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【新年会スルー?】なぜ忘年会はスルーしても、新年会はスルーすべきでないのか?

横山信弘経営コラムニスト
新年会はスルーすべきではない?(写真:アフロ)

■「忘年会スルー」したいのは若者だけではない

「忘年会はスルーできて、本当によかったです」

年末に、クライアント企業のある課長からメールが届いた。働き方改革のしわ寄せで、事実上「ワンオペ管理職」になった課長だ。部下はいるが、仕事が遅いわりに残業をしないため、結局「自分でやったほうがはやい」と判断し、この課長はひとりでこなしている。

「年末は仕事がたまってたまって……。とても忘年会なんて、出ている暇がありませんでした」

と、この課長は打ち明ける。

昨年、「忘年会スルー」というフレーズが話題になった。その中心にあるのは、「高いお金を払って上司の自慢話を聞きたくない」という「部下側」のモヤモヤだったが、実際のところスルーしたいのは若者だけではなかったのである。

管理職側も同様だった。

先述した課長のように「結果的にワンオペさせられている俺が、どうしてお前らのために、おごらないといけないんだ」「今年一年、お疲れ様! なんて口が裂けても言いたくもない」「こっちが忘年会スルーしたいわ!」と、不満が爆発。

「仕事が終わらないから」という理由で「忘年会スルー」した中間管理職を私は何人か知っている。

■ 絶対やめよう!「新年会スルー」

上司は上司で、部下は部下で言い分があるだろう。しかし、昨年「忘年会って本当に必要なの?」 この素朴な疑問に答えてみるで書いたように、忘年会を気持ちよくできないということは、組織のエンゲージメント(絆、愛着心)が低くなっている証拠だと受け止めてほしい。

つまり忘年会そのものに問題はないのだ。

だからスルーしても根本的な問題は解決しない。組織風土や、上司部下の信頼関係に問題があるのだから、そこを解決しないと、忘年会以外のいろいろなものまでスルーしたくなり、ストレスが減ることはない。組織目標も達成しづらくなる。

さて、年が明けたのだから、話題は新年会である。

「忘年会スルー」があれほど取り沙汰されたのだから、「新年会スルー」も話題となるのかというと、そうはならないだろうと私は考えている。

正直なところ、忘年会のみならず、新年会までスルーしたいという言い分はいかがなものか。ここまでスルーとなると節操がない。管理者だろうが、若者だろうが、関係がない。ひとりの組織人として、ひとりよがり過ぎないか。さすがに「新年会スルー」は共感されないと私は思う。

■2種類の「時間的ランドマーク」

忘年会とは「としわすれ」の意味だ。その年の会社の慰労が目的として催される。とはいえ、一年間ためてきた鬱憤が出やすい場でもある。

だから、「そんな話を聞きたくない」という若者の主張もわからないでもない。また、「今年一年、たいして会社に貢献しなかった部下たちに、なぜねぎらう必要があるのか」という管理者たちの言い分も理解できる。

しかし、新しい年を迎えたのだから、そういうモヤモヤ感はリセットしてほしいし、すべきだ。

気持ちを新たにリスタートしたいとき、2種類の「時間的ランドマーク」を利用すればよいと言われる。

それが、

● 個人的ランドマーク

● 社会的ランドマーク

この2種類である。

「個人的ランドマーク」とは、誕生日、結婚記念日、転職した日、親の命日……など、個人的な「節目」である。

いっぽう「社会的ランドマーク」とは、新年、新学期、東京オリンピックの年など、社会的な「節目」である。

まさに新年は、すべての人に共通の「社会的ランドマーク」だ。これを利用しない手はない。

だからこそ新年会は、今年1年を景気よくスタートしたいという思いから催され、新年の挨拶や方針発表なども会の中で行われることが多い。忘年会よりも新年会のほうがフォーマルだ。思考も発言も崩れにくい。だから新年会はスルーせず、できれば気持ちよく参加しよう。

■ 忘年会の「公式」、新年会の「公式」

新年会はこうあるべきだ、というフォーマットはない。だからこそ、組織のリーダーは新年会をうまく利用したらいい。

当社の例をここで書いておこう。私の会社では、全国にコンサルタントが散らばっているので、テレビ会議室にランチを持ち寄って「ランチ新年会」をする。

社長である私が新年の抱負を10分程度語り、あとは和気あいあいとコミュニケーションをとって終了。自由参加ではなく、全員参加を義務とした。だからランチ時間帯とはいえ、もちろん業務扱いである。

グループ全体ではケータリングを利用し、役員の挨拶と1時間程度の立食パーティをする。他のグループ会社のコンサルタントと新年のあいさつをしながら、軽く談笑する。数多くの人と接したほうがいいだろうから、立食スタイルは悪くない。

もちろん、新年会に二次会はご法度だ。

年明け早々、二次会、三次会だと繰り出して、飲み歩くだなんてとんでもない。忘年会なら「年末だからしょうがないか」と目をつぶってくれた家族も、新年会ではそうならないだろう。

酔いつぶれて帰宅でもしたら、「新年早々、何をやってるの!」と奥様から雷が落ちるに違いない。だから、ほろ酔いぐらいで終わらせるのが健全だ。

忘年会と新年会を対比させると、私は以下のようになると考えている。

● 忘年会 → 少人数+長時間+無礼講

● 新年会 → 大人数+短時間+形式的

忘年会はグダグダになってもいいかもしれないが、新年会はメリハリがあったほうがいい。

2020年の12月には楽しい忘年会ができるよう、多くの企業に素晴らしい新年のスタートを切ってもらいたい。そう強く願っている。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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