様を増やすためにイベントを開催したいと思います」

「イベント? イベントを開催すればいいってもんじゃないだろう」

「~すればいいってもんじゃない」というフレーズには、「基本的には賛成だ」という意味合いが隠れていることを忘れてはならない。

「利益が多ければいいってもんじゃない」

という表現はあっても、

「利益が少なければいいってもんじゃない」

とは言わない。同じように、

「期限を守ればいいってもんじゃない」

と言う人はいても、

「期限を破ればいいってもんじゃない」

と言う人もいない。

つまり「基本的には良いことだが、抜け漏れがある、もしくは別の問題がある。なのに放置してはいけない」という意味合いなのだ。したがって、

「新規のお客様を増やすためにイベントを開催したいと思います」

「君の意見には賛成だ。しかしイベントを開催すればいいってもんじゃない。その後のフォローをしっかりしてくれないと困る。過去にイベントを3回開催したが、その後のフォローがおろそかになって、満足いく成果を上げられていないんだから」

このように言ってもらえれば、相手も「わかりました。イベント後のフォローを徹底しますので、その方法について相談させてください」と素直に答えるだろう。

6位は「うまくいくとは限らない」

「うまくいくとは限らない」だから「ダメ」というダメ出しは、論理的におかしく、相手の思考を混乱させる。

たとえばAという行動計画があり、それを実行したところ成功する確率が80%、失敗する確率が20%だったとしよう。80%という成功率にフォーカスして行動計画Aを評価すると、「行動計画Aはほとんどの場合うまくいく」となる。反対に20%という成功率にフォーカスして行動計画Aを評価すると、「行動計画Aはうまくいくとは限らない」となる。

まとめると「行動計画Aはほとんどの場合うまくいくが、うまくいくとは限らない」となるのだ。つまり「うまくいくとは限らない」というなら成功確率のほうが高いという意味であることを、まず頭に入れておかなければならない。

いっぽう別のBという行動計画があり、成功確率が20%、失敗確率が80%だとする。何らかの事情でBの実行を上司が命じたとしよう。すると、その時には「うまくいくとは限らない」とは言わない。「うまくいきっこない」と言うはずなのだ。

要するに、「うまくいくとは限らない。だから賛成しかねる」という人は「80%ぐらいの確率で成功するかもしれないが、20%の確率で失敗するかもしれない。そんなプランなら賛成できない」と言っているということだ。このようなダメ出しをする人は論理思考力が落ちているわけだから、意思決定する力がないとも言える。

7位は「だいぶ良くなったけど、もう少し頑張ろうか」

何度もやり直しをさせてから「うん。前よりもずい分と良くなったじゃないか。でも、もう少し頑張ろうか」と言ってダメ出しをする人がいる。どんなに柔らかい表現を使おうとも、単なる嫌がらせのようにも聞こえる。

「問題」の定義は、「あるべき姿」と「現状」とのギャップ。問題があるからダメ出しをするのだろうが、「あるべき姿」を提示せずにダメ出しするのは理不尽だ。どこまでやったら「あるべき姿」へと到達するのか。合格基準は何なのか。それを明示しないと、単なる嫌がらせと捉えられるだろう。

8位は「とりあえず、やめておこうか」

頭が真っ白になるダメ出しがこちら。「とりあえず、やめておこうか」。ダメ出しの論拠も何もない。

「部長、みんなと考えて、もっと組織内コミュニケーションを活性化したいと考えています。そこでこんな企画を考えたのですが、見てもらえませんか」

「ああ、こういうの、とりあえず、やめておこうか」

「は?」

「だから、とりあえず、やめておこうよ、こういうの」

「とりあえず」というのは、まず第一に、他のことは差し置いて、という意味だ。つまり、このダメ出しは、「最初から話を聞く気はない」という意思表示なのである。理不尽レベルは極めて高いが、さすがにここまで理不尽な人はそう多くないため8位とした。

9位は「気が進まない」

恐ろしいダメ出しがこちら。

意思決定する人の「気持ち」「気分」がダメ出しの論拠になっているからだ。ただ、私は意外と嫌いではない。なぜならとても正直だからだ。

「なんか気が進まないんだよな、こういうの」

「私はこういうの、好きじゃないの」

「正直に言うと、俺の好みじゃないんだ。ゴメン」

論拠もへったくれもなく、意思決定の権限を持っている私が気が進まないのだからしょうがないよね? とあっけらかんにダメ出しされたら反論する気力も萎えてくる。こういう人に対しては、めげずに「数打ちゃ当たる」戦法で臨もう。

10位は「何かが違う」

耳にした瞬間から、茫然自失となりそうになるダメ出しがこちら。「何かが違う」。

「何かが違う。何かわからないが、何かが違う」

単純に「しっくり」こないのだろう。それを表現できるボキャブラリーが見当たらないため、「何かが違う」と口にしてしまうのだ。ただ、このようなダメ出しをする上司は、意外と一緒に考えてくれる。

「何だろう? 何が違うんだろうか。何かが違うんだよな……」

と、このように。もし「何かが違う」とダメ出しするだけで、放り出されてしまうようであれば、理不尽極まりないわけだが。

さて、いかがだっただろうか。このようなダメ出しを上司からされた方はいるだろうか。

冒頭に書いたとおり、ダメ出しは人を成長させるために必要なことだ。しかし愛のあるダメ出しをしてもらいたいものである。とくにWEB会議中は「非言語データ」が伝わらないため、言葉の選び方に気を付けよう。

「そんなつもりはなかった」

「相手を傷つけるつもりなど、微塵もなかった」

と言っても、あとの祭り。

論拠は常に、客観的なデータに基づくファクト(事実)でなければならない。そのファクトを明確に、丁寧に伝えることが意思決定する人に求められる。すぐに提示できないなら、「ちょっと考えさせてくれ」といったん保留する勇気を持とう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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